アルファ王子に嫌われるための十の方法

小池 月

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Ⅹ 辿り着いた幸せ

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「リンのバカヤロウ!」
急に怒鳴り声が聞こえて驚いて目を開けた。眩しい光。逆光で周囲の人が見えない。

「そんなの知っている! お前が俺を嫌いなわけ無いだろうが!」

声を出そうとして深く息を吸い込むとゴホゴホとむせる。むせると嘔吐感が込み上げて、リンはゴボッと水を吐いた。

「話さなくていい。水を飲んでいる。すぐに病院に向かうから。助かって良かった。神に感謝する! リンが死ななくて良かった」

カロール殿下に抱きしめられる。リンとカロール殿下がずぶ濡れ。働かない頭で考える。もしかしてカロール殿下が川に入ったのだろうか。リンは助かってしまったのだろうか。

「リン。俺の特技の一つは、水泳だ」

カロール殿下の凛とした声が聞こえて、リンの頭には『またしても作戦失敗……』という言葉が浮かんだ。その感覚が懐かしいと思いながら、リンは疲労感と苦しさに目を閉じた。



「カロール殿下。そろそろコレはいいにしてもらえませんか?」
「だめだ。絶対にだめ。リンの信用は俺の中で急降下したから」
リンが川に入った事件から二週間が経過している。現在、リンの手首に赤いリボンが着けられていて、その先はカロール殿下の手首に繋がっている。ちょっと不便なのだけどなぁとリンは肩をすくめる。

だけどリンはカロール殿下の不安を煽ってしまったから殿下の気が済むようにさせようと思っている。

 あの時、リンは水に沈んだと思ったのに、すぐカロール殿下に引き上げられたらしい。その後、川の水が肺に入ったせいでリンは肺炎を起こした。

一週間は高い熱が続いてよく覚えていない。その後の一週間は咳と息苦しさが続いている。その間にセレスの発情期が終わった。

 ドーラ殿下とセレスが事の経緯を知ったのはリンが熱を出している時だった。二人が泣いて怒ったらしい。熱が出て朦朧としているリンに「これほどリンを大切に思っているのが分からないのか!」と詰め寄ったらしい。

特にセレスがブチ切れたらしい。見なくて良かったとリンは思う。可愛いセレスのそんな顔は知らなくていい。カロール殿下が「リン、今後セレスは怒らせるな」とリンに言ったくらいだから、相当怖かったのだと思う。


「少し起きてみようと思います」
「分かった。咳は大丈夫? 室内? それとも城内を歩いてみる?」

「午前の暑くないうちに中庭に行きたいです。苦しくなったら戻ります」
「いいよ。じゃ、朝食を昨日より食べる事が条件だ」

「はい。善処します」
リンが微笑めばカロール殿下がリンの頬にキスを落とす。くすぐったい。


 リンは記憶がしっかり戻っている。この王城で何が起きたか、自分がどうなったのか記憶にある。リンは消えたかったのに、カロール殿下は『リンに生きて欲しい』と泣いて懇願してきた。その姿を見たらリンは人生を終わらせようとは考えられなくなった。とにかく身体の回復を優先しようと言われて、ちゃんと話が出来ていないまま今日に至る。

 ちなみに発情期が終わったドーラ殿下とセレスは終戦記念祝賀祭の王都を楽しめたようだ。それからリンの体調が整うまで滞在延長をしている。二人で楽しそうだ。そして毎日見舞いに顔を出す。

リンに構わずザザ国へ帰国していただきたいと願い出たら「リンはバカか! 滞在を引き延ばしてセレスと過ごす時間を確保する良い口実だろうが!」とドーラ殿下に説教された。相変わらずドーラ殿下らしいセレス中心の世界だ。
 

 リンは貴賓室からカロール殿下の居室に移動している。体調が悪いと考えがまとまらなくて自分の事と今後については考えないようにしていた。だけど、そろそろ話をしなくてはいけない。カロール殿下の居室で殿下と共に過ごせるのは婚約者か王太子妃のみだ。この現状に向き合わなくてはいけないだろう。

「そう言えば、ハカルたちは元気にしておりますか?」
数か月だけど一緒に過ごした侍女たちだ。顔を見たいと思ったが、王城で見かけていない。元気にしているのかリンは気になった。

「リンの部屋につけていた侍女たちはもう居ない。城勤めを辞めている」
「え? どうして?」

ハカルの王家に絶対服従の姿勢を思うと辞めたのが信じられなかった。
「リンにつけていたのだ。リンを守れないのなら、そのような無能はいらん」
カロール殿下の冷たい言葉に驚く。

「解雇、したのですか?」
「王城に勤める以上は仕方がないことだ」
カロール殿下は下を向いたままだ。リンには何が正しいのか分からなくて困惑する。

「食後の散歩でリンの気になっていることを話すよ」
顔を上げた殿下の言葉にリンはコクリと頷く。リンの方を見ない殿下の横顔が思い詰めているかのように見えた。リンと同じように、カロール殿下も離れている間に抱え込んだことがあるのだろうと感じた。


朝食は静かにゆっくりいただいた。食欲はまだ戻らないけれど食べないと散歩に行けないから少しでも多く食べるように頑張った。


「去年の秋冬は一緒に庭に出たね。懐かしい」
「はい。でも冬と違うのは日よけの傘を侍従に持っていただく申し訳なさでしょうか」
「ははは。そうか。気になるよな」

夏は陽射しが強い。庭の散歩をすると傘持ちの侍従が付き添い日陰を作ってくれる。リンは自分で日よけの傘を持つと伝えたが却下された。カロール殿下と二人だけのつもりが傍に人がいる。

「リン、今は体調を考えながら花を楽しんで。休憩で東屋に冷茶を用意している。そこでは俺とリンの二人だ」
「わかりました。王城の庭はいつもきれいですね。冬とは違った雰囲気です」

「ま、王族の住む城だから手入れは抜群だろうね」
カロール殿下の言葉に『そりゃそうか』と納得してリンは微笑む。美しい薔薇の花の香りを楽しもうとして深く息を吸い込んだが、むせた。むせると咳が連続して出始める。咳が続くと胸が締め付けられるように痛む。

「ゴホッ、ゴホッ、すみ、ませ、ゴホッ」
「リン、東屋に行こう」
リンの肩を抱き支えながら歩くカロール殿下。なかなか咳が治まらず途中から抱き上げられて東屋に移動した。

東屋には座り心地の良い長椅子ソファーと一人座りソファーが数個ある。庭に小部屋を造ったかのような休憩所だ。リンは長椅子ソファーに降ろされた。しばらく身体を横にしていると呼吸も落ち着いた。

「もう、大丈夫です。すみません」
「そうか。良かった。リンを苦しめる薔薇など全て刈ってしまおう。薔薇を手入れした庭師はクビにしよう」
優しい顔のカロール殿下の発言にリンは慌てる。あの綺麗な薔薇が無くなるのは嫌だ。

「ダメです。僕は植物が好きです。綺麗な薔薇は残してください。庭師には責任がありません。僕の咳は薔薇のせいではありません」
リンを守るためと言いながら極端な考えをするカロール殿下が、リンには哀れに思えた。孤独で寂しそうに見えてしまう。

このまま権力を使い個人的な制裁をしていけば、ただの独裁者になってしまう。カロール殿下にそうなって欲しくない。

「カロール殿下の守るべきは、僕ですか?」
「そうだ。それ以外など、どうでもいい」

「カロール様、後ろを見てください。控えている侍女や侍従を、見てください。カロール殿下が守るのはこの国です。ここに暮らす彼らです。そして、この国の中に僕がいるのです」
意味が分からないという表情のカロール殿下。

「カロール殿下の権力を、国を守るために使ってほしいのです」
「いや、俺の守るべきは一つで良い。リンが居ればいい」

「僕はカロール様こそ国を統べる人だと思っています。僕の期待は裏切られるのですか?」
はっとしたようにカロール殿下が目を見開く。

「今のカロール様の考える個人的制裁と偏った正義に権力を行使してほしくありません。権力を正しく使う心をカロール殿下は持っている方だと、僕は思っています」
しばらくリンを見つめたままのカロール殿下。

「そうか。そうだった。思い出した。リンを婚約者に選んだとき、金の首保護帯ならば何でもいいから送れと指示した。そんな俺が自分の傲慢さに気が付き反省したときと同じ気分だ。やはり俺にはリンが必要だ。自分の欠けていた部分を見つけた感覚だ」

カロール殿下がリンの左腕のブレスレットに触れる。
「体調が良ければ、離れていた間の話をしようか」
「はい」
リンの手を包み込むようにしてカロール殿下がリンの横に座る。テーブルには飲み物と果物、洋菓子が並ぶ。冷えた果実水をカロール殿下と飲んで自然の風を楽しむ。静かな休息。

「俺がリンを王城に残して地方視察に出かけた日を覚えている?」
リンはコクリと頷く。苦しい記憶だ。

「俺は帰ったらリンに渡そうとお土産を買って、似合いそうな髪飾りを買って、ご機嫌で城に帰ったんだ。可愛いリンを腕の中に抱き締めたくて部屋に飛び込んだ。ところが部屋の中は閑散としていた。意味が分からなかった。するとダロ侯爵が俺をたずねてきた」
聞きたくない侯爵家の名にリンは顔をしかめる。

「ダロ侯爵が俺と父王の不在時にリンを断罪した、と誇らしげに言った。裁判記録と処罰執行記録を嬉しそうに差し出してきた。ダロ侯爵の言っている意味が飲みこめず、手が震えたよ。心臓が張り裂けそうに速くなったのを覚えている。混乱しながら書類を読んだ。報告の写真を見た。我慢できずダロ侯爵を殴っていた。侍従が止めなければ殴り殺していた。あれほどの怒りを俺は経験したことが無かった」

リンの隣に居ながら遠くに存在しているようなカロール殿下。糸の切れた凧のように飛んで行ってしまいそうな様子に、慌ててリンがカロール殿下の手を握る。ここに居ます、と伝わるように力を込める。カロール様がリンに気が付いて目線を合わせてくれる。大丈夫だろうか、と不安になる。

「ダロ侯爵家は俺の婚約者を断罪したとして反逆罪とした。リンにしたように一族全員に鞭打ちと焼き印をして処刑した。リンの立場が侯爵家より上であることをダロ侯爵は理解していた。だから侯爵家は処刑されて当然だ。だが、元を辿れば、俺が権力争いに口を出さなかったことで、何をしても許されると思わせてしまったのだろう」

「え? 一族全員に、その罰を与えたのですか? 全員、処刑したのですか?」
あまりの恐怖にリンの手が震える。リンの頬を叩いた令嬢を思い出す。怖い人だったけれど、処刑されたと考えると背筋がゾッとした。何と言って良いのか分からない。顔を青くするリンを見てカロール殿下が項垂れる。

「許せなかったんだ。心の底から燃え上がる怒りをコントロールできなかった。やりすぎていた、かもしれない」
しばらくの沈黙。

「だが、俺は次期王として引き返すわけにはいかない。振り返っても立ち止まれないのだ。自分でも混乱したよ。そしてダロ侯爵家を断罪しても気持ちは晴れなかった。それから不法の森に何度も行った。リンを助けたかった。見つけたかった。そんな時、行方不明になっていたルーがリンのブレスレットを持ち帰った。その包みにはザザ国王家の紋章があった。もしかしたらザザ国にリンが保護されているかもしれないと希望が持てた。どうにかザザ国と連絡を取りたいと思っていたところへ、ドーラからの親書がきた。何度かやりとりをして、記憶喪失の黒髪オメガを保護しているとの情報まで引き出せた。ドーラはアローラ国に運命のオメガがいて会いたいと訴えてきた。互いに利害一致で国交もうまくいった。神の導きだと思えた。リンに会えたら全てが報われる気がしていた」

リンは静かに聞いた。吐き出すようなカロール殿下の言葉を受け止めるのはリンだと思った。
「カロール殿下は、後悔していますか?」

「後悔だらけだ。これまで前だけを向いて歩んできた気がする。だが、最近は自分が正しいのか、分からん」

「それで良いのだと思います。何が正しいのかは神様にしか分からないでしょう。僕はオメガですが不自由なく甘やかされて育ったと今になって分かります。世の中にはオメガで苦しんでいる人がたくさん居る。それを知ったのはカロール殿下と出会ってからです。僕自身も本当に苦しい思いを沢山しました。でも、それが人を愛するってことなのだと知りました。辛くても苦しくても、僕はカロール様に出会えて良かったです」

カロール殿下を包み込むようにリンが抱きしめる。大きな殿下をリンで満たし尽くしてあげたくなる。時々こんなことがあるなぁとリンは懐かしくなる。

「カロール様が好きです。愛しています。僕がそばで支えていきます。反省と後悔を未来に繋いでいきませんか?」
リンの腕の中でカロール殿下が嗚咽を漏らす。泣いている。

「あぁ。リンとともに、生きていきたい。俺が正しくいられるために、共に歩んでほしい」
「はい」
リンの心が全て満たされて身体が温まるような感覚。そうだ、これは幸せだ。そんな事を考えてリンは微笑む。

「僕は背中に焼き印と醜い傷が残ってしまいました。それでもカロール殿下の隣に居て良いのでしょうか?」
カロール殿下が顔を上げてリンを見つめる。

「リンの傷は俺の罪だ。リンに負わせてしまいすまない。リンは罪人ではない。俺の伴侶で未来の王妃だ」
「はい」
リンは静かに涙を流した。

 全ての不安がリンから飛び去っていくかのように感じた。ドーラ殿下の『前を見て生きろ、諦めるな』という言葉がリンの頭に浮かんだ。これまでギリギリで助けてもらえた全ての事に感謝して、リンは泣いた。

 背中の傷は無かったことに出来ない。カロール殿下の過激な制裁も無かったことに出来ない。苦しい気持ちは残るであろう。でも、その全てを受け止めて前に進んでいきたい。きっとカロール殿下も同じ気持ちだ。カロール殿下を見つめて触れるだけのキスをする。突然のことに驚いた顔をするカロール殿下。

「あなたを、愛しています」
もう一度伝えた。

カロール殿下がリンを膝の上に抱き直し、深くキスをする。キスをしながらリンの口の中に「俺も愛している」と言葉を注ぎ込んでくる。まるでアルファのフェロモンが身体に浸透するように、『愛している』がリンの中に入り込む。全ての神経がカロール様に支配されるようで気持ちがいい。

「発情期ではないが、抱きたい。リンを愛したい」

耳元で囁かれるカロール殿下の言葉に「はい」と頷いた。

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