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secret club
chapter.1 open the door
しおりを挟む俺はしがない会社員だ。
年齢もそろそろ40歳になろうというのに、
いまだ係長止まりという冴えない人生を送っている。
そんな俺でも結婚することはできた。
しかし、子供に恵まれず
妻とはだんだんと冷めた関係になっていた。
毎日朝家を出て会社で仕事を家に帰る。
そんな作業のような毎日を過ごしていたのだが、
ここ1年程、妻が仕事が忙しいと
帰りが遅くなることが多くなっていた。
最初は気にも留めていなかったが、
ここ数か月化粧の感じが変わったり、
服装が以前より派手になったような気がしていた。
一応夫婦というような関係ではあったが、
さすがに浮気をされてまで一緒にいたいというわけでもない。
妻が入浴している間にこっそりと鞄を確認してみる。
ざっと荷物を見てみても変わったものはなかったが、
バックの内ポケットに1枚のカードを見つけた。
「secret club - create a new life」
真っ白のカードにそれだけが書かれていた。
他に目につくものもなかったのでその言葉だけメモをとった。
なお、その後妻から鞄触った?と言われたので、
ちょっと邪魔だったからどけたよとだけ言っておいた。
まぁ、なにかちょっと疑ったような目でこちらを見てはいたが、
それ以上何も言ってこなかったので、
そそくさと自分の部屋へと移動した。
先ほどのカードの文字がどうにも気になったので、
早速インターネットで調べてみる。
検索してみたところ特別疑わしい情報は何もでてこない。
やっぱりただの思い過ごしかと作業をやめようとしたところで、
検索画面の広告欄に気になるものを見つけた。
早速その広告をクリックしてみた。
「あなたの人生をもう一度やり直しませんか?ご興味のある方はこちらにご応募ください。」
真っ白な画面にその文章だけが表示されており、
enterのボタンだけが浮かんでいる。
もしかしてこれか?とenterのボタンを押してみる。
すると次にこう表示される。
「注意:本サイトは既婚者専用のサイトです。ご応募の際にはマイナンバーカードが必要です。」
なるほど、本人認証しないと使えないというわけか。
しかし、既婚者専用というところがどうにも気になったので、
そのまま登録画面へ進んでいく。
最初の画面でマイナンバーカードの読み取りをするよう指示される。
メールアドレスを入れてスマートフォンの認証アプリを使用するようだ。
個人情報を渡していくことになるが、
もしかしてなにか浮気の証拠でも掴めるならと
マイナンバーカードでの認証を完了した。
その後個人情報を入力していくと最後に規約に合意して応募するというボタンが見える。
規約のリンクもあったので一通り確認してみたがどこかおかしなところもないようだ。
運営会社が「CCS株式会社」となっていたので、念のため調べてみたところ、
医療系のベンチャー企業のようだ。大手の企業も資本参加しているようで、
まぁ、大丈夫だろうと応募ボタンを押してみた。
すると最後にこう表示された。
「ご応募ありがとうございます。 数日中に審査結果をメールアドレス宛にお送りいたします。」
登録ではなく本当に応募なのだなと改めて認識した。
その日はそのままパソコンを閉じた。
次の日の朝もいつもと変わらない朝だった。
妻ともいつもどおりの会話をして家を出る。
日中もいつも通り仕事を着実にこなしていく。
そうして気が付けば夕方になっていた。
仕事が終わり家に帰ると珍しく妻の方が先に帰宅していた。
久しぶりに一緒に夕食を取った。
その後ベッドで眠りに落ちる。
そうしていつもの1日が過ぎていく。
翌朝もいつもと同じように目を覚ましてベッドで起き上がる。
朝の習慣でスマートフォンを見たところ、
寝ている間にメールが届いていたようだ。
早速そのメールを確認してみると、
先日応募したサイトからだった。
内容を確認してみたら次のようなものだった。
「今回は当サイトにご応募ありがとうございます。厳正な審査の結果、あなた様の当クラブへの入会が承認されましたのでお知らせいたします。つきましては以下URLよりご都合のよい来場日をご選択ください。」
なんと。先日応募したサイトからの連絡だった。
すぐにURLを開くと今日から1週間の間で1時間の枠を
予約をするように書かれていた。
ちょっと妻の予定を聞いてからにしようと服を着替えてリビングに向かう。
朝食を用意してくれていた妻に今日の予定を聞いたところ、
仕事が追い込みのため遅くなるとのことだった。
それは好都合だと、こちらもちょっと遅くなる旨だけ伝えた。
珍しいわねと言われたが、会社の知人とちょっと食事だと適当なことを言っておいた。
その後歯を磨きながら先ほどのURLから今日の夜の予約をした。
こうして、俺の人生が大きく変わっていく出来事の扉が開いた。
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