ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里

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三津子編

もしもそのホテルに至った時に。。。








いつもお世話になっている
バーの常連さんの娘さんが、
夜の街でちょっと面倒なことになっていたのを、
偶然通りかかったこともあり、
どうにか解決することができた結果、
なぜか12歳年下の美女と夜の街を
二人で歩いているというのが、
この前までの話となる。


「そういえば、明日特に予定ないっておっしゃってましたよね?」

「ええ。この後はホテルまでお送りしたらどこかのバーにでも行こうかと。」

「それなら、ちょっと私の部屋で飲みませんか?」

「ちょっと!それはダメでしょ。」

「どうしてですか?」

「今日知り合ったばかりの男を部屋に入れるとか。。。お父様にも怒られちゃいますよ。」

「その点は大丈夫です。ちゃんとお礼しなさいってさっきメッセージありましたから。」

「えっと、それはそれとして、明日お仕事ですよね?」

「はい。ですけど、まだそんなに時間も遅くないのでちょっとだけどうですか?」


なんだかこのまま帰るというと
悪いことをするような気にすらなってきた。
まぁ、これだけ歳の差がある
お世話になっている方の娘でもあるし、
間違いが起こることもまずないだろうと、
なにか勝手に自分を納得させる
言葉を脳内で並べてみる。


「わかりました。では、ちょっとだけですよ?」

「わーい。ありがとうございます♪ じゃ、まいりましょうか?」


そんな話をしているとホテルのフロントに到着した。

日本でも有数の有名ホテル。
多くの皇族や政治家が使ったことでも有名。
確かに飲んでいた場所からは歩いて5分なのだが、
庶民にとっては縁遠いともいえる場所だ。

そんなホテルのフロントに
慣れた様子で入っていく三津子さん。

こちらでお待ちくださいと、
近くのソファーを指示される。
もう言われるままに
そこに座ってただただ待ってみた。

しばらくしてチェックインを済ませて、
部屋の鍵を持った三津子さんがやってくる。
どうやら事前に荷物だけ預けてあったようだ。


「じゃ、行きましょうか。」

「わかりました。」


人生で初めての空間で
なんだか妙な緊張をしてしまう。
逆に三津子さんは
本当に慣れた感じでどんどんと進んでいく。
ただただ後ろをついていくだけの状態で、
廊下を進み、エレベーターに乗る。
目的の階に到着して、
ここからもただただ
三津子さんの後ろ姿を追いかける。

おそらく目的の部屋の前に到着すると、
これも慣れた手つきで部屋の鍵を開けて扉を開ける。


「さてと。こちらへどうぞ。」


そう案内されるがままに部屋に入る。

いきなりびっくりするのは、
普段出張で使っているような
ビジネスホテルとは全く違い、
まず玄関のようなところがちゃんとあり、
奥には複数の部屋があるようだ。

あまりに日常からかけ離れた状況に、
ポツンと立ち尽くしていると、
三津子さんがこう話しかけてくる。


「どうぞどうぞ、こちらへ。靴はそちらに置いておいてください。」


もう、ここまでくるとほぼ夢の中の出来事感が大きく、
さっきまでの酔いはあっという間に吹っ飛んだ。

靴を脱いで用意されたスリッパを履き、
廊下を進むと、
どこの豪邸のリビング?というような、
部屋に到着する。

こちらはただただびっくりするばかりだが、
三津子さんは慣れた様子で荷物を片づけて、
ソファーに座る。


「どうぞどうぞ、ゆっくりなさってください。あっ、ルームサービスでなにかお願いしますね。ワイン飲めますか?」

「あっ、はい。大丈夫です。けど。。。なんか普段来ないところでフワフワしてます。」

「あら?そうなんですね。まぁ、ただの部屋ですから普段通りになさってください。」


三津子さんはそう言って
フロントに繋がっている電話を手に取り、
なにやら話をしている。

しばらくして電話を終えると、
簡単なキッチンのような部屋から、
ミネラルウォーターとコップを持ってきた。


「もうすぐワイン届くはずなので、とりあえず一息つきましょうか?」


そう言ってコップに水を注いでくれる。

緊張やらなんやらでコップを持つ手が
ちょっと震えるかんじではあったが、
気持ちを落ち着かせるために、水を口に運ぶ。


「ふぅ。なんかちょっと落ち着きました。」

「よかった。なんか付き合わせてしまってすみません。」

「いえいえ、ついてきたのはこちらなので。」

「ふふふ。本当に優しい方だなぁ。」

「ぜんぜん。なにするかわかったもんじゃないですよ?」

「あら?じゃ、なにかしてみます?」


そう言って不敵に笑う三津子さん。
もう器が違うことをすぐに察することができる。
あの親にしてこの子ありと不思議な納得すらしてしまった。

そんな話をしていると、
ルームサービスのワインが届いた。
しかも3本も。

それらをテーブルに置く三津子さん。


「どちらからあけましょうか?」


そういってラベルを見せてくれるのだが、
いや、待て、、、
お酒については
それなりの知識は持っているつもりだが、
言えば一般庶民である自分からすれば、
この3本はおいそれと
開けていいものでないことはすぐにわかる。


「えっと、、、これはいただいてしまうの大丈夫ですか?」

「はい。スポンサーからのご提供ですよ♪」


三津子さんはそう言ってスマートフォンを見せてくれた。

そこには高橋さんがこの3本をチョイスしたことや、
ぜひご一緒しなさいと書かれていることだった。


「なんかもう外堀も内堀も埋められてますねぇ。しかも、人の好みを熟知している方が選んでくれたとなるとより断れませんねぇ。」

「ふふふ。そういう反応も面白いです。で、どれから開けますか?」


もうこうなるとかっこつけてもしょうがないので、
一番好きなシャトーの銘柄を選ぶ。

残りの二本は三津子さんの部屋に備え付けのワインセラーに入れた。

こうして、ある1本のワインから始まる不思議な夜が始まったのだった。
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