ヒメとツミビト。

天乃 彗

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Main Story

戸棚のお菓子のヒミツ

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 ヒトシさんは、いつも私が持ってくるお菓子の量にぎょっとする。

「おい……それまたうちに置いてく気か」
「当たり前じゃない」

 いつも大量に買ってはヒトシさんの家にストックとして置いておくのだ。わざと多めに買って。

「何でそんなにたくさん買うんだよ……」
「いーじゃない、別に!」

 お菓子、好きなんだもん。刺々しく言って、お菓子を戸棚にしまう。ヒトシさんはわかってない。
 甘いチョコレート、クッキーにマドレーヌ。ポテトチップスとかスナック系もあるし、おせんべいとか、おまんじゅうとか、和風のものだって持ってきている。もちろん自分が好きだからってのもあるけれど、こんなにたくさんお菓子を持ってくるのは。

「……ヒトシさんも、食べていいよ?」
「いや、俺はいいよ。お前が自分で買ってきたやつだろ?」
「……そうだけど」

 私は唇を尖らせながら答えた。ヒトシさんは私がふてくされている理由なんか分かっていないようで、むしろ気遣いをしているのにどうして、みたいな顏をしている。

 このお菓子、全部全部、ヒトシさんが仕事で疲れてると思って、甘いのたくさん買ってるのに。仕事から帰ったヒトシさんと、一緒に食べたくて、食べきれないくらい、たくさん、たくさん。二人仲良く、お菓子を食べて。時には、あーん、なんてしてもらったりして。そんな甘いひとときを、過ごしたいと思ってるのに。
 いつもいつも、ヒトシさんは全く手をつけようとしない。ヒトシさんが仕事に行ったあとに部屋に入って戸棚を見ると、いつも、しまったときと同じ状態で。ヒトシさんが食べないから、私がたくさんのお菓子を全部食べることになって。この間、体重、計ってみたら……っ。

「……ヒトシさんの大バカーーー!!」
「急に何だ!?」

 涙目で訴える私に、ヒトシさんは狼狽えた。理由なんか、絶対教えてやるもんか。だって……一緒に食べよう、なんて言えないんだもん。気づけ、バカ。
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