残酷世界でバカやろう 【ダーク・ファンタジー】

芳乃 美葉子

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「やばい、このままじゃあ死ぬ。」

はぁ、はぁ、と息を荒くしながら森の中を駆け抜ける3人の男女。

彼らは追われているのだ。

後ろからは家より大きな巨大なトカゲの姿をした怪物が向かってくる。

それは、血のように赤い6個の目玉で獲物を舐めるように凝視しながら、グジャッ、ベギベギ、と激しい音を立て木々を薙ぎ倒しながら少しずつ、少しずつ、その距離を詰めてくるのだ。

男女のうち1人の男は腕を負傷し、もう1人の女は頭から血を流し、意識が朦朧としている。

腕には皆、同じ色模様のスカーフが腕に巻かれている。
おそらく、彼らは助け合いながら苦難を乗り越えてきた心を許し合える仲間同士なのだろう。

2人目の男は決断を迫られる。

血の匂いでどこまでも追ってくる怪物を全員で協力して倒すか、仲間を見殺しにするか。

気がつくと全員はどうしようもない絶望的な状況を目の前に涙をボロッボロと流しながら喉が裂ける程の大きな声で血反吐を吐きながら助けを求めていた。

「誰か、助けてー‼︎ 誰か助けてくれーーーー‼︎」

瞬間、返答したかのように森の中を走り抜ける微かな足音が前から近づいて来る。

「ハガル様、あそこに。」

その声と同時に木と木の間から男が飛び出してきたのだ。
男は3人の頭上を軽々と飛び越えると、後ろの怪物の首を豪快にぶった斬るのだ。

そして、木の枝に顔をぶつけて「あ゛あ゛‼︎」と叫びながら無様に背中から落下した。

助かったのだ。

それを見た3人の男女は腰を抜かしぺたんと座りこむ。

20歳ぐらいの身長が180cm以上はある、光を通さない程の黒の鎧に深い海のように青く大きな剣を身につけた男だ。

男は頭を押さえながら土埃を払い3人に近づき「大丈夫か?」と声をかけた。

そうすると、怪物がいる方と反対側から身長が130cm以上の白い服を着たフードをかぶる少女が走ってくる。

「そちらの方はすぐに治療が必要そうですね。」

少女は気を失った血を流している女の傷口に手をかざすと少しずつ傷が治ってゆくのだ。

「魔法ってやつか? 初めて見た。」

追われていた男の2人は、助けてくれた恩人に感謝して名前を訪ねる。

「俺はハガル。」

「はじめまして、私はセチアです。ハガル様と旅をしております。」

「助かったよ、ありがとうな。 俺はコット、今治療してもらってるのがカトゥでもう1人がオラドだ。」

ハガルは怪物に指を刺しながら。

「それにしても災難だったみたいだな。 その傷は全部コイツにやられたのか?」

「あぁ、そうだ。 それにしてもあんなでかいトカゲを一撃とは、あんた相当強いんだな。」

「どうも。 何百回も人助けをしてたら俺みたいになれる。 それに、この化け物は人間の成れの果てだよ。」

「人間?」

「冗談だよ、本気にするな。」

ハガルは笑って誤魔化す。

そうこうしているとセチアが話しかけてくる。

「カトゥ様の治療が終わりました。応急処置なので後で病院に連れてあげてくださいまし。
オラド様は腕の怪我を見てもよろしいでしょうか。」

「すまない。」

「あとは腹一杯食わないとなぁ。ほら、ただの米だが力がつくぞ。」

ハガルは服のポケットからぐちゃぐちゃカピカピの米を取り出してみせる。

「今、その米ポケットから出さなかったか?」

「まだ食えるだろ?」

そう言うとハガルはその米を口に入れる。

「何だこの米は、クソまずっ‼︎
この前に食べたカラフルな虫と同じ味がする。」

「変な物を口に入れるのはやめてくださいまし、ハガル様。

昨日も謎のキノコを食べてみようと言って大変な事なりましたでしょう。」

「いや、あれはいけると思ったんだ。
食べてみて腹を壊さなければ食べれる物だと分かるだろ?」

「あんた、思ったより変な奴だったんだな。」

「ははは。 そういやこの近くに町はあるかい?」

「町? あるぞ。」

「俺達の命の恩人だしな、ついて来てくれ。」

こうしてハガル達は3人と共に町にたどり着いた。

「あんた、本当に何者なんだ?」

「悪い者にみえたかい?」
ハガルはとぼけたように応えた。

「すまん、なんでもない。
事情は人それぞれだ。」

「なあ、最後にこの印を見たことがあるか?」

ハガルは丈夫そうな紙を取り出して3人に見せた。
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