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神崎 未緒里

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非日常な話編

日常に潜む非日常なお話 第二話

薄暗い通路を奥へと進む。

自分の足音さえ
吸い込まれそうな静寂の中、
しばらく歩くと、
ぼんやりとした明かりが
浮かぶカウンターのような場所が見えてきた。

そこには無機質な端末が1台置かれており、
カードをかざすよう指示が表示されている。

指示通りにカードをかざすと、
画面が切り替わり、
いくつかの質問事項が現れた。

「初回の訪問ですか?」
「性別は?」

淡々と回答していくと、
次に表示されたのは

「好みの女性のタイプ」

を選択する画面だった。

顔が見えない分、
身体的な特徴が重視されるのだろうか。

「胸の大きさ」「腰つき」
「お尻の形」などの選択肢が並ぶ。

俺は少し悩みつつも、
欲望に正直に指を動かした。

胸は大きめ、
腰つきは細め、
お尻も小ぶり。

入力を終えると、
端末に「No.46」という番号が表示された。
同時に、足元の床に光のラインが走り、
それが部屋への道しるべとなって
闇の奥へと伸びていく。

なるほど、完全な自動案内というわけか。

光のラインをたどりながら廊下を進み、
46番の部屋の前で足を止める。
心臓の鼓動が早くなるのを感じながら、
意を決して扉を開けた。






中は思ったよりも明るく、
無機質な空間だった。

机と椅子、そして壁には
大きなモニターが設置されている。

部屋の隅にはロッカーがあり、
まずはそこに荷物を
入れるよう案内が出ていた。

部屋に入った直後、
「ガチャリ」という金属音が響いた。

振り返ると、今入ってきたドアがロックされていた。

「セックスをしないとここから出られない」

という説明を思い出し、
背筋にゾクリとした戦慄が走る。

逃げ場はない。

やるしかないのだ。

モニターに新たな指示が表示される。

『服をすべて脱ぎ、全裸になってください』

俺は指示に従い、
服も下着もすべて脱ぎ捨てて
ロッカーに入れた。

生まれたままの姿になり、
肌寒さを感じていると、
次の指示が出た。

『ロッカー上段にあるマスクを装着してください』

手を伸ばすと、
そこには布製のヘルメットのような
奇妙な物体があった。





これがここで言う「マスク」らしい。

画面に表示された
装着手順動画を見ながら、
慎重に頭から被る。

目の部分はゴーグル状になっており、
視界はデジタル映像のように少し加工されて見える。

耳の部分にはスピーカーが、
口元にはマイクが内臓されているようだ。

顎のあたりの紐を引き、
丸い留め具をロックすると、
「ピー!」という電子音が鳴り、
紐が固定された。

試しに外そうとしてみたが、
びくともしない。

視界はゴーグル越し、
声はマイク越し、
相手の声はスピーカー越し。

徹底的に「個」を消すためのシステムだ。

「……すごいな」

思わず漏れた独り言も、
自分の耳には電子的に
変換された声として届いた。

こんな体験、普通に生きていてできるものではない。

俺をここへ引きずり込んだ同僚に、
不思議と感謝している自分がいた。

ゴーグル越しの視界に、
改めて注意事項がテキストとして浮かび上がる。

『これより先の部屋で、女性と挿入を伴うセックスを行ってください』

『行為の完了は、ゴーグルおよび監視カメラの映像をAIが解析し、判定します』

『AIが完了を認定した場合のみ、ロックが解除され退室が可能となります』

違反行為があれば即時退場、二度と入場不可。
すべてが機械的に、徹底的に管理されている。
ある種の恐ろしさも感じるが、
それ以上に、管理された家畜のような
背徳的な興奮が勝っていた。

『すべての項目に同意しますか?』

目の前の問いに対し、「わかった」と声を出す。

『認証しました。扉を開けてお進みください』

いよいよ本番だ。

一体どんな女が待っているのか。

あるいは、どんな化け物が出てくるのか。

期待と不安が入り混じった複雑な感情で、
股間が熱くなるのを感じながら、
俺はそのドアを押し開けた。
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