1 / 1
花の香
しおりを挟む
朝誰も来ていない教室に向けて僕は出発の準備をする。急いで丼の米をかきこんで、自転車をめいいっぱいこいで、バスと同時に乗り場に着いて、汗を拭き、息を整えてから、学校を目指す。
いつもと変わらない景色を眺めたせいか、視覚がうんざりしていたんです。聞こえる音は毎日変わらず、耳が退屈していたのです。触覚、味覚、そして嗅覚。みんな固まったままだったのです。
機械みたいな歩みでバスに別れを告げ、コンクリートの道を踏んで学び舎に向かった。桜の咲いていない道を通り過ぎ、校門の前に立った。自転車置き場には忘れられたようにいくつかの車輪が伺える。そして下駄箱で靴を履こうと下を向いた時。
花の香り。
一体なんの花の香りかは知らないが、確かに花のような優しいものを鼻が感じ取っていた。
花は僕のすぐ側で、すんと凛と咲いていたのです。
綺麗で美しい花とともに階段を上ります。
一段、また一段。
僕が息をかけると、花は自由に揺れます。時には僕が思ってもいない揺れ方をして驚くこともありました。
しかし、そんなあなたの笑顔には僕が揺らされていたのです。
どんな人の笑顔も素敵ですが、あなたの笑顔には勝てるものはなかったなぁ。
あなたの横顔は何を考えているのか分からなかったけど、二つの距離と心は互いに引き合っていて、徐々に互いに歩みを寄せていました。
おっと!
気付けば教室、中にはクラスメイトが一人。
二人で入るには少し恥ずかしかったね。
そこから何も無かったかのように僕らは黙り込んで、それぞれの作業に取り掛かる。
クラスメイトにはニヤニヤされていたけど、そんなに悪い気もしなかった。
また教室の扉をあける音がした、クラスメイトはやってきたガールフレンドと共にどこかに行ってしまっちゃった。
「あの二人仲良いね。」
「そうやね。」
短い言葉を交わし始めました。
その後に僕がなにか言おうと口を動かしかけたのをあなたは見ていたかな?
それともあなたも心を投げようとしていたのでしょうか?
答えを知る方法を今は持ち合わせていないなぁ。
いつかまたあの花の香りを嗅ぐことは出来るのかなぁ。
今、桜の花びらと共に、あの香りが風に乗ってやって来ている気配を感じたような気がした。
いつもと変わらない景色を眺めたせいか、視覚がうんざりしていたんです。聞こえる音は毎日変わらず、耳が退屈していたのです。触覚、味覚、そして嗅覚。みんな固まったままだったのです。
機械みたいな歩みでバスに別れを告げ、コンクリートの道を踏んで学び舎に向かった。桜の咲いていない道を通り過ぎ、校門の前に立った。自転車置き場には忘れられたようにいくつかの車輪が伺える。そして下駄箱で靴を履こうと下を向いた時。
花の香り。
一体なんの花の香りかは知らないが、確かに花のような優しいものを鼻が感じ取っていた。
花は僕のすぐ側で、すんと凛と咲いていたのです。
綺麗で美しい花とともに階段を上ります。
一段、また一段。
僕が息をかけると、花は自由に揺れます。時には僕が思ってもいない揺れ方をして驚くこともありました。
しかし、そんなあなたの笑顔には僕が揺らされていたのです。
どんな人の笑顔も素敵ですが、あなたの笑顔には勝てるものはなかったなぁ。
あなたの横顔は何を考えているのか分からなかったけど、二つの距離と心は互いに引き合っていて、徐々に互いに歩みを寄せていました。
おっと!
気付けば教室、中にはクラスメイトが一人。
二人で入るには少し恥ずかしかったね。
そこから何も無かったかのように僕らは黙り込んで、それぞれの作業に取り掛かる。
クラスメイトにはニヤニヤされていたけど、そんなに悪い気もしなかった。
また教室の扉をあける音がした、クラスメイトはやってきたガールフレンドと共にどこかに行ってしまっちゃった。
「あの二人仲良いね。」
「そうやね。」
短い言葉を交わし始めました。
その後に僕がなにか言おうと口を動かしかけたのをあなたは見ていたかな?
それともあなたも心を投げようとしていたのでしょうか?
答えを知る方法を今は持ち合わせていないなぁ。
いつかまたあの花の香りを嗅ぐことは出来るのかなぁ。
今、桜の花びらと共に、あの香りが風に乗ってやって来ている気配を感じたような気がした。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
完結 そんなにその方が大切ならば身を引きます、さようなら。
音爽(ネソウ)
恋愛
相思相愛で結ばれたクリステルとジョルジュ。
だが、新婚初夜は泥酔してお預けに、その後も余所余所しい態度で一向に寝室に現れない。不審に思った彼女は眠れない日々を送る。
そして、ある晩に玄関ドアが開く音に気が付いた。使われていない離れに彼は通っていたのだ。
そこには匿われていた美少年が棲んでいて……
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
義務ですもの。
あんど もあ
ファンタジー
貴族令嬢の義務として親の決めた相手に嫁いだが、夫には愛する人がいた。夫にないがしろにされても、妻として母として嫁としての義務を果たして誠実に生きたヒロインの掴んだ、ちょっと歪んだ幸せとは。
妻を蔑ろにしていた結果。
下菊みこと
恋愛
愚かな夫が自業自得で後悔するだけ。妻は結果に満足しています。
主人公は愛人を囲っていた。愛人曰く妻は彼女に嫌がらせをしているらしい。そんな性悪な妻が、屋敷の最上階から身投げしようとしていると報告されて急いで妻のもとへ行く。
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる