○○な副会長。

天乃 彗

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04 いけ!校内見回り大作戦!

07

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「何で不貞腐れてるんですかね、この人は」

 部室棟に向かう途中、不意に葵くんが言った。私は、不機嫌な顔を隠しもせず、葵くんに向き直る。

「当たり前でしょ、杏奈に協力頼むなんて」
「ってことは、やっぱり行くつもりだったんですね。ネクラさんの所」

 ギロリと睨まれて、自分が墓穴を掘ったことに気がついた。思わず両手で口を塞ぐと、葵くんは長いため息をついた。

「……何で分からないんですか、本当に」
「分からないよ! だって、女の子が苦しんでるのを助けたいもん! 女の子たちに何かあったら大変だし!」
「へぇ。その口ですか、そんなこと言うのは」
「!? いひゃいいひゃいいひゃい!」

 葵くんは私の頬をつまんで横に伸ばした。
 痛い痛い痛い! 何すんのよ葵くんのばか! 

「言っときますけどね、日向先輩」

 やっと両手を離してくれた葵くんは、真剣な顔で私を見た。急にそんな顔をするもんだから、私は動けなくなってしまう。

「先輩だって、女の子、なんですからね」
「え……」

 驚いた。性格がねじ曲がってる葵くんに、女の子扱いされるとは。もしかして、人の行動を制限したりしていたのは、私のこと心配してくれて──。

「ただでさえ人より小さいんです。相手が力できたら敵うわけないじゃないですか。冷静に考えてから行動をしてください」
「なっ……!」

 また人のこと小さいって言う! さっき感謝しようとしたこと、取り消す。誰が葵くんに感謝なんかするもんか。

「小さいからって、バカにしないでよ! これでもやればできるんだから!」
「しっ……──静かに。誰か来ました」
「っ!?」

 葵くんは私の反論を丸無視して、私に覆い被さった。葵くんはそのまま木の影に隠れる。
 葵くんが言った通り、誰か来たらしい。早足の足音が遠くから聞こえる。私は葵くんの腕から逃れながら、足音がする方を見てみる。長い前髪で顔を隠すようにして歩く、細長くて猫背な人影。キョロキョロと回りを気にしながら、袋を片手に、こちらへ向かってくる──。
 あれは、間違いない。ネクラくんだ。

「少し様子を見──」
「そこのあなた!」

 葵くんの言葉が終わる前に、私は思わず木陰から飛び出し声をあげた。辺りを気にして歩いていた分、ネクラくんは驚いたのかびくりと体を震わせ、持っていた袋を落とした。

「話を聞かせてもらうわよ!」
「……っ!」

 ネクラくんは、私が近寄ろうとしたところで、背中を見せて駆け出した。逃げるつもり!? 

「こ、こら! 待ちなさい!」
「あ、日向先輩!」

 私は、逃げたネクラくんを夢中で追いかけた。後ろから葵くんの声がしたけど、そんなこと気にしている余裕なんてなかった。


 * * *


「だから冷静に考えろって言ってるのに!」

 たった今、ネクラを追いかけていった日向を見ながら、葵は言った。何度言えばわかるのか。いや……わからせようとするのが無理なのか。

──とにかく、後を追っ……。

 木陰から出て走り始めたところで、ネクラが置いていった袋に気がついた。少し考えて、それを拾い上げる。

「……これは……」

 中身を確認して、小さく呟いた。そして、それと同時に後ろに感じた、何かの気配。葵は振り返って、その気配の正体に向かって言った。

「……お前が、犯人だったのか」


 * * *

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