残酷世界でバカやろう 【ダーク・ファンタジー】

芳乃 美葉子

文字の大きさ
4 / 4

第3話 3年後

しおりを挟む


3年後

あたり一面緑の大地。

屋根と壁にに苔がびっしり生えた3軒の小さな家が大きく間隔をあけて建っている。

家の近くの丘では大きな青い剣を何度も振るう男の姿があった。

「ひょっほっほっほっ。 昼ご飯ができたぞ。」

一軒の家の中からは、とんがった帽子をかぶった背の低いお爺さんが白く長い髭を地面を引きずりながら現れた。

「今日のお昼はセチアちゃんが作ってくれたんだぞー。
冷める前にはよう来ーい。

ハガルよ。」

ハガルは剣を背中に担ぐと「わかった。」と老人と共に家の中に入っていく。

「ハガル様にオンビ様おかえりなさいませ。」

家の中では、人数分のお皿にシチューをテーブルに置いているセチアと鼻が長く目つきが悪いお婆さんが椅子に座っている。

「ただいま戻りましたよ。
セチアとヘム婆さん。」

4人は椅子に座り食卓を囲む。

「あんたがここに来て3年が過ぎたね。
そろそろこの場所を出て行くのかい?」

「そうだな、助かったよ。
色々と学ばせてもらった。」

「ひょほっ、ハガル君の魔法の才能はありえないぐらい低かったけど、セチアちゃんの才能は本物だったの。」

「はい、これもオンビ様とヘンム様のおかげです。」
「うるせー。」

「一方でハガルが得たのはその剣と鎧の使い方と人の煽り方だけだったけどねぇ。

あんた達が近くの湖で倒れてた時は驚いたもんだよ。」

「感謝してるよ、おかげで準備ができた。」

「ありがとうございます。私もハガル様と共に戦う力を得ることができました。」

「で、そろそろ行くんだろ?」

ハガルは無言で頷く。

「寂しくなるのぉ。
ここには爺さん婆さんしかおらんからセチアちゃんだけでも残ってくれると嬉しいがのぅ。」

「馬鹿なこと言ってんじゃないよ。」
とヘンムがオンビを軽くこずく。

「痛っ!」

ハガルは剣を背負い鎧を着こむ。
肩には短い棒状の鉄塊が2つ、腰のベルトには何本もの杭に2本の剣(ファルシオン)と肩からも下げられたベルトにダガーが沢山付いている。

セチアは裏に呪文のような文字がびっしり書かれた真っ白のドレスのような服に黒い金属の槍のような杖を着る。

2人は装備を整えてから外に出るのだ。

「ほれ、ハガル君、ワシからのプレゼント。」

オンビはハガルに青の肩に下げるようなマントを手渡す。

「このマントはワシが相当苦労して最高の魔法を馴染ませた物じゃよ。

溶けた鉄に3時間つけてもびくともしないし、手足のように操れる。(ポケットもいっぱい付いてるし)

頑張って使いこなしてくれ。」

「本当に手足のように動かせる、すげぇなこれは。」

「それには、あの力を抑制する魔法も入れておいた。 もう、アレに飲まれるでないぞ。」

「・・・。」

「ほら、セチアちゃんにはこれを私から。」

ヘンムはセチアの服と頭に青いリボンをつけてゆく。

「私と横のインチキ爺さんの魔法が沢山付与してあるから、よっぽどの事があってもなんとかなるはずだよ。」

「そうそう、ハガル君のマントに付けた魔法なんかよりも強力な魔法が何個もついてるからの。」

「この、クソジジイ。」

ハガルとセチアは皆んなにお礼を言い、歩き出す。

「ありがとう、俺が生きてたらまた来るよ。」
「今までありがとうございました。」

「ひょほほ。 楽しみで、あと200年は生きてられそうじゃな。」

「1000年は生きてきたんだ、アンタは、欲張りすぎだよ。」

去っていくハガルの後ろからは温かい笑い声がいつまでも続いていた。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

復讐を誓う少年と蒼き魔族の女将軍 ~人類を裏切った俺が、異界の救世主になるまで~

M_mao
ファンタジー
少年は全てを失った。残されたのは、骨の髄まで染みた憎悪だけ。 復讐のためならば、彼は悪魔にでもなろう。たとえそれが、己が属する人類を裏切ることであっても。 彼の前に現れたのは、氷のように冷徹で、神のように美しい魔族の女帝。 利用する者と、利用される者。二つの魂が交差する時、世界の運命は動き出す。 これは、最も孤独な復讐者と、最も気高き征服者が織りなす、ダーク・ファンタジー戦記。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

処刑された勇者は二度目の人生で復讐を選ぶ

シロタカズキ
ファンタジー
──勇者は、すべてを裏切られ、処刑された。  だが、彼の魂は復讐の炎と共に蘇る──。 かつて魔王を討ち、人類を救った勇者 レオン・アルヴァレス。 だが、彼を待っていたのは称賛ではなく、 王族・貴族・元仲間たちによる裏切りと処刑だった。 「力が強すぎる」という理由で異端者として断罪され、広場で公開処刑されるレオン。 国民は歓喜し、王は満足げに笑い、かつての仲間たちは目を背ける。 そして、勇者は 死んだ。 ──はずだった。 十年後。 王国は繁栄の影で腐敗し、裏切り者たちは安穏とした日々を送っていた。 しかし、そんな彼らの前に死んだはずの勇者が現れる。 「よくもまあ、のうのうと生きていられたものだな」 これは、英雄ではなくなった男の復讐譚。 彼を裏切った王族、貴族、そしてかつての仲間たちを絶望の淵に叩き落とすための第二の人生が、いま始まる──。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌

招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」 毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。 彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。 そして…。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

処理中です...