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そうして、事態は発覚する
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私たちが立つのは、正門を入ってすぐの場所だ。
校舎へと真っ直ぐに伸びる道は、右手側に折れればテニスコートと夜間照明設備の併設された、第五運動場に出る。五番目の数字が冠されてはいるが、五つ目の運動場ではなく、四を忌み数として避けた四つ目の運動場に当たる。
この場所は、離れたところに聳え立つ高等部校舎からも運動場からも丸見えだ。おまけに、帰宅通達などは出していないのか、聞こえる声から察して、部活動にいそしむ生徒もたくさんいるようだ。
「不審者だと突き出すなら、今ここでやります。校門に非常用の警報装置が設置されているんです。押せば、すぐに警備員が駆けつけます。でもそれは、刑事さんもお望みではないでしょう?」
不機嫌から警戒に、感情が変わる。
こんなに表情が読みやすくていいのか、とは思わない。おそらく、気付かない人がほとんどなのだろう。
どうも私は、ひっきりなしに寝込んでいた紅子の体験や感情の表出の薄い響に付き合っている間に、感情の小さな表れも見逃さない特技が身についたらしい。
顔色を読むのはほめられたことではないかもしれないけれど、便利には違いない。
「刑事さんを困らせるつもりなんてありません。茜さんたちを見つけ出してくれるなら、ただ形式だけの取調べをする人よりも、身内を気遣って規則違反も承知で駆けつけてきた人の方が一生懸命にやってくれそうですよね」
「ガキと手が組めるか」
「そんなこと、思っても口に出さない方がいいですよ。黙っていれば案内してもらえるのに」
「そこまで落ちぶれてない!」
そういう問題かと、首を傾げる。その反面、ここまで愚直だと生きにくそうだとも、おそらくは梨木刑事の半分も生きていないだろうけれど思ってしまう。嫌いではないけれど。
このまま梨木刑事を引っ張っていくか、私の身分を明かして協力を求めるか、どちらが得策かと考える。しかし、どちらにしても説得は大変そうだ。
そこまで考え、ああ、と手を打つ。
「刑事さん、携帯端末、持ってます?」
「はあ?」
「常時、警察署と連絡を取れるようになっていますよね?」
「それがどうした」
「すみません、少し、貸してもらえませんか?」
「何?」
「連絡を取りたい相手がいるんですけど、私、携帯端末持ってないんです。無駄足を踏ませるのも気の毒ですし、刑事さんがここで待っていてくれるなら、それでもいいですけど。駄目ですか?」
一瞬、呆けた。そこで、我に返る前にと素早く、梨木刑事の上着の右ポケットに手を突っ込む。
携帯端末と言われ、梨木刑事がそこを手で押さえたのをしっかりと見ていた。
校舎へと真っ直ぐに伸びる道は、右手側に折れればテニスコートと夜間照明設備の併設された、第五運動場に出る。五番目の数字が冠されてはいるが、五つ目の運動場ではなく、四を忌み数として避けた四つ目の運動場に当たる。
この場所は、離れたところに聳え立つ高等部校舎からも運動場からも丸見えだ。おまけに、帰宅通達などは出していないのか、聞こえる声から察して、部活動にいそしむ生徒もたくさんいるようだ。
「不審者だと突き出すなら、今ここでやります。校門に非常用の警報装置が設置されているんです。押せば、すぐに警備員が駆けつけます。でもそれは、刑事さんもお望みではないでしょう?」
不機嫌から警戒に、感情が変わる。
こんなに表情が読みやすくていいのか、とは思わない。おそらく、気付かない人がほとんどなのだろう。
どうも私は、ひっきりなしに寝込んでいた紅子の体験や感情の表出の薄い響に付き合っている間に、感情の小さな表れも見逃さない特技が身についたらしい。
顔色を読むのはほめられたことではないかもしれないけれど、便利には違いない。
「刑事さんを困らせるつもりなんてありません。茜さんたちを見つけ出してくれるなら、ただ形式だけの取調べをする人よりも、身内を気遣って規則違反も承知で駆けつけてきた人の方が一生懸命にやってくれそうですよね」
「ガキと手が組めるか」
「そんなこと、思っても口に出さない方がいいですよ。黙っていれば案内してもらえるのに」
「そこまで落ちぶれてない!」
そういう問題かと、首を傾げる。その反面、ここまで愚直だと生きにくそうだとも、おそらくは梨木刑事の半分も生きていないだろうけれど思ってしまう。嫌いではないけれど。
このまま梨木刑事を引っ張っていくか、私の身分を明かして協力を求めるか、どちらが得策かと考える。しかし、どちらにしても説得は大変そうだ。
そこまで考え、ああ、と手を打つ。
「刑事さん、携帯端末、持ってます?」
「はあ?」
「常時、警察署と連絡を取れるようになっていますよね?」
「それがどうした」
「すみません、少し、貸してもらえませんか?」
「何?」
「連絡を取りたい相手がいるんですけど、私、携帯端末持ってないんです。無駄足を踏ませるのも気の毒ですし、刑事さんがここで待っていてくれるなら、それでもいいですけど。駄目ですか?」
一瞬、呆けた。そこで、我に返る前にと素早く、梨木刑事の上着の右ポケットに手を突っ込む。
携帯端末と言われ、梨木刑事がそこを手で押さえたのをしっかりと見ていた。
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