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第3話 3年後
しおりを挟む3年後
あたり一面緑の大地。
屋根と壁にに苔がびっしり生えた3軒の小さな家が大きく間隔をあけて建っている。
家の近くの丘では大きな青い剣を何度も振るう男の姿があった。
「ひょっほっほっほっ。 昼ご飯ができたぞ。」
一軒の家の中からは、とんがった帽子をかぶった背の低いお爺さんが白く長い髭を地面を引きずりながら現れた。
「今日のお昼はセチアちゃんが作ってくれたんだぞー。
冷める前にはよう来ーい。
ハガルよ。」
ハガルは剣を背中に担ぐと「わかった。」と老人と共に家の中に入っていく。
「ハガル様にオンビ様おかえりなさいませ。」
家の中では、人数分のお皿にシチューをテーブルに置いているセチアと鼻が長く目つきが悪いお婆さんが椅子に座っている。
「ただいま戻りましたよ。
セチアとヘム婆さん。」
4人は椅子に座り食卓を囲む。
「あんたがここに来て3年が過ぎたね。
そろそろこの場所を出て行くのかい?」
「そうだな、助かったよ。
色々と学ばせてもらった。」
「ひょほっ、ハガル君の魔法の才能はありえないぐらい低かったけど、セチアちゃんの才能は本物だったの。」
「はい、これもオンビ様とヘンム様のおかげです。」
「うるせー。」
「一方でハガルが得たのはその剣と鎧の使い方と人の煽り方だけだったけどねぇ。
あんた達が近くの湖で倒れてた時は驚いたもんだよ。」
「感謝してるよ、おかげで準備ができた。」
「ありがとうございます。私もハガル様と共に戦う力を得ることができました。」
「で、そろそろ行くんだろ?」
ハガルは無言で頷く。
「寂しくなるのぉ。
ここには爺さん婆さんしかおらんからセチアちゃんだけでも残ってくれると嬉しいがのぅ。」
「馬鹿なこと言ってんじゃないよ。」
とヘンムがオンビを軽くこずく。
「痛っ!」
ハガルは剣を背負い鎧を着こむ。
肩には短い棒状の鉄塊が2つ、腰のベルトには何本もの杭に2本の剣(ファルシオン)と肩からも下げられたベルトにダガーが沢山付いている。
セチアは裏に呪文のような文字がびっしり書かれた真っ白のドレスのような服に黒い金属の槍のような杖を着る。
2人は装備を整えてから外に出るのだ。
「ほれ、ハガル君、ワシからのプレゼント。」
オンビはハガルに青の肩に下げるようなマントを手渡す。
「このマントはワシが相当苦労して最高の魔法を馴染ませた物じゃよ。
溶けた鉄に3時間つけてもびくともしないし、手足のように操れる。(ポケットもいっぱい付いてるし)
頑張って使いこなしてくれ。」
「本当に手足のように動かせる、すげぇなこれは。」
「それには、あの力を抑制する魔法も入れておいた。 もう、アレに飲まれるでないぞ。」
「・・・。」
「ほら、セチアちゃんにはこれを私から。」
ヘンムはセチアの服と頭に青いリボンをつけてゆく。
「私と横のインチキ爺さんの魔法が沢山付与してあるから、よっぽどの事があってもなんとかなるはずだよ。」
「そうそう、ハガル君のマントに付けた魔法なんかよりも強力な魔法が何個もついてるからの。」
「この、クソジジイ。」
ハガルとセチアは皆んなにお礼を言い、歩き出す。
「ありがとう、俺が生きてたらまた来るよ。」
「今までありがとうございました。」
「ひょほほ。 楽しみで、あと200年は生きてられそうじゃな。」
「1000年は生きてきたんだ、アンタは、欲張りすぎだよ。」
去っていくハガルの後ろからは温かい笑い声がいつまでも続いていた。
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