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Ⅰ 恋愛天使のリカル
⑥
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つながっている恋愛の糸を切れるのは一か所だけ。糸を切った後、毛玉がついてしまった側の糸は次に繋がることが出来ない。毛玉が無い方の糸はまた誰かと繋がれる。
今回、リカルはトシの方に毛玉を寄せようかと思っていたが、これは悩ましい。咲良も彩香を傷つけている。
そっと過去の記憶を閉じて、リカルは泣き疲れて寝てしまった咲良を眺めた。
彼女からは後悔や恨み悲しさなど、様々な不満が溢れ出ている。苦しんでいるのは分かる。
けれど、咲良だけが被害者だと言えない過去がある。
マンションから離れてリカルは地上をトコトコ歩いた。たまにしたくなる猫の真似。誰の目にも止まらないけれど、本物の猫のようにグイっと伸びをしてみる。別に伸びをしたいわけじゃないけれど。
そんな自分に少し笑って猫気分でコンビニの近くを通りかかった。その時。
「あ、黒猫だ。可愛い」
女性の声に歩みを止めた。見上げるとジャージ姿の眼鏡女性がこちらを見ている。
一瞬ドキリとしたが、人間にリカルが見えているわけがないのだ。安堵して女性から目線を外して歩みを再開しようとしたが。
「野良猫かな? 赤いリボンしているから飼い猫かな? ほら、おいで」
首に巻いている赤いリボンまで言い当てられてしまい、この女性はリカルが見えているのだと分かった。
人の目に映るなんて有り得ない事だ。
リカルが恋愛天使になって百年以上が経つが、こんなことは初めてで驚きが隠せない。身体の奥でドキドキと鼓動が速まる。地上の者と関わりを持てるかもしれない。妙な期待が心に生じる。
女性を見上げたまま、リカルは静止した。
「あ、逃げない。良い猫だね。こんな時間に迷子かな? ね、カニカマ食べる?」
おいおい、猫に人用の食べ物出すのかよ、とリカルはツッコミを入れたくなった。よく見ると女性は酔っているようだ。
本当に食べ物を出されてもリカルは食べることが出来ない。それでも、人間と交流をしている自分に感動して女性から離れることが出来なかった。
「つかまえた!」
まさか人に触れられる事は無いと油断していた。けれど、なんと女性はリカルに触れた。リカルは女性に一瞬で抱き上げられていた。驚きすぎて『ニャーー』と猫の悲鳴でも上げようかと思ったくらいだ。
「可愛い~! モフモフ最高!」
女性がヘラヘラ笑いながらリカルを自宅まで連れて帰ってしまった。
女性から抜け出そうと思えばできたが、抱き上げられる感覚が嬉しくてリカルはじっとしていた。
今回、リカルはトシの方に毛玉を寄せようかと思っていたが、これは悩ましい。咲良も彩香を傷つけている。
そっと過去の記憶を閉じて、リカルは泣き疲れて寝てしまった咲良を眺めた。
彼女からは後悔や恨み悲しさなど、様々な不満が溢れ出ている。苦しんでいるのは分かる。
けれど、咲良だけが被害者だと言えない過去がある。
マンションから離れてリカルは地上をトコトコ歩いた。たまにしたくなる猫の真似。誰の目にも止まらないけれど、本物の猫のようにグイっと伸びをしてみる。別に伸びをしたいわけじゃないけれど。
そんな自分に少し笑って猫気分でコンビニの近くを通りかかった。その時。
「あ、黒猫だ。可愛い」
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「野良猫かな? 赤いリボンしているから飼い猫かな? ほら、おいで」
首に巻いている赤いリボンまで言い当てられてしまい、この女性はリカルが見えているのだと分かった。
人の目に映るなんて有り得ない事だ。
リカルが恋愛天使になって百年以上が経つが、こんなことは初めてで驚きが隠せない。身体の奥でドキドキと鼓動が速まる。地上の者と関わりを持てるかもしれない。妙な期待が心に生じる。
女性を見上げたまま、リカルは静止した。
「あ、逃げない。良い猫だね。こんな時間に迷子かな? ね、カニカマ食べる?」
おいおい、猫に人用の食べ物出すのかよ、とリカルはツッコミを入れたくなった。よく見ると女性は酔っているようだ。
本当に食べ物を出されてもリカルは食べることが出来ない。それでも、人間と交流をしている自分に感動して女性から離れることが出来なかった。
「つかまえた!」
まさか人に触れられる事は無いと油断していた。けれど、なんと女性はリカルに触れた。リカルは女性に一瞬で抱き上げられていた。驚きすぎて『ニャーー』と猫の悲鳴でも上げようかと思ったくらいだ。
「可愛い~! モフモフ最高!」
女性がヘラヘラ笑いながらリカルを自宅まで連れて帰ってしまった。
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