発情期アルファ貴族にオメガの導きをどうぞ

小池 月

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Ⅷ 変わるべきは……<Sideライ>

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 その日は一緒にお風呂に入り、互いに痩せたとか、犬ハイエナの噛み跡は何処だと見つけ合って、ひと時の休息を楽しんだ。

 肌の触れ合いに安堵し、互いの温かさに癒された。
 性欲ではなく、ただ生きていることを認め合う様な時間だった。

 ライに触れて「綺麗だ」と言うウルイが愛おしかった。

 ウルイの上気した頬が愛らしくてキスをした。ウルイの全てを舐め味わうような濃紺なキスだった。

 自分でしつこかったと思うくらいだった。それでも、応えてくれるウルイが可愛くて仕方なかった。

(ウルイと二人だけなら、こんなにも満たされて幸せなのに)
 そう考えてため息が漏れた。


 翌日、ウルイの体調が良い事を確認し、ウルイの家族宅に外出した。

 外出ついでに、本日から宿泊していた宿に移ることを指示した。
 やはり病院より宿の方が快適だ。

 病院外に出るとライの直属部隊が全員並んでいた。敬礼をして静止しながら皆が涙を流していた。心打たれる光景だった。

 ライは皆に「ありがとう」と敬礼を返した。

「すごいね。ライはみんなに大切にされている」

 ウルイがそう呟いた言葉が胸に響いた。この恵まれた状況を当たり前に思わないように肝に銘じた。

 支えてくれる者たちがいるからアルファとして力が発揮できる。そのことを知ったばかりだから。

「ウルイ様、ライ参謀はとても人望がありますよ」
 サードが笑顔で声を掛けると、ウルイが頬を染めて微笑んだ。それを見ると腹の底が熱くなった。

(サード! そんな笑顔は軍の勤務中に見せたことがないだろうが!)

 そんな苛立ちが隠せなかった。顔に出てしまったかもしれない。
 サードがライに視線を向けて愕いた顔をした。

 すぐにサードは「失礼しました」と言って真面目顔に戻り、ウルイと距離を置いた。

 サードの変わりようにウルイは首を傾げていた。
 ライは心の中で(ウルイのせいじゃないんだ。ごめん)と謝った。
 と同時に、ウルイには人を微笑ませてしまう不思議な魅力があるのだと思った。

 つい、ウルイの腰に手を回して『俺のオメガだ』とアピールするように歩いてしまった。
 ウルイ相手だと、独占欲とか愛情とか上手く隠せない。

 ウルイは何度かこちらを見上げていた。ライは、自分の行動をどう言い訳したら良いのか分からず、困り顔の微笑みを返した。

 ウルイの腰を抱く手は離すことが出来ず、そんな嫉妬心の固まりである自分に困り果ててしまった。

 サードはこちらを全く見ずに歩いた。前後を護衛して歩くライの部下たちも、こちらに無関心で居てもらえて助かった。
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