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美雪編
研修の日 その2
ついにというべきか厳正な抽選の結果、
保護者会の会長になってしまった。
やるからにはしっかりやらなければというとことなのだが、
洗礼とも言うべき最初の研修に来ている。
しかも1泊の泊りがけときたものだ。
一緒に来ているのは副会長の美雪さん。
会長と副会長が今回の研修の対象なのだが、
どうやら会計と広報のペアにも別で研修があるらしい。
内容が違うからということなのだろう。
電車で美雪さんとは、
お互いの家庭事情などの世間話をしていると、
あっという間に目的の駅に到着し、
会場となるホテルを確認すると、
思ったよりも遠いことが判明した。
結果タクシーで現地に向かうことにした。
タクシーに乗車して10分ほどしてホテルに到着した。
トランクに積んでもらったスーツケースをおろしてもらい、
ホテルのロビーに向かう。
「結構豪華なホテルなんですね。」
「そうですね。一体どこからこの会場費がでているのやら。」
「ほんとですね。」
そんな他愛もない会話をしながら会場となる大広間を探す。
それらしい場所を見つけたので、
入口の受付にいた人に確認すると、
目的の場所であっていたようだ。
どうやらPTAと保護者会双方に対する、
教育委員会からの合同研修とのこと。
結構な人数が集まっている。
会場に入ろうとするとホテルの人が、
スーツケースを預かってくれると声をかけてくれた。
美雪さんと一緒に預けることにした。
引き換え用の番号札をもらって案内の人に従って指定の席に座る。
「こういう研修ってあんまりでたことがないのでなんか緊張します。」
「そうなんですか?割と仕事柄多いのでなんか慣れちゃってます。」
「あら?そうなのですね。どんなお仕事されるかも後で伺わせていただけますか?」
「ええ、減るものでもないですからいいですよ。」
そんな会話をしているとそろそろ開始しますという声が聞こえる。
総勢40名ぐらいだろうか?
なかなかの大所帯の研修だ。
最初に教育委員会からこの2日間のプログラムの説明があった。
ざっくりいうと教育委員会としてPTAや保護者会に期待することや、
昨今の教育環境についてや様々な、
イベントを実施する際の注意点などが説明されるとのこと。
なかなかボリュームだなと中途半端もよくないので少し気合を入れ直す。
なお、今日の研修が終わったあとには簡単な立食パーティーがあるとのこと。
いえば地域を超えた懇親会という位置づけのようだ。
そうしてだいたいの概要が説明されたところでいよいよ研修が開始される。
仕事関係のセミナーや研修とは雰囲気が違うこともあり、
持ち込んだパソコンでしっかりとメモをとっていく。
「あら?パソコンでメモ取られるんですね?」
美雪さんに小声でそう聞かれた。
「はい。手書きよりこっちのほうが性に合うですよ。」
「私はどうしても手書きじゃないとしっくりこないんですよ。というか、パソコン苦手で。」
「でしたらパソコンを使う場合は任せてください。」
「ありがとうございます。助かります。」
そんな会話しながらも、研修はどんどん進んでいく。
途中、弁護士であったり税理士など専門家も登壇するなど、
本当に本格的な研修となっていて、
ある意味でタダでこういう機会を得られたことは
ラッキーだったのかもしれなと考えてみた。
1時間ごとに休憩があったので、
美雪さんとは内容の理解をお互い確認するようにしていた。
この時に美雪さんは本当に優秀な方であることがわかる時間でもあった。
理解力がまず素晴らしく、説明上手。
おそらく普段も仕事ができる人に違いないと感じ始めていた。
しかし、そういうことは後で聞けばいいことなので、
まずは目の前の研修に集中する。
そうして研修もあっという間にランチタイムになった。
お弁当配られたので、席で食べることにした。
隣にいる美雪さんとは食事をしながら、
お互いの仕事の話を少しした。
どうやら美雪さんは子育てのこともあり、
事務員のパートをしているらしい。
子供が生まれる前は正社員で大企業の企画部にいたとのこと。
スペックの高さとから想像できるという意味で納得するばかりだった。
なお、こちらがコンサルタントのような仕事をしていることを伝えると、
すごく褒めてくれるのでちょっと嬉しくなった。
普段は顧客とも同僚ともキリキリとつば競り合いのような仕事をしているので、
素直に自分のしている仕事を褒められると少し救われた気分になった。
そうしているとあっという間にランチタイムは終わり、
午後の研修が開始される。
午後もかなり濃密な内容で進んでいく。
隣の美雪さんをチラリと見ると、
かなり集中して研修を受けているのがわかる。
こちらも気を抜いていられないと一つ一つの言葉に集中する。
そんな時間はあっという間に過ぎていき、
1日目の研修は無事終了した。
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