僕で歌をつくって。

滝雛つな

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魔法

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僕は1週間ほど学校を休んだ。



その間勉強なんて一切していない。母さんと目を合わせることはもう2度とできないんじゃないか、そう思うほどだが自然と焦りはなかった。






ただ、最悪な”魔法“だけが僕に残っている


蛇屋蓮…



やっぱり興味本位であいつなんかと話したのがいけなかったんだ、 

そもそもあいつにとっては男の僕に
キスをするのなんてただの遊びというか
からかっているだけに違いないのに。


あのとき勃ってしまった自分が恥でしかない…


人間の生理現象ってどうしてこうも正直なんだ





コンコンと僕の部屋の扉をノックする音が聞こえた。




扉を開けたのは母さんだった。







「1週間も学校を休んで、特進クラスの他の子達にもう追いつけないからね。
しっかり焦って勉強すること、いい?」





もう勉強なんてしたくない



なんて今言ったら母さんはどんな顔するだろう




「はい…」
いつも僕は自分の意見を言うことなんてできない







「あ、あと
お友達が玄関先に来てるから。
母さん言ったでしょ?あなたは身の丈に合った人と友人になりなさいって。
あの子と関わるのはもうやめなさいね。」







「あの子?」



そもそもの友達が少ない僕に全くの心当たりがなかった。

















「よっ!」




支度を済ませて玄関先へ行くと
蛇屋蓮が満面の笑みでそこにいた。








「お前、なんでそもそも僕の家知ってんだよ。」




「メガネくんの特進クラスの担任に教えてもらったの。
“メガネしてて今日休んでる子の住所教えてください”って直談判」


 




コイツと話してると舌の感触が思い出されて気分悪い…





「そうまでして僕に会いたかったかよ」






「だって、メガネくん
初めてのキスだったでしょ」






「なっ、別にそんなことお前に関係ないだろ!」 




実際生まれてから一度も女性との関係がない僕にとって

初めてのキスがこんなチンピラ、
しかも男となんて恥ずかしくて絶対に言えない。








「あのさ、俺正直めっちゃ気持ちよかったんだよね」





「は?」




「いや、だからメガネくんとのキス。

めっちゃ気持ち良かったの。

最初はちょっとイジってやろうと思ってほんとにネタでしかなかったけど、

なんか顔綺麗だし舌の受け方がそこらへんの女子より上手いんだよな、お前。」



「僕は全く気持ちよくなかった」


「勃ってたのに?」
蛇屋が笑顔で言う

コイツの笑顔、腹立つ




「あのさ、結構winwin な関係になれると思わない?
メガネくんは日常の勉強のプレッシャーを気持ちよく忘れられるし、
俺も気持ちいいし」




「だからさっきから何言って…」




「いや、ほんき。
おれ女が好きだけど、
キスはお前がいっちばんきもちーの。」





僕は絶対にそんなことない
この間勃ったのは、気持ち良かったからじゃない。
そう言えれば振り払えたであろうことなのに




僕はなぜか否定せずにいた。





「そんな気持ち悪いこと言ってるバカとは一緒に登校できないからな。」



そう言って蛇屋を置いて僕は学校へ向かった




「ちょっとまって、メガネくん!」


「しつこい!」


「じゃあさ、また辛くなったら
俺のとこに来て」

「へ?」


つい立ち止まってしまった。





「もし、辛くてまた逃げ出したいとか
死にたいって思っちゃう時があったら
屋上に来てよ」






「あのへんな魔法とか言う名の淫らな行為するんだろ」



「淫らな行為って、笑
そんなんしないよもう、俺は普通に仲良くなりたいの、光瑠くんと」





こんなガリ勉な陰キャをネタにして楽しいのかコイツは。






「行かない。あの時は僕がおかしかったんだ。」








「へー?」




またニヤニヤしながら何か企んでいる顔をしている蛇屋。
あーほんとにイライラする…



「その”淫らな行為”してほしいんでしょ。
光瑠くん、声出てたし顔真っ赤だったもんね~」



「は?!なに言って…」



「いーのいーの、ストレス溜まるよね。
よーし光瑠くん、いつでもおいでね~♡」





そう言って僕の前を歩いて行ってしまった。





僕はなんだかボケーと突っ立ってしまった





なんなんだあいつ













今日は1週間ぶりの学校なだけあって
疲れていたのか、僕にしては珍しく6時間目の数学の時間に眠気が襲ってきた。








「キスはお前がいっちばん気持ちーの。」

「その”淫らな行為”してほしいんでしょ」

あいつのセリフが夢に出てきた。















「キスのあとも、俺としてみる?」











「わっ、」

大声ではないが少し声を出して居眠りから目が覚めた。恥ずかしい…


幸い、静まり返った教室ではなかったため
誰も僕の声なんて聞いていなそうだった。



クソみたいな夢だ…

よりによって蛇屋に押し倒されて、
キスされて、そのあと…



あー!こんな夢を見るなんて馬鹿げてる!


蛇屋がへんなこと言うからだ








僕は何度も自分に言い聞かせた。



僕は大学受験に合格しなくちゃいけない。
あいつにとっては遊びなんだ、と。













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