顔も知らない番のアルファよ、オメガの前に跪け!

小池 月

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Ⅴ 芸能スクープ

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 「じゃ、今回はメインがLUCaだからね。LUCaが映えるようにいくよ」
カメラマンの声に「はい」と答える。スタッフはプロ精神のある方たちだった。ルカに憐れみの目を向けることはなくキチキチと仕事をこなす。おかげでルカは普段道理の撮影が出来た。

昼から始めた撮影は夕刻には終了。
「お疲れ様です」

「お疲れ。なぁ、ルカ。報道が出てから部屋に引きこもっているのか? 外出しているか?」
涼に小さな声で聞かれる。横に居るノボルも心配そうにこちらを見ている。

「自宅にいるよ。えっと、抑制剤とか増やして副作用もあるから、静かにしていたよ」
心配かけまいと話したのに、さらに心配顔になる二人。

「たまには俺たちと会わないか? ずっと自宅も辛いだろう?」
ノボルの優しい言葉に揺らぐ。外出、この二人となら大丈夫かも。実際に今日は人と会ったことで気持ちが楽になっている。これまでプライベートで会う事をしてこなかったけれど出かけてみたいと思った、けれど。

「ルカ。だめだよ。今は事務所からも出来るだけ外出しないように言われているだろう?」
後ろから川口さんが声をかけてくる。
「どうしても、ダメですか?」
ルカは素直に「はい」と答えられなかった。

「マネージャーがプライベートまで管理するなよ。今回はルカの起こした不祥事じゃないだろ? 謹慎じゃないはずだ」
涼が冷たい声を出す。

「ルカはオメガなんだ。弱い存在なんだ。お前らアルファとは違うんだよ」

川口さんが涼に向けた言葉がルカの胸にグサリと刺さる。『弱い存在。アルファとは違う』少し悔しいような何とも言えない気持ちになる。その時。

「失礼する。ルカはいるか?」
響く声とともに現れた人物。

スタジオ内が一瞬静寂になる。皆が彼を目で追う。入り口に背を向けていたルカが何事かと振り返ろうとするが、急にノボルに抱きしめられてノボルの胸に顔を埋める。間近にノボルのアルファの香り。ノボルの匂い以外分からなくなる。

「うわ、ノボル!?」
ノボルは撮影以外の接触をしてきたことが無い。バースハラスメントになるから。驚いてノボルの腕から離れようとするが強い力で抱き締められる。そして、すぐに頭痛。

「痛っ。な、なに?」
次の瞬間、ひれ伏したくなるような恐怖に心臓がバクバク鳴り出す。これ、アルファの威圧だ! 圧迫に呼吸が苦しい! 次第に立っていられなくなりノボルにだらりと寄りかかる。冷汗が出る。

「何しに来た?」
耳鳴りの中に涼の声。
「ルカに手出しするな」
ノボルの声もやけにハッキリ聞こえる。

だけど、怖くて、苦しくて。涙がホロホロ流れる。震えるルカの身体をノボルが守るように抱きしめているけれど全然楽にならない。

「威圧を解け。ルカが苦しむ」
静かな蓮の声。助けて。すがるように蓮の声のほうに手を伸ばす。

「近づくな!」
涼の声。頭痛がひどくなる。お願い、もう、やめて。

「その程度の威圧は俺には効かない。ルカと周囲を苦しめるだけだ」
アルファ二人の威圧をものともせず余裕の蓮の声。ルカには何となく分かる。オメガの本能だろうか。この場のアルファの中で一番強いアルファは蓮だ。

もう限界だ、と思ったけれど身体が楽になる。涼とノボルがアルファの威圧を解いたのだと分かる。ルカは荒い息をしながら床に膝をついた。
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