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猫系男子注意報
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授業サボって、心臓を落ち着けて。いざ、タマのうち。
道中、タマは何も喋らなかった。ただただ不機嫌そうに、鼻をひくひくさせている。
着いたのは普通のアパートだった。まぁ独り暮しらしいし当たり前なんだけど。鍵を開けてるタマに、あたしは恐る恐る尋ねる。
「まさか猫屋敷だったりしないよね?」
「しねぇよバカ、ペット禁止だ」
やっぱりふてくされた様子で答える。禁止じゃ無かったら絶対飼ってたわね。ペット禁止アパートで良かった……。
「オラ、入れよ」
扉を開けて、顎で指図する。恐る恐る玄関に足を踏み入れた。……意外と普通な部屋……?
ガチャリ! と背後で扉と鍵が閉まる音。はっとした。あたし──仮にも彼氏の独り暮しの部屋に、軽々と……!?
「あっあたっ、し、帰っ……!」
「逃げんなっつったろ」
失敗だ。がっしり腕を掴まれ、逃げられない。
タマの顔をうかがうと、やっぱり鼻をひくひくさせながら、眉をしかめてあたしを睨み付けていた。
「不愉快なんだよ」
「だから、何が……」
「その匂いだよ。ふざけてんのかてめぇ」
鼻をひくひくさせていたのは、そのせいか。もうだいぶ薄れてきてはいるその匂いに、タマは眉をしかめている。
「香水苦手なの? ならごめ……」
「オレ様の許可なしにオレ様以外の匂いさせてんのが気に食わねぇんだよ」
「は?」
何を言ってんのかさっぱり。あたしがキョトンとしていると、タマは掴んだ腕を捲りあげて、香水をつけた手首をあらわにした。
「しかもあんな誰にでも愛想振り撒くような犬野郎に匂いつけさせやがって……」
「は? は? ねぇ、話、読めないんだけど?」
あたしの話なんか聞く耳持たず、タマはあらわにした手首をペロリと舐めた。
「ひゃぁああああああ!? 何すんのよ!!」
「あ? 匂いとってんだよ」
「舐める必要がどこにあんのよ!!」
「るせー、てめぇがわりぃんだよ。てめぇはオレ様の匂いだけさせてろ」
むちゃくちゃな!! 舐めるのを止めようとしないタマに、あたしはどうしたらいいかわからない。……っ、ああもう!
「わかったからシャワー浴びて匂い消すから!! だからやめてぇ!!」
ピタッとタマの動きが止まる。あたしの目をじぃっと見ると、ニヤリと笑った。
「……言ったな?」
タマはそのまま奥の部屋に行ったかと思うと、Tシャツとジャージの下をあたしに投げ渡した。続けてタオルも。
「その左の扉が風呂な。テイネイに、洗えよな?」
そのタマの笑顔を見て、あぁあたしまた間違えたなって思いました。
* * *
わかった。速攻で帰ればいいのよ。シャワー浴び終わったら、匂いが消えたことを証明して、ダッシュで逃げる。そうすれば、大丈夫……!
あたしはタオルで髪を拭きながら、ふと、手を止めた。
──あ。
ふわり、と香る。これは、タマの匂いだ。タオルから、もう嗅ぎなれたタマの匂いがして……急に恥ずかしくなる。よく考えたら、髪も、体も、洋服さえも、あたし今、タマの匂いで。
「……っ!」
顔が熱いのは、お風呂上がりだから! あたしは急いで、奥の部屋にいるタマのもとに行く。タマはベッドでごろ寝して待っていた。
「……これでいいでしょ!? 消えたでしょ、香水!」
「……おう」
体を起こしながら、タマはあたしをじろじろと見る。いたたまれなくなって、あたしはすぐに背を向けた。
「じゃ、あたし帰──」
「あ? 逃がすかよ」
また、手首を掴まれて、後ろに引き寄せられる。タマはそのままベッドに倒れ込んでしまったあたしに、覆い被さった。
「……はな、しっ……!」
「離すかよ、バーカ」
タマは、あたしを押し倒したまま、キスをした。
キス。キス。息が出来なくて苦しげに呼吸をするあたしを追い込むように、タマは深いキスをする。
「んっ! ……は、タ、マ……っ、」
苦しくて、半泣きになるあたしに、タマは容赦ない。乱暴に、我が儘なキスをあたしに繰り返す。
「まだ足りねぇよ」
「は……」
そう呟いたかと思うと、タマはあたしの首もとに唇をつけて強く吸った。
「っひあ!」
「てめぇはオレ様のもんなんだよ、誰にも渡さねぇ」
タマは、あたしに出来た赤い痕を指でなぞる。ぞくぞくして、体が震えた。
「好きだ」
「……っ、」
今、ここで。初めての言葉、言う……!?
「菜月」
「は……」
初めて名前呼ぶし。こいつ、本当に、何なの……。
「お前の全部、オレに寄越せ」
そう言ってタマは、あたしの着てるTシャツに手を滑り込ませながら、あたしの首筋に噛みついた。そのあまいいたみに、あたしは思わず声をもらした──。
* * *
人のこと散々振り回すし、勝手だし、我が儘だし自己中だし。気分屋だし独占欲強いし、何がしたいのか全然わかんないし。
でも、ときどきすっごい可愛いし、一緒にいると楽しいし。
「……あ? 何見てんだコラ」
「……べつに!」
あたしはそう言って、まだ熱い首筋を押さえながら、顔を背けた。
* * *
猫系男子注意報発令中。
猫アレルギーのあたしが、あいつの虜になる確率は?
A:100%。もう手遅れ。自由気ままで勝手なあいつに、気付いたらもうメロメロでしょう。
道中、タマは何も喋らなかった。ただただ不機嫌そうに、鼻をひくひくさせている。
着いたのは普通のアパートだった。まぁ独り暮しらしいし当たり前なんだけど。鍵を開けてるタマに、あたしは恐る恐る尋ねる。
「まさか猫屋敷だったりしないよね?」
「しねぇよバカ、ペット禁止だ」
やっぱりふてくされた様子で答える。禁止じゃ無かったら絶対飼ってたわね。ペット禁止アパートで良かった……。
「オラ、入れよ」
扉を開けて、顎で指図する。恐る恐る玄関に足を踏み入れた。……意外と普通な部屋……?
ガチャリ! と背後で扉と鍵が閉まる音。はっとした。あたし──仮にも彼氏の独り暮しの部屋に、軽々と……!?
「あっあたっ、し、帰っ……!」
「逃げんなっつったろ」
失敗だ。がっしり腕を掴まれ、逃げられない。
タマの顔をうかがうと、やっぱり鼻をひくひくさせながら、眉をしかめてあたしを睨み付けていた。
「不愉快なんだよ」
「だから、何が……」
「その匂いだよ。ふざけてんのかてめぇ」
鼻をひくひくさせていたのは、そのせいか。もうだいぶ薄れてきてはいるその匂いに、タマは眉をしかめている。
「香水苦手なの? ならごめ……」
「オレ様の許可なしにオレ様以外の匂いさせてんのが気に食わねぇんだよ」
「は?」
何を言ってんのかさっぱり。あたしがキョトンとしていると、タマは掴んだ腕を捲りあげて、香水をつけた手首をあらわにした。
「しかもあんな誰にでも愛想振り撒くような犬野郎に匂いつけさせやがって……」
「は? は? ねぇ、話、読めないんだけど?」
あたしの話なんか聞く耳持たず、タマはあらわにした手首をペロリと舐めた。
「ひゃぁああああああ!? 何すんのよ!!」
「あ? 匂いとってんだよ」
「舐める必要がどこにあんのよ!!」
「るせー、てめぇがわりぃんだよ。てめぇはオレ様の匂いだけさせてろ」
むちゃくちゃな!! 舐めるのを止めようとしないタマに、あたしはどうしたらいいかわからない。……っ、ああもう!
「わかったからシャワー浴びて匂い消すから!! だからやめてぇ!!」
ピタッとタマの動きが止まる。あたしの目をじぃっと見ると、ニヤリと笑った。
「……言ったな?」
タマはそのまま奥の部屋に行ったかと思うと、Tシャツとジャージの下をあたしに投げ渡した。続けてタオルも。
「その左の扉が風呂な。テイネイに、洗えよな?」
そのタマの笑顔を見て、あぁあたしまた間違えたなって思いました。
* * *
わかった。速攻で帰ればいいのよ。シャワー浴び終わったら、匂いが消えたことを証明して、ダッシュで逃げる。そうすれば、大丈夫……!
あたしはタオルで髪を拭きながら、ふと、手を止めた。
──あ。
ふわり、と香る。これは、タマの匂いだ。タオルから、もう嗅ぎなれたタマの匂いがして……急に恥ずかしくなる。よく考えたら、髪も、体も、洋服さえも、あたし今、タマの匂いで。
「……っ!」
顔が熱いのは、お風呂上がりだから! あたしは急いで、奥の部屋にいるタマのもとに行く。タマはベッドでごろ寝して待っていた。
「……これでいいでしょ!? 消えたでしょ、香水!」
「……おう」
体を起こしながら、タマはあたしをじろじろと見る。いたたまれなくなって、あたしはすぐに背を向けた。
「じゃ、あたし帰──」
「あ? 逃がすかよ」
また、手首を掴まれて、後ろに引き寄せられる。タマはそのままベッドに倒れ込んでしまったあたしに、覆い被さった。
「……はな、しっ……!」
「離すかよ、バーカ」
タマは、あたしを押し倒したまま、キスをした。
キス。キス。息が出来なくて苦しげに呼吸をするあたしを追い込むように、タマは深いキスをする。
「んっ! ……は、タ、マ……っ、」
苦しくて、半泣きになるあたしに、タマは容赦ない。乱暴に、我が儘なキスをあたしに繰り返す。
「まだ足りねぇよ」
「は……」
そう呟いたかと思うと、タマはあたしの首もとに唇をつけて強く吸った。
「っひあ!」
「てめぇはオレ様のもんなんだよ、誰にも渡さねぇ」
タマは、あたしに出来た赤い痕を指でなぞる。ぞくぞくして、体が震えた。
「好きだ」
「……っ、」
今、ここで。初めての言葉、言う……!?
「菜月」
「は……」
初めて名前呼ぶし。こいつ、本当に、何なの……。
「お前の全部、オレに寄越せ」
そう言ってタマは、あたしの着てるTシャツに手を滑り込ませながら、あたしの首筋に噛みついた。そのあまいいたみに、あたしは思わず声をもらした──。
* * *
人のこと散々振り回すし、勝手だし、我が儘だし自己中だし。気分屋だし独占欲強いし、何がしたいのか全然わかんないし。
でも、ときどきすっごい可愛いし、一緒にいると楽しいし。
「……あ? 何見てんだコラ」
「……べつに!」
あたしはそう言って、まだ熱い首筋を押さえながら、顔を背けた。
* * *
猫系男子注意報発令中。
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