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サイドストーリー フレディ奮闘記
卒業パーティー①
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パートナーを願い出て、迎えに行くよと言うと、『伯爵夫人が煩いので、会場入り口で待ち合わせよう』と言ったのはアマンダだった。
今年卒業の中に婚約者がいるのであろう、元同級生や仕事の同僚、顔見知りの人が結構いた。
入り口でアマンダを待っていると、「どっちを待っているんだっけ?姉の方だっけ?」と揶揄うようにワザと突いてくる奴もいた。
お前、覚えとけよっ
そんな風に話していると、「先輩、お待たせいたしました」と背中から不意に声がかかる。
振り返ると、そこには髪を複雑に編み込んでハーフアップにした、美しい人が恥ずかしそうに微笑んで立っていた。
薄く淡い緑色のオーガンジーを重ねてグラデーションを作ったドレス。胸元から腰辺りは一番濃い僕の瞳と同じ新緑。控えめに刺繍で彩る模様は金糸。
恥ずかしいくらいに僕の色だけで作られた、独占欲丸出しのドレスだ。
「……アマンダ嬢?」
(っっって、なんで言うに事欠いて、確認するような言葉しか出ないのか……!僕の語彙力は何処へ行ったんだ!)
信じられない。もうただただ僕の色を纏う彼女しか目に入らないし、ちょっと混乱中だ!
「ええ、はい。お待たせいたしましたわ」
遅かったとか言っているんじゃ無い。なんなら、僕が予定より30分は早く着いて居たから!
「…………あ、その……」
(出てこい!僕の語彙力!!)
だらしない顔を見せたくなくて、片手で口元を押さえたまま、出てこない言葉に葛藤する。
「馬子にも衣装でしょうか?」
「っ違うよ、思った以上に似合っていて……とっても素敵だ。感動すると、言葉は詰まって出てこないものなんだね」
もう、アマンダのフォローでやっと機能するってどうなのだ。内心で反省しまくりだ。
「まぁ、お上手ですこと。お化粧は初体験なのですが、別人のようでしょう?自分でも驚きでしたのよ」
いつも本の文字の上を踊るたびに柔らかく細められたり、パチパチと驚いたように瞬いたりと忙しない感情豊かな目が、ハッキリとラインを描かれてキリッとしている。真っ直ぐな瞳に見透かされそうだ。
丸みのある頬も、派手すぎない落ち着いた朱で薄らと。あどけない唇は誘うような艶を纏っていて。
君は僕をこれ以上どうしたいのかな?!
また赤くなってしまう顔を抑えていると、アマンダは戯けたように、ペチペチと頬を軽く叩き、「どう?」と衒いもなく笑う。
(……ほんと、敵わない)
「まぁいいか」
その笑みにつられて僕も笑い、内心が少し落ち着いたところで、僕も戯けるように気取ってアマンダへと手を差し出す。
「どうぞ、レディ?」
するとアマンダも調子を合わせて、ツンと顎を上げる。
「よろしくてよ?」
なんて言うものだから、2人して吹き出して、やっと会場へと足を踏み入れた。
今年卒業の中に婚約者がいるのであろう、元同級生や仕事の同僚、顔見知りの人が結構いた。
入り口でアマンダを待っていると、「どっちを待っているんだっけ?姉の方だっけ?」と揶揄うようにワザと突いてくる奴もいた。
お前、覚えとけよっ
そんな風に話していると、「先輩、お待たせいたしました」と背中から不意に声がかかる。
振り返ると、そこには髪を複雑に編み込んでハーフアップにした、美しい人が恥ずかしそうに微笑んで立っていた。
薄く淡い緑色のオーガンジーを重ねてグラデーションを作ったドレス。胸元から腰辺りは一番濃い僕の瞳と同じ新緑。控えめに刺繍で彩る模様は金糸。
恥ずかしいくらいに僕の色だけで作られた、独占欲丸出しのドレスだ。
「……アマンダ嬢?」
(っっって、なんで言うに事欠いて、確認するような言葉しか出ないのか……!僕の語彙力は何処へ行ったんだ!)
信じられない。もうただただ僕の色を纏う彼女しか目に入らないし、ちょっと混乱中だ!
「ええ、はい。お待たせいたしましたわ」
遅かったとか言っているんじゃ無い。なんなら、僕が予定より30分は早く着いて居たから!
「…………あ、その……」
(出てこい!僕の語彙力!!)
だらしない顔を見せたくなくて、片手で口元を押さえたまま、出てこない言葉に葛藤する。
「馬子にも衣装でしょうか?」
「っ違うよ、思った以上に似合っていて……とっても素敵だ。感動すると、言葉は詰まって出てこないものなんだね」
もう、アマンダのフォローでやっと機能するってどうなのだ。内心で反省しまくりだ。
「まぁ、お上手ですこと。お化粧は初体験なのですが、別人のようでしょう?自分でも驚きでしたのよ」
いつも本の文字の上を踊るたびに柔らかく細められたり、パチパチと驚いたように瞬いたりと忙しない感情豊かな目が、ハッキリとラインを描かれてキリッとしている。真っ直ぐな瞳に見透かされそうだ。
丸みのある頬も、派手すぎない落ち着いた朱で薄らと。あどけない唇は誘うような艶を纏っていて。
君は僕をこれ以上どうしたいのかな?!
また赤くなってしまう顔を抑えていると、アマンダは戯けたように、ペチペチと頬を軽く叩き、「どう?」と衒いもなく笑う。
(……ほんと、敵わない)
「まぁいいか」
その笑みにつられて僕も笑い、内心が少し落ち着いたところで、僕も戯けるように気取ってアマンダへと手を差し出す。
「どうぞ、レディ?」
するとアマンダも調子を合わせて、ツンと顎を上げる。
「よろしくてよ?」
なんて言うものだから、2人して吹き出して、やっと会場へと足を踏み入れた。
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