かたち

おが

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かたち

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運動会の組体操みたいな見事な連携で、「僕らここにいるよ」って芽吹き出した苗がそこらに広がり始めた頃。
たけるは自身のエネルギーを車輪に伝え、駆け回っていた。
「ゴーゴー!」とまるで周りに友達でもいる時のように大きな声を上げるが、ジメジメとした暑さにやられ、陰気雨の気配にやられた自分を奮い立たせているだけで、田舎道を一人風を切っている。
近所の白髪たちは狂気に満ちているような彼を不振がっているが、いつも楽しげな彼の様子は多くの人を惹きつけている。
自転車を止めて、坂を登り始めた。
彼の家は坂の上にあり、自転車は坂の下にある実家の倉庫に止めらようにしているのだ。
途中足元に温もりを感じた。
「うおっ」と思わず声をあげたが、いつものあいつだとすぐにわかった。
「びっくりさせるなよクロ~」
にゃあと鳴くクロを持ち上げて抱きしめる。今の季節は毛が抜け出す時期なので学校帰りの健の制服には黒い毛がいっぱいでシマウマのようなストライプになっているところができた。
しかしそんなことお構いなしに抱きしめるものだから、クロの方から嫌がって脱獄する。
今日はちゃんと形まで愛せれたかな?
小学生1年生の頃、学校の体育館裏でクロは捨てられていた。
ウロウロしていたとかではなく、確実に捨てられていた、人によって。
野良犬に襲われたことがあった健は犬は嫌いだったが、黒目をくりくりとさせ、こちらを覗き、「君は僕のこと愛してくれる?」と弱く問いかけるそれを無視することはできなかった。
父も、祖父も、生き物を飼う事を嫌っていたが、流石は末っ子の力。
多少のわがままは通った。
それから十数年、今ではおじいちゃんとなったクロから最近別れを告げられている気がする。
別に獣医からそんな事を言われたわけではないし、猫の平均寿命とかをみて思ったわけではない。
ただ、声が、目が、態度が、それを伝えようとしている。
健にはそんな気がしてならないのだ。
そこにある問が雨上がりの空から差し込む光のようにふってきた。
旅立つ君に僕は何を残したのだろう?
ちいさな頃死んだらどうなるんだろうと考え眠れなくなった事を思い出した。
あの時ほど弱くはないが、格別に強くなったわけでもない。
クロとの思い出を振り返るが、ありすぎてごちゃごちゃしているくらいだ。
冷静さを失っていた時、何の気無しに側にいたクロの頭を撫でてやる。
気持ちよさそうに目を閉じるその顔には幸せがぼわっと浮かんでいるように感じた。
いなくなったらもう触れることもできないんだな。
そこから健は手探りで土の中の宝を探るようにクロの形を覚え、愛していった。
脱獄したクロはぴょんと地面に降り、健と坂道を登っていく。
幼なじみだがおじいちゃんと青年、2人が湿った坂道の上を、同じステップで登っていく。
その日の空には虹がかかり、別れを惜しむようにゆっくりと消えていった。
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