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Ⅲ章「飛べない鳥と猛禽鳥の愛番」
side:羽田 咲人⑨
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ぼんやりとソファーに座る脩。温かいミルクティーを作って脩の前に置く。
「脩、ゆっくり話すから、聞いて」
横に座って、そっと脩を撫でる。髪の艶も戻ってきた。目立っていた白髪もいつの間にかチラホラ見える程度に少なくなっている。この三か月の穏やかな日々が頭をよぎる。
「もし、辛くて生きているのが嫌なら、俺が一緒に死ぬよ」
前を向いて聞いていた脩が、身体をビクリとさせて俺を見る。
「俺も、俺のシマフクロウも同じ気持ちだ。俺たちは、もう二度と脩とヤンバルクイナを辛い中に置き去りにしない。ずっと一緒にいる」
そっと、左手の傷跡にキスをする。もう孤独に死のうとしないで。そう願いを込めてキスを落とす。脩の動揺が伝わってくる。脩が俺をみて、弱弱しい声を出す。
「咲人、だめだよ。咲人には、また新しい恋人ができるよ。誰かを愛して、家族、を作って、幸せに生きて行けるから。もう僕とは、違う道にいるんだよ」
「脩とじゃなきゃ、幸せになんてなれない。大学生の時は脩が居なくなって寂しくてセフレを作ったことがある。でも、恋人にはならなかった。あの頃は、脩がどこで何をしているか分からなかったんだ。今は、脩が苦しんでいた時期にそんなことをしていた自分が許せない。脩に申し訳なくて、罪悪感で脩に向き合えない自分が居た。そんな俺の態度が誤解を与えていたと思う。ゴメン。本当に、ゴメン」
「……いいんだ。咲人には、綺麗で可愛い恋人や奥さんができて、可愛い子供ができて、幸せに暮らせるよ。僕のことは忘れていいから。今まで、ありがとう」
どこか遠くを見つめる脩。その深い悲しみと傷ついた心が痛々しくて、脩をしっかりと腕の中に抱き留める。俺は、もう間違えたくない。
「脩、俺の気持ちを置き去りにするな。俺を見て。俺は脩以外を愛することは無い。シマフクロウとヤンバルクイナを見ればわかる。二鳥でいることの幸せが溢れているじゃないか。脩には、伝わっていない? これ以上の相手が見つかると思う?」
二鳥を見てフルフルと頭を横に振る脩。二鳥は寄り添うようにして脩を見ている。
「だけど、だけどもう、辛い思いも苦しいのも、嫌なんだ……。もう、耐えられないよ……」
「一人で抱えなくていい。離れていたときのこと、お互いに話してみない? 知らない時間があるから不安になるんだ、きっと。脩が辛ければ俺から話すから」
腕の中の脩に問いかける。
「俺のこと。脩と離れていた時間を聞きたくない?」
しばらく沈黙。小さく脩が頷く。
「じゃ、お茶もう一度温めてくるよ。ちょっと一休憩して、ゆっくり話そう」
ソファーで一息つく。温かい飲み物で、心も落ち着く。全てを話す覚悟を決める。
「高校の卒業三週間前だったよね。脩が突然いなくなって。今では、もちろん理由が分かっているよ。でも、その時は突然の孤独で苦しくて潰れそうだった。ずっと二人で生きて行けると思っていたから。俺の鳥も、脩の鳥に会えないことを受け入れられなくて、ストレス行動がひどかったよ。羽をむしって禿が出来た。自分の羽を血が出るまで噛んだりしたよ」
脩が驚いたようにシマフクロウを見る。シマフクロウが恥ずかしそうに羽をバサリと動かす。その羽をじっと見つめるヤンバルクイナ。
「大丈夫だよ。ずっとストレス行動が続いたわけじゃない。徐々に、俺も俺の鳥も孤独に慣れた。大学生になって、いつか脩が急に戻るかもっていう思いと、裏切られたっていう思いが交互に押し寄せて日々混乱した。言い訳にならないけれど、その頃に気晴らしにセフレや一晩の相手を作ったりした。でも、傍に欲しいのは脩だけだ。恋人は作っていない。毎日、脩の好きな食べ物を作って、脩がもしかしたら急に帰ってくるかもって考えて過ごした。数日おきに保護局本庁に脩の事を尋ねに通った。脩が生きている事しか教えてもらえなくて苦しさに悲鳴を上げたくなる日々だった。そんな大学三年のある日、分身鳥差別と分身鳥人権問題にかかわる弁護士さんと会った。あの出会いが無ければ、脩に会えなかったかもしれない」
「咲人も、苦しかったんだ……」
こぼれるような一言。胸が詰まるような声。
「脩の経験した辛さに比べたら何でもない事だったよ。俺の心が弱かっただけだ」
横にいる脩の髪をそっと触る。
「弁護士の加藤さんの手を借りて、脩の事を調べた。一年かかったよ。脩が強要されていたことも、その時知った。ショックで倒れそうだった。込み上げる衝動を抑えるのが大変だった。そのまま脩を救出するって時に三人目の妊娠が分かって。アメリカで出産後の救出になった。俺はそのまま大学を卒業して弁護士事務所の事務員になっているよ。結構有名な法人だよ」
「え? 咲人、仕事しているの? 出勤しなくていいの?」
「今は脩の傍に居ることが仕事」
「本当に? 大丈夫なの?」
「弁護士の先生たちが脩の賠償金を山ほど獲得してくれているよ。その中に俺への賠償金もある。お金は一生困らない。会社も事務員として在籍していいって言ってくれているしね」
「咲人、大人になっているね。いいな。僕は、ずっと止まったままだ。ずっと」
下を向いて震える手を握る脩。
「僕のこと調べているでしょ? 僕はバカだったんだ。自分のバカさに呆れる。僕は、汚いんだ。咲人に話せることが何も、ないよ。どこかの一室に閉じ込められて、時には自由も奪われて、ただ耐えるだけで、途中からよく覚えていない……」
話しながら脩の手が震えだす。
「覚えていないなら、忘れていい」
脩の足元に膝をつき手を握る。
「今、脩が俺のもとに居る。これは脩が頑張って生き抜いてくれたからだ。何よりも尊い事だよ。これからは一緒に生きて行こう。セックスが辛いなら一生セックスレスで良い。俺は脩が居ればいい」
そっと脩の頭を撫でる。
「どうしてアメリカに渡航する書類にサインしたの?」
「サインする書類がたくさんあって気が付かなかった。全部英語のもあった。管理局の人は、両性になると咲人の子が産めて家族になれるって言うから。咲人が他の最高位の分身鳥と子作りなんて嫌で仕方なくて、両性になる事を承諾した。でも、騙されていたんだ。気が付いたのが遅すぎたんだ」
「ひどい。脩の気持を利用したのか」
「大学生活、寂しい思いさせてゴメンね。楽しい生活だったはずなのになぁ」
寂しそうな笑いを正面から受け止める。脩から目を逸らさない。
「脩、一つだけ教えて。まだ俺のことが好き?」
下を向いて肩を震わせて泣く脩。腕の中に包みこんで、しっかりと伝える。
「俺は脩が好きだ。他の誰でもない。今の脩も含めて、大好きだ。笑い顔が可愛くて、真っすぐに俺を見る脩が大好きだ」
「……僕も、同じだよ。咲人が、好きだ」
絞り出す声に喜びが満ちる。
「じゃ、今日からまた恋人。今日から始めよう。俺たちは、今からまた歩みを揃えていこうよ」
「……僕で、良いのかな」
「脩がいいんだ」
嗚咽を溢して泣き崩れる脩。泣き疲れて眠るまで腕の中に包み込んでいた。気持ちが通じ合っていることが嬉しくて脩が愛おしかった。
その日から半月ほどをかけて二人でしてみたかったことを思い出して「恋人としてやりたいことリスト」を一緒に作った。小学生みたいだと何度も笑った。
まずは外で買い物。高校まで決められた範囲内の行動しか許されていなかった。大学生になったら一緒に買い物に行こうと何度も話していた。
今思えば些細な事だけれど当時は本当に楽しみにしていた。今日、それを実現している。一緒に外の道を歩いてスーパーに行く。結構寒いねって笑う脩が可愛かった。
肩に乗るヤンバルクイナが興味津々にキョロキョロする。寒さに強くないヤンバルクイナを温めるように寄り添うシマフクロウ。お互いの肩に乗る分身鳥が触れ合っている、いわゆる恋人歩き。
高校の校舎内では恥ずかしくてできなかった。大学になったら恋人歩きしたいねって図書室で話したことを思い出す。そっと脩の手をとる。驚いたように俺を見る脩。少し冷たい手を包み込んで歩く。脩が恥ずかしそうに笑うから俺が照れてしまう。
「笑うな。デートっぽいだろ?」
「あはは。デートだったのか。スーパーで?」
「いいんだよ。こうして外を二人で歩くだけで、幸せデートだ」
あはは、と笑う脩を見る。
体重が増えて日常生活には困らない程度に体力が戻った。顔にも柔らかさが戻った。一時は一緒に死んでもいいと思っていたけれど、やっぱり一緒に生きているほうが良いなぁとしみじみ感じる。
「スーパーデビューしたから、次はショッピングモールデビューする? 電車デビューや旅行もありか?」
「そんな次々と行けるかな?」
「行ってみようよ」
そうだね、と笑いあうことが嬉しい。
「脩、ゆっくり話すから、聞いて」
横に座って、そっと脩を撫でる。髪の艶も戻ってきた。目立っていた白髪もいつの間にかチラホラ見える程度に少なくなっている。この三か月の穏やかな日々が頭をよぎる。
「もし、辛くて生きているのが嫌なら、俺が一緒に死ぬよ」
前を向いて聞いていた脩が、身体をビクリとさせて俺を見る。
「俺も、俺のシマフクロウも同じ気持ちだ。俺たちは、もう二度と脩とヤンバルクイナを辛い中に置き去りにしない。ずっと一緒にいる」
そっと、左手の傷跡にキスをする。もう孤独に死のうとしないで。そう願いを込めてキスを落とす。脩の動揺が伝わってくる。脩が俺をみて、弱弱しい声を出す。
「咲人、だめだよ。咲人には、また新しい恋人ができるよ。誰かを愛して、家族、を作って、幸せに生きて行けるから。もう僕とは、違う道にいるんだよ」
「脩とじゃなきゃ、幸せになんてなれない。大学生の時は脩が居なくなって寂しくてセフレを作ったことがある。でも、恋人にはならなかった。あの頃は、脩がどこで何をしているか分からなかったんだ。今は、脩が苦しんでいた時期にそんなことをしていた自分が許せない。脩に申し訳なくて、罪悪感で脩に向き合えない自分が居た。そんな俺の態度が誤解を与えていたと思う。ゴメン。本当に、ゴメン」
「……いいんだ。咲人には、綺麗で可愛い恋人や奥さんができて、可愛い子供ができて、幸せに暮らせるよ。僕のことは忘れていいから。今まで、ありがとう」
どこか遠くを見つめる脩。その深い悲しみと傷ついた心が痛々しくて、脩をしっかりと腕の中に抱き留める。俺は、もう間違えたくない。
「脩、俺の気持ちを置き去りにするな。俺を見て。俺は脩以外を愛することは無い。シマフクロウとヤンバルクイナを見ればわかる。二鳥でいることの幸せが溢れているじゃないか。脩には、伝わっていない? これ以上の相手が見つかると思う?」
二鳥を見てフルフルと頭を横に振る脩。二鳥は寄り添うようにして脩を見ている。
「だけど、だけどもう、辛い思いも苦しいのも、嫌なんだ……。もう、耐えられないよ……」
「一人で抱えなくていい。離れていたときのこと、お互いに話してみない? 知らない時間があるから不安になるんだ、きっと。脩が辛ければ俺から話すから」
腕の中の脩に問いかける。
「俺のこと。脩と離れていた時間を聞きたくない?」
しばらく沈黙。小さく脩が頷く。
「じゃ、お茶もう一度温めてくるよ。ちょっと一休憩して、ゆっくり話そう」
ソファーで一息つく。温かい飲み物で、心も落ち着く。全てを話す覚悟を決める。
「高校の卒業三週間前だったよね。脩が突然いなくなって。今では、もちろん理由が分かっているよ。でも、その時は突然の孤独で苦しくて潰れそうだった。ずっと二人で生きて行けると思っていたから。俺の鳥も、脩の鳥に会えないことを受け入れられなくて、ストレス行動がひどかったよ。羽をむしって禿が出来た。自分の羽を血が出るまで噛んだりしたよ」
脩が驚いたようにシマフクロウを見る。シマフクロウが恥ずかしそうに羽をバサリと動かす。その羽をじっと見つめるヤンバルクイナ。
「大丈夫だよ。ずっとストレス行動が続いたわけじゃない。徐々に、俺も俺の鳥も孤独に慣れた。大学生になって、いつか脩が急に戻るかもっていう思いと、裏切られたっていう思いが交互に押し寄せて日々混乱した。言い訳にならないけれど、その頃に気晴らしにセフレや一晩の相手を作ったりした。でも、傍に欲しいのは脩だけだ。恋人は作っていない。毎日、脩の好きな食べ物を作って、脩がもしかしたら急に帰ってくるかもって考えて過ごした。数日おきに保護局本庁に脩の事を尋ねに通った。脩が生きている事しか教えてもらえなくて苦しさに悲鳴を上げたくなる日々だった。そんな大学三年のある日、分身鳥差別と分身鳥人権問題にかかわる弁護士さんと会った。あの出会いが無ければ、脩に会えなかったかもしれない」
「咲人も、苦しかったんだ……」
こぼれるような一言。胸が詰まるような声。
「脩の経験した辛さに比べたら何でもない事だったよ。俺の心が弱かっただけだ」
横にいる脩の髪をそっと触る。
「弁護士の加藤さんの手を借りて、脩の事を調べた。一年かかったよ。脩が強要されていたことも、その時知った。ショックで倒れそうだった。込み上げる衝動を抑えるのが大変だった。そのまま脩を救出するって時に三人目の妊娠が分かって。アメリカで出産後の救出になった。俺はそのまま大学を卒業して弁護士事務所の事務員になっているよ。結構有名な法人だよ」
「え? 咲人、仕事しているの? 出勤しなくていいの?」
「今は脩の傍に居ることが仕事」
「本当に? 大丈夫なの?」
「弁護士の先生たちが脩の賠償金を山ほど獲得してくれているよ。その中に俺への賠償金もある。お金は一生困らない。会社も事務員として在籍していいって言ってくれているしね」
「咲人、大人になっているね。いいな。僕は、ずっと止まったままだ。ずっと」
下を向いて震える手を握る脩。
「僕のこと調べているでしょ? 僕はバカだったんだ。自分のバカさに呆れる。僕は、汚いんだ。咲人に話せることが何も、ないよ。どこかの一室に閉じ込められて、時には自由も奪われて、ただ耐えるだけで、途中からよく覚えていない……」
話しながら脩の手が震えだす。
「覚えていないなら、忘れていい」
脩の足元に膝をつき手を握る。
「今、脩が俺のもとに居る。これは脩が頑張って生き抜いてくれたからだ。何よりも尊い事だよ。これからは一緒に生きて行こう。セックスが辛いなら一生セックスレスで良い。俺は脩が居ればいい」
そっと脩の頭を撫でる。
「どうしてアメリカに渡航する書類にサインしたの?」
「サインする書類がたくさんあって気が付かなかった。全部英語のもあった。管理局の人は、両性になると咲人の子が産めて家族になれるって言うから。咲人が他の最高位の分身鳥と子作りなんて嫌で仕方なくて、両性になる事を承諾した。でも、騙されていたんだ。気が付いたのが遅すぎたんだ」
「ひどい。脩の気持を利用したのか」
「大学生活、寂しい思いさせてゴメンね。楽しい生活だったはずなのになぁ」
寂しそうな笑いを正面から受け止める。脩から目を逸らさない。
「脩、一つだけ教えて。まだ俺のことが好き?」
下を向いて肩を震わせて泣く脩。腕の中に包みこんで、しっかりと伝える。
「俺は脩が好きだ。他の誰でもない。今の脩も含めて、大好きだ。笑い顔が可愛くて、真っすぐに俺を見る脩が大好きだ」
「……僕も、同じだよ。咲人が、好きだ」
絞り出す声に喜びが満ちる。
「じゃ、今日からまた恋人。今日から始めよう。俺たちは、今からまた歩みを揃えていこうよ」
「……僕で、良いのかな」
「脩がいいんだ」
嗚咽を溢して泣き崩れる脩。泣き疲れて眠るまで腕の中に包み込んでいた。気持ちが通じ合っていることが嬉しくて脩が愛おしかった。
その日から半月ほどをかけて二人でしてみたかったことを思い出して「恋人としてやりたいことリスト」を一緒に作った。小学生みたいだと何度も笑った。
まずは外で買い物。高校まで決められた範囲内の行動しか許されていなかった。大学生になったら一緒に買い物に行こうと何度も話していた。
今思えば些細な事だけれど当時は本当に楽しみにしていた。今日、それを実現している。一緒に外の道を歩いてスーパーに行く。結構寒いねって笑う脩が可愛かった。
肩に乗るヤンバルクイナが興味津々にキョロキョロする。寒さに強くないヤンバルクイナを温めるように寄り添うシマフクロウ。お互いの肩に乗る分身鳥が触れ合っている、いわゆる恋人歩き。
高校の校舎内では恥ずかしくてできなかった。大学になったら恋人歩きしたいねって図書室で話したことを思い出す。そっと脩の手をとる。驚いたように俺を見る脩。少し冷たい手を包み込んで歩く。脩が恥ずかしそうに笑うから俺が照れてしまう。
「笑うな。デートっぽいだろ?」
「あはは。デートだったのか。スーパーで?」
「いいんだよ。こうして外を二人で歩くだけで、幸せデートだ」
あはは、と笑う脩を見る。
体重が増えて日常生活には困らない程度に体力が戻った。顔にも柔らかさが戻った。一時は一緒に死んでもいいと思っていたけれど、やっぱり一緒に生きているほうが良いなぁとしみじみ感じる。
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