ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里

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真理編

社長と秘書の秘密の話 第二話


空港のラウンジで打ち合わせをしていると、
搭乗開始のアナウンスが聞こえた。

二人で荷物をまとめて、ゲートへ向かう。

本当に最近はスムーズに
なったものだと実感しながら、
機内へと乗り込む。

植田さんと隣の席でフライトがはじまる。

少し話をしていたのだが、植田さんも疲れていたようで、
すぐに眠ってしまったようだ。

まぁ、今回の出張も大変になりそうなので、
しっかり休んでおいてもらおう。

自分のパソコンを開いて、
資料の最終チェックをしておくことにした。

そうしているとあっという間に
着陸態勢に入るとのアナウンスがあった。
それに気が付いた植田さんが目を覚ます。

「よく寝ていたね」

「あら……すみません。昨夜も資料の確認を遅くまでやっていて……」

「そうだったんだ。本当にありがとう」

「いえいえ、当然です!」

そんな話をしていると、
目的の空港に無事着陸した。
飛行機が停止したのち、
ターミナルへと降りていく。

荷物受取所で自分の荷物を受け取って、
すぐにタクシープールへと向かった。

打ち合わせまで若干の余裕があったが、
まずは現地にいってしまおうとタクシーに乗り込み、
顧客の本社ビルの前まで行ってもらうようにお願いした。

10分ほどで現地に到着した。

時間を確認するとお昼ご飯を
食べるくらいの余裕はあったので、
近くの定食屋に二人で入り、
急ぎ昼食をとった。

そして約束の時間が近づいてきたので、
顧客先へ向かうことにした。
到着したビルの受付は無人化されており、
事前にメールで受け取っていた
入館コードをシステムに入力すると、
入館カードが発行される仕組みだ。
それを持ってゲートを通り、会議室へ向かう。

指定された会議室に入って、
顧客の担当者が到着するのを待った。

しばらくして先方の担当者が到着したので、
初めての訪問となる植田さんを紹介する。





ウェブ会議での植田さんとは
ビジュアルが違いすぎたこともあり、
先方もなんだかフワフワしているのを
なんとなく感じていた。

しかし、それが功を奏したのか、
先方の担当者の皆さんがいい意味で
植田さんに注目してくれる。

その後の概要説明を植田さんにやってもらったのだが、
間違いなく先方に刺さっていることを実感できた。

それにしても植田さんがいう
「コンサルタントモード」というのが、
想像よりもすごかった。





話し方や表情の作り方、
説明のスピードや質疑応答のスムーズさ。
たとえば、先方が少し意地悪な質問で
予算の根拠をつついてきたときも、
彼女は動じることなく

「その点については、こちらの別紙資料をご参照いただけますか?」

と、事前に準備していたデータを
即座に提示して論破してみせた。

その鮮やかな手腕に、
自分がやるより何倍もすごいと
素直に感服した。

これだけのスペックの人が
自分の秘書として来てくれたことを、
改めて感謝する瞬間だった。

こうして初日の打ち合わせは滞りなく完了した。

顧客側からは「ぜひお願いしたい!」
という言葉を最後に言ってもらえたので、
明日以降は実際の対応についての
確認という形で進められそうだ。

顧客の担当者に見送られながら、
ロビーを後にする。

そのまま二人で荷物を預けるために、
ホテルに向かって歩いていくことにした。

「いやぁ、見事だったねぇ。お疲れ様ですよ」

「いえいえ。いつもの社長の流れるようなプレゼンには敵いませんって」

「先方の担当の方も食い入るように聞いてたし、
 ぜひという言葉ももらったから素晴らしいよ」

「ありがとうございます! あの担当さん、『できる女感』を出さないと
 話を聞かないだろうなぁって、なんとなく感じてたので」

「あ~、それでか。たしかに上からだったからねぇ、ウェブ会議だと」

「そうなんですよ。まぁ、うまくいってよかったです! で、この後どうします?」

「そうだねぇ、もう夕方だしまずはホテルに荷物を置いて、
 ちょっと早いけど飲みにでも行こうか?」

「やった! どこかアテありですか?」

「以前、取引先の人に紹介してもらったBARにでも行こうか?」

「よし! 飲むぞー!」

「こらこら。明日もあるからほどほどにね」

「わかってますよ~! そうとなれば急ぎましょう!」

なんだか時々子供っぽいところがあるのが
植田さんの不思議なところなのだが、
仕事はしっかりしてくれたわけだし、
ねぎらうのも大事なことだよなとふと考えていた。

そんな話をしながら、
今日から数日宿泊するホテルに到着した。

どうやら歴史あるホテルのようで、
ロビーはとても広く風格を感じるものだった。

「よくこんなホテル取れたね」

「あ~、コンサルやってたときによく使ってて。ダメでした?」

「いやいや、ちゃんと休むの大事だからありがたいぐらいだよ」

「よかった。じゃ、チェックインしましょうか?」

そう言ってカウンターに向かったのだが、
そこでちょっとした……ではない事件が起きた。





どうやらホテル側の手違いで、
部屋が一部屋しか確保できていなかったとのこと。

宿泊人数は2名になっていたのだが、
部屋数を「1」と担当者が間違えたようだ。

予約画面を見せながら植田さんが交渉してくれた結果、
一番広いスイートルームが数日空いているとのことで、
そこに泊まらせてもらえることになった。

しかし、男女一緒の部屋というのはまずいかもなと、
植田さんに聞いてみた。

「どうしようか? さすがにボクと一緒の部屋は嫌でしょ?」

「別にいいですよ~。一緒の部屋なら打ち合わせもやりやすいですし。
 まさか社長、私に何かしようとか考えてました?」

そう言いながら、ちょっと悪い表情をする植田さん。

「そんなことはないよ。ただ、男女同じ部屋って嫌な人も多いかな? と」

「ふふふ。ありがとうございます。まぁ、ベッドも複数ありますから大丈夫ですよ!
 社長は大丈夫ですか?」

「うん。ボクは大丈夫」

「それじゃ決まりですね」

植田さんが「それで」とカウンターで担当者にお願いして
早速手続きをしてもらった。

金額は予約時のもので良いと言われたのは、
会社的にはちょっとラッキーだった。

そうして手続きが終わり、
部屋に案内してもらえることになった。

荷物を預けて、
案内してくれるスタッフさんの後ろについていく。

エレベーターで最上階まで上がり、
なんだか厳かな雰囲気すらする扉の前で
「こちらがお部屋です」と言われると、
ただただ驚くばかりだった。

鍵の解除方法などを案内してもらい、
部屋の中の説明も一通り受けたところで、
スタッフさんが荷物を持ってきてくれた。
それを受け取ったところで、
スタッフさんが部屋を出ていった。

しかし、それにしても広い部屋だ。

リビングといってもいいスペースに、
別室で二つのベッドがある寝室があり、
キッチンまでしっかりとあるときた。
こういう部屋にはさすがに泊まったことがなかったので、
思わずキョロキョロとしてしまった。

「あれ? 社長、こういう部屋初めてですか?」

「うん。一人だとビジホだからねぇ」

「そうなんですね。とはいえ、ここのスイートなんて普通泊まれないですから、
 楽しんじゃいましょう」

「そうだね。それじゃ、貴重品だけ持って出かけるとしようか?」

「はい!! 楽しみ~!」

こうしてトラブルがありながらも、
泊まる場所は確保できた。

この後夜の街に出ていくことになるんだが、
ここから思いもしなかった夜が始まっていく。
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