帰国した王子の受難

ユウキ

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6.

「最後にインダイト侯爵子息、ダイトナ伯爵子息は、廃嫡の上領地への蟄居が決まっています。各当主からの書状はそこの文官から受け取りなさい」

「「え!私は何も」」
「同じように侍り、止めもせずに加担して、夜会で糾弾しておいて『何も』?」


王妃様の瞳がスゥッと細まり、一層冷たく輝き二人を見据えた。


「騎士団長はこの騒動により辞職を申し出、爵位を長男へと委譲したわ。宰相はなんとか引き止めたけれど、爵位は委譲したわ。早々に後任に任せたら領地で蟄居するそうよ?
それで、『何も』していない貴方達は?王宮へ何しに来るの?スヴェルトは子爵家へ婿入り、ヴィンセントは帝国へ無期限遊学。ぶら下げる先もない『何も』しない巾着なんて、要らないのよ?」


大事なポジションを任せていた人望ある家臣が抜けるのは、とても痛い事だ。その原因の二人をのうのうと登城させても、非難されこそすれ、暖かく迎えて共に学び働こうとする聖人は恐らく居ないだろう。
はっきりと「不要」を突き付けた王妃様に、二人は膝をついて項垂れた。

ようやく折れた面々に、一つ嘆息した時だった、ぶつぶつと呟く声が聞こえてきた。


「もうっどうしてスヴェルト様と結婚ってなるのよ?!しかも次期王妃になるならまだしも、婿入りなんて!私は……私はエリアルト様をずっとずーっっと待っていたのよ!」


段々と声を大きくしたマーガレットは、顔を上げて、瞳孔の開いた目で俺を一心に見つめた。

やめろ、気持ち悪い目を向けるなっ!


「マ、マーガレット?!何を言っている?どう言う事だ?!」
「うるさいわねっ!あんたなんてどうでも良いのよっ!逆ハーきめないとエリアルト様に会えないんだから仕方ないでしょっ」


子爵家婿入り予定、暫定王族?の兄への暴言は不敬罪に当たるのかと、どうでも良いことに気取られた俺は、こちらへ振り返った王妃様の問うような目とかち合うも、小さく頭を振って意を示した。

いやまじで、俺、知らないですよ、王妃様。


「マーガレットっ!騙していたと言うのか?!」
「もー、スヴェルト様は黙っててよ!ねぇ、エリアルト様!貴方はそのままでいいの!何にだってなれるし、何にだってなっていいの!気にしないでいいのよ!」


……何言ってるんだアレは。

思わず、王妃様に発言の許可を取り、反論を口にした。


「貴女に言われなくとも私は、この上なく自由に過ごしてきたが?」
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