退屈令嬢のフィクサーな日々

ユウキ

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婚約者の訪れ

 放課後、珍しく婚約者であるメイナードがエレノアを訪ねに教室までやってきた。


「ご機嫌麗しゅう殿下。……座ったままでのご挨拶で申し訳ございませんが、暫くはご容赦くださいませ」
「怪我をしたと聞いたが、大丈夫か?」
「ええ、大したことは。軽い捻挫ですわ。ご心配いただきありがとうございます。嬉しいですわ」
「何を……婚約者ではないか」

「ええ……。殿下は今から王宮へお戻りに?
 もし宜しければ私も王妃教育で参りますので、ご一緒しても宜しいでしょうか?」
「怪我をしたのだ、今日は休んではどうだ?」
「いいえ、これも将来は大切な殿下をお助けするため。こんな怪我如きで休んでは、王妃様に叱られてしまいますわ」


 ウフフと口元を押さえて可憐に微笑むと、眉を寄せていたメイナードもフッと微笑み返して手を差し伸べた。


「では私も大切な君をエスコートして行くとしよう」
「まぁ大切だなんて……」
「エレノアが先に言ったのではないか。“大切な殿下”と」


 エレノアはメイナードの言葉に、頬を染めて恥じらうように視線を下げた。


「私ったら、つい出してしまいましたのね。忘れてくださいませ」


 いつにないエレノアの恥じらう表情に、メイナードは頬を緩ませた。
 もっと見たくなったメイナードは、ついからかうような言葉が口をついて出てしまう。


「痛むようなら抱いて行っても良いぞ?」
「……!も、もうやめて下さいませ!抱くなどと不埒ですわ!」


 ますます顔を赤くしたエレノアに、喉を鳴らして笑うメイナードは、こう言ったやり取りに幼い頃を思い出し、どこか懐かしさを感じていた。

 ゆっくりと机に手をつきながら立ち上がるエレノアの手を取り、腕に深く絡ませると歩調を合わせて寄り添い、馬車に向かった。
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