18 / 38
Ⅴ 芸能スクープ
④
しおりを挟む
「じゃ、今回はメインがLUCaだからね。LUCaが映えるようにいくよ」
カメラマンの声に「はい」と答える。スタッフはプロ精神のある方たちだった。ルカに憐れみの目を向けることはなくキチキチと仕事をこなす。おかげでルカは普段道理の撮影が出来た。
昼から始めた撮影は夕刻には終了。
「お疲れ様です」
「お疲れ。なぁ、ルカ。報道が出てから部屋に引きこもっているのか? 外出しているか?」
涼に小さな声で聞かれる。横に居るノボルも心配そうにこちらを見ている。
「自宅にいるよ。えっと、抑制剤とか増やして副作用もあるから、静かにしていたよ」
心配かけまいと話したのに、さらに心配顔になる二人。
「たまには俺たちと会わないか? ずっと自宅も辛いだろう?」
ノボルの優しい言葉に揺らぐ。外出、この二人となら大丈夫かも。実際に今日は人と会ったことで気持ちが楽になっている。これまでプライベートで会う事をしてこなかったけれど出かけてみたいと思った、けれど。
「ルカ。だめだよ。今は事務所からも出来るだけ外出しないように言われているだろう?」
後ろから川口さんが声をかけてくる。
「どうしても、ダメですか?」
ルカは素直に「はい」と答えられなかった。
「マネージャーがプライベートまで管理するなよ。今回はルカの起こした不祥事じゃないだろ? 謹慎じゃないはずだ」
涼が冷たい声を出す。
「ルカはオメガなんだ。弱い存在なんだ。お前らアルファとは違うんだよ」
川口さんが涼に向けた言葉がルカの胸にグサリと刺さる。『弱い存在。アルファとは違う』少し悔しいような何とも言えない気持ちになる。その時。
「失礼する。ルカはいるか?」
響く声とともに現れた人物。
スタジオ内が一瞬静寂になる。皆が彼を目で追う。入り口に背を向けていたルカが何事かと振り返ろうとするが、急にノボルに抱きしめられてノボルの胸に顔を埋める。間近にノボルのアルファの香り。ノボルの匂い以外分からなくなる。
「うわ、ノボル!?」
ノボルは撮影以外の接触をしてきたことが無い。バースハラスメントになるから。驚いてノボルの腕から離れようとするが強い力で抱き締められる。そして、すぐに頭痛。
「痛っ。な、なに?」
次の瞬間、ひれ伏したくなるような恐怖に心臓がバクバク鳴り出す。これ、アルファの威圧だ! 圧迫に呼吸が苦しい! 次第に立っていられなくなりノボルにだらりと寄りかかる。冷汗が出る。
「何しに来た?」
耳鳴りの中に涼の声。
「ルカに手出しするな」
ノボルの声もやけにハッキリ聞こえる。
だけど、怖くて、苦しくて。涙がホロホロ流れる。震えるルカの身体をノボルが守るように抱きしめているけれど全然楽にならない。
「威圧を解け。ルカが苦しむ」
静かな蓮の声。助けて。すがるように蓮の声のほうに手を伸ばす。
「近づくな!」
涼の声。頭痛がひどくなる。お願い、もう、やめて。
「その程度の威圧は俺には効かない。ルカと周囲を苦しめるだけだ」
アルファ二人の威圧をものともせず余裕の蓮の声。ルカには何となく分かる。オメガの本能だろうか。この場のアルファの中で一番強いアルファは蓮だ。
もう限界だ、と思ったけれど身体が楽になる。涼とノボルがアルファの威圧を解いたのだと分かる。ルカは荒い息をしながら床に膝をついた。
カメラマンの声に「はい」と答える。スタッフはプロ精神のある方たちだった。ルカに憐れみの目を向けることはなくキチキチと仕事をこなす。おかげでルカは普段道理の撮影が出来た。
昼から始めた撮影は夕刻には終了。
「お疲れ様です」
「お疲れ。なぁ、ルカ。報道が出てから部屋に引きこもっているのか? 外出しているか?」
涼に小さな声で聞かれる。横に居るノボルも心配そうにこちらを見ている。
「自宅にいるよ。えっと、抑制剤とか増やして副作用もあるから、静かにしていたよ」
心配かけまいと話したのに、さらに心配顔になる二人。
「たまには俺たちと会わないか? ずっと自宅も辛いだろう?」
ノボルの優しい言葉に揺らぐ。外出、この二人となら大丈夫かも。実際に今日は人と会ったことで気持ちが楽になっている。これまでプライベートで会う事をしてこなかったけれど出かけてみたいと思った、けれど。
「ルカ。だめだよ。今は事務所からも出来るだけ外出しないように言われているだろう?」
後ろから川口さんが声をかけてくる。
「どうしても、ダメですか?」
ルカは素直に「はい」と答えられなかった。
「マネージャーがプライベートまで管理するなよ。今回はルカの起こした不祥事じゃないだろ? 謹慎じゃないはずだ」
涼が冷たい声を出す。
「ルカはオメガなんだ。弱い存在なんだ。お前らアルファとは違うんだよ」
川口さんが涼に向けた言葉がルカの胸にグサリと刺さる。『弱い存在。アルファとは違う』少し悔しいような何とも言えない気持ちになる。その時。
「失礼する。ルカはいるか?」
響く声とともに現れた人物。
スタジオ内が一瞬静寂になる。皆が彼を目で追う。入り口に背を向けていたルカが何事かと振り返ろうとするが、急にノボルに抱きしめられてノボルの胸に顔を埋める。間近にノボルのアルファの香り。ノボルの匂い以外分からなくなる。
「うわ、ノボル!?」
ノボルは撮影以外の接触をしてきたことが無い。バースハラスメントになるから。驚いてノボルの腕から離れようとするが強い力で抱き締められる。そして、すぐに頭痛。
「痛っ。な、なに?」
次の瞬間、ひれ伏したくなるような恐怖に心臓がバクバク鳴り出す。これ、アルファの威圧だ! 圧迫に呼吸が苦しい! 次第に立っていられなくなりノボルにだらりと寄りかかる。冷汗が出る。
「何しに来た?」
耳鳴りの中に涼の声。
「ルカに手出しするな」
ノボルの声もやけにハッキリ聞こえる。
だけど、怖くて、苦しくて。涙がホロホロ流れる。震えるルカの身体をノボルが守るように抱きしめているけれど全然楽にならない。
「威圧を解け。ルカが苦しむ」
静かな蓮の声。助けて。すがるように蓮の声のほうに手を伸ばす。
「近づくな!」
涼の声。頭痛がひどくなる。お願い、もう、やめて。
「その程度の威圧は俺には効かない。ルカと周囲を苦しめるだけだ」
アルファ二人の威圧をものともせず余裕の蓮の声。ルカには何となく分かる。オメガの本能だろうか。この場のアルファの中で一番強いアルファは蓮だ。
もう限界だ、と思ったけれど身体が楽になる。涼とノボルがアルファの威圧を解いたのだと分かる。ルカは荒い息をしながら床に膝をついた。
178
あなたにおすすめの小説
【完結/BL】どうしても、また君に歌を届けたかった。
架月ひなた
BL
『ねえ歌ってよ、憐。オレ憐の歌好き』
不幸な境遇の中でもその言葉に救われていた二階堂憐は、小学生の頃に引っ越して離れ離れになった親友に、また歌が届くかも知れないと、アカペラ歌い手の動画配信者をしている。
昔両親が運営していた廃工場に行っては、歌の動画撮影をする日々。
ある日そこへ人気モデルの月城南人という男がやってくる。その男は幼馴染でもあり親友でもあった湊人だった。
他者からの愛情や触れ合う行為を恐怖に変換され、それがトラウマとなってしまい情緒的成長が止まってしまっている憐と、湊人が近すぎず遠すぎずに心の距離を保ちながらも距離を縮めていく。
甘く時に切ない純愛ストーリー。
だが、憐の過去が絡む時、事態は思わぬ方向へと転がっていく。
CP系統、人気モデル× 人気歌い手の動画配信者(幼馴染の親友同士)
広義のミステリー&サスペンス風味。
成長&純愛中編よりの長編ストーリー。
優等生αは不良Ωに恋をする
雪兎
BL
学年トップの優等生α・如月理央は、真面目で冷静、誰からも一目置かれる完璧な存在。
そんな彼が、ある日ふとしたきっかけで出会ったのは、喧嘩っ早くて素行不良、クラスでも浮いた存在のΩ・真柴隼人だった。
「うっせーよ。俺に構うな」
冷たくあしらわれても、理央の心はなぜか揺れ続ける。
自分とは正反対の不良Ω——その目の奥に潜む孤独と痛みに、気づいてしまったから。
番なんて信じない。誰かに縛られるつもりもない。
それでも、君が苦しんでいるなら、助けたいと思った。
王道オメガバース×すれ違い×甘酸っぱさ全開!
優等生αと不良Ωが織りなす、じれじれピュアな恋物語。
姉の男友達に恋をした僕(番外編更新)
turarin
BL
侯爵家嫡男のポールは姉のユリアが大好き。身体が弱くて小さかったポールは、文武両道で、美しくて優しい一つ年上の姉に、ずっと憧れている。
徐々に体も丈夫になり、少しずつ自分に自信を持てるようになった頃、姉が同級生を家に連れて来た。公爵家の次男マークである。
彼も姉同様、何でも出来て、その上性格までいい、美しい男だ。
一目彼を見た時からポールは彼に惹かれた。初恋だった。
ただマークの傍にいたくて、勉強も頑張り、生徒会に入った。一緒にいる時間が増える。マークもまんざらでもない様子で、ポールを構い倒す。ポールは嬉しくてしかたない。
その様子を苛立たし気に見ているのがポールと同級の親友アンドルー。学力でも剣でも実力が拮抗する2人は一緒に行動することが多い。
そんなある日、転入して来た男爵令嬢にアンドルーがしつこくつきまとわれる。その姿がポールの心に激しい怒りを巻き起こす。自分の心に沸き上がる激しい気持に驚くポール。
時が経ち、マークは遂にユリアにプロポーズをする。ユリアの答えは?
ポールが気になって仕方ないアンドルー。実は、ユリアにもポールにも両方に気持が向いているマーク。初恋のマークと、いつも傍にいてくれるアンドルー。ポールが本当に幸せになるにはどちらを選ぶ?
読んでくださった方ありがとうございます😊
♥もすごく嬉しいです。
不定期ですが番外編更新していきます!
ずっと二人で。ー俺と大好きな幼なじみとの20年間の恋の物語ー
紗々
BL
俺は小さな頃からずっとずっと、そうちゃんのことが大好きだった───。
立本樹と滝宮颯太は、物心ついた頃からの幼なじみ。いつも一緒で、だけど離れて、傷付けあって、すれ違って、また近づいて。泣いたり笑ったりしながら、お互いをずっと想い合い大人になっていく二人の物語です。
※攻めと女性との絡みが何度かあります。
※展開かなり遅いと思います。
ジャスミン茶は、君のかおり
霧瀬 渓
BL
アルファとオメガにランクのあるオメガバース世界。
大学2年の高位アルファ高遠裕二は、新入生の三ツ橋鷹也を助けた。
裕二の部活後輩となった鷹也は、新歓の数日後、放火でアパートを焼け出されてしまう。
困った鷹也に、裕二が条件付きで同居を申し出てくれた。
その条件は、恋人のフリをして虫除けになることだった。
平凡αは一途なΩに愛される
マイユニ
BL
子供の頃一度だけ会った男の子の事が忘れられず、その子に似た雰囲気の子と付き合っては別れるを繰り返してきた響介。
ある日全国にホテルを展開している会社の御曹司とお見合いをすることに。
どことなく初恋の人に面影が似ていて気になったが、相手は終始俯いていて乗り気に見えない。これは無理だなと思っていたのに何故か縁談はまとまり、結婚することに。
甘い結婚生活を期待していた響介に待っていたのは、甘いとは程遠い日常。相手の男は自室に引き籠もったまま出てこない。家事は完璧だが彼が行っているのか、人を雇っているのか定かではない。
この結婚生活に意味があるのか分からなくなり、離婚届を用意するまでに。
そんな時長年付き合ってきた人と結婚した大学時代からの友人の幸せそうな姿を目の当たりにする。彼と話をしようと決意して、帰宅すると彼は発情を起こしていた。
オメガバース設定です。
薬の開発が進んでいて発情を抑制できている世界です。
*マークは背後注意シーンがあります。
後半はずっといちゃついております。*マークずっとついています。
『初めてを君と』に出てきた理仁の友人で、二人も出てきます。
前作を読んでなくても大丈夫ですが、合わせて読んで頂けると嬉しいです。
僕がそばにいる理由
腐男子ミルク
BL
佐藤裕貴はΩとして生まれた21歳の男性。αの夫と結婚し、表向きは穏やかな夫婦生活を送っているが、その実態は不完全なものだった。夫は裕貴を愛していると口にしながらも、家事や家庭の負担はすべて裕貴に押し付け、自分は何もしない。それでいて、裕貴が他の誰かと関わることには異常なほど敏感で束縛が激しい。性的な関係もないまま、裕貴は愛情とは何か、本当に満たされるとはどういうことかを見失いつつあった。
そんな中、裕貴の職場に新人看護師・宮野歩夢が配属される。歩夢は裕貴がΩであることを本能的に察しながらも、その事実を意に介さず、ただ一人の人間として接してくれるαだった。歩夢の純粋な優しさと、裕貴をありのまま受け入れる態度に触れた裕貴は、心の奥底にしまい込んでいた孤独と向き合わざるを得なくなる。歩夢と過ごす時間を重ねるうちに、彼の存在が裕貴にとって特別なものとなっていくのを感じていた。
しかし、裕貴は既婚者であり、夫との関係や社会的な立場に縛られている。愛情、義務、そしてΩとしての本能――複雑に絡み合う感情の中で、裕貴は自分にとって「真実の幸せ」とは何なのか、そしてその幸せを追い求める覚悟があるのかを問い始める。
束縛の中で見失っていた自分を取り戻し、裕貴が選び取る未来とは――。
愛と本能、自由と束縛が交錯するオメガバースの物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる