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神崎 未緒里

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真理編

社長と秘書の秘密の話 第三話


二人で繁華街へと繰り出した。

まだ夕方5時というところではあるが、
外国からの旅行者も多く、
普段の地元とはまるで違う人混みだった。

ホテルからまっすぐに歩いていき、
記憶を頼りにこの時間から営業しているBARへと向かう。
だいたいこの辺だったよなぁ……と、
マップアプリで位置を確認すると、
目の前のビルが正解だった。

エレベーターに乗り、4階へと向かう。
エレベーターを降りたところで、
植田さんがこんなことを聞いてきた。

「ここですか?」

「うん。ここだね」

「ん~、もしかして私も来たことがあるかも……」

「そうなの?」

「以前の仕事のときにお付き合いで……ですけどね」

「まあ、それならそれで。参りましょうか」

そう言いながら、扉を開く。
すぐにスタッフさんが出迎えてくれた。
2名であることを告げると、
カウンターの席に案内してくれた。

マスターに「お久しぶりです」と告げると、
「ご無沙汰しておりました」と返ってくる。

「お連れ様ですか?」と聞かれたので、
秘書をしてくれていると紹介する。
マスターが少し考え込んだような表情をして、
パッと表情が明るくなる。
やはり、植田さんはここに来たことがあったようだ。

当時一緒に来た方の話で
マスターと植田さんが盛り上がっている。

久しぶりの店内は、
いつもながらの落ち着く空間だ。

この辺りのBARにしては珍しく、
BOX席という感じではなく、
仕切りがあって半個室のような
大人数席があるのが特徴とも言える。

ここのマスターはカクテルコンペティションで
日本一にもなったことがあるという有名な方で、
いつも美味しいお酒を提供してくれる。

植田さんとの話も一段落したようで、
「何になさいましょう?」とマスターに聞かれた。
ウイスキーの水割りをお願いしてみた。
銘柄はお任せするので、
いつも通りにお願いした。
植田さんはマスターと
いくつか言葉を交わして、
カクテルを注文したようだ。

「出張のときはよくいらっしゃるんですか?」

「ん~、一人で出張のときはよく来るけど、会社の人間が一緒のときは来ないなぁ」

「そうなんですか? どうして?」

「よくご存じのとおり、ウチって割と『現場イケイケ系』でしょ?
  落ち着いてお酒飲む人たちじゃないってのが一番かな?」

「あ~……たしかに。いつも居酒屋で大騒ぎしてますよね」

「ああいうのあんまり得意じゃないんだよねぇ。
 なので、出張でお客さんも一緒とかだと『飲み放題の居酒屋さん!』ってかんじでね」

「いろいろ納得するしかないです」

「理解いただき感謝します」

「ふふふ。社長、そういうところ面白いですよね」

「そう? いたって普通じゃない?」
「普通ではないかなぁ。だいたい一人でBARに出入りする人、変な人多いですよ?」
「うっ……反論の言葉がない……」

「いいんですよ。まぁ、そういう私もワイガヤ飲み会は好きじゃないので、
 今日はこうやって社長と落ち着いて飲めて嬉しいです」

そう言って、ニコリと微笑む植田さん。
いつもの植田さんと違う見た目ということもあるが、
不覚にもドキリとさせられてしまった。

そんな話をしていると、マスターがお酒を提供してくれた。






「では、本日の成果に乾杯ですね」

「はい、乾杯」

二人ともすっとグラスを宙に浮かせてそう言うと、
それぞれお酒を口に運ぶ。
いつもながらに水割りがこれほど美味いのか!
とびっくりさせられる。
シンプルなものほど腕が出るとはいうけれど、
それにしてもだ。

そうしてゆったりとした時間を二人で過ごした。

普段あまりしないラフな話題もできたりと、
秘書との距離が少し縮まったかな?
と勝手に考えていた。

一通り飲んだところで、
何か食べていこうかと話になり、
マスターに近くでオススメがないか聞いてみると、
あるレストランを紹介してくれた。 さらにお店に連絡をして席も確保してもらってしまった。
二人でお礼を言って、
会計を済ませて予約してもらった
お店に向かうことにした。

バーを出て数分の場所だったので、
すんなりと到着し、
とても美味しい料理を堪能することができた。
そうして夜の街を楽しんでいたら、
結構な時間になっていた。

「さてと、明日もあるし、そろそろ部屋に戻りますかね?」

「そうですね。あっ! 明日の打ち合わせしつつ、部屋でももうちょっと飲みません?」

「いいけど、ちょっとだけだよ?」

「わかってますって。じゃ、帰り道でなにか買っていきましょう」

植田さんがそう言うので、
ホテルに向かう途中のコンビニで
缶ビールや簡単なおつまみなどを調達した。

そして、ホテルに戻ってエレベーターに乗る。

すぐに最上階に到着したので、
部屋のロックを解除して、
二人で部屋に戻った。

「どうする? とりあえず打ち合わせしちゃう?」

「そうですね。先にやっちゃいましょう」

そう言って、パソコンを用意しつつ、
買ってきた飲み物をテーブルに並べる。

おつまみなども広げてラフに打ち合わせを始める。

大体の内容が確認でき、明日に向けての資料修正も終わった。

「さて、これで大丈夫かな?」

「ですね! バッチリ!!」

「それじゃ、あとは寝るだけかな?」

「え~、まだ飲むものありますからもうちょっと飲みましょうよ」

「それもそうだね。じゃ、ある分は飲んじゃおうか」

そう言いながら、
パソコンなどの仕事道具を片付けてソファに座る。

こうして、二人きりの部屋飲みが始まったのだった。
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