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No.2_ 竜の逆鱗
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旅を始めて、はや5分。
ドラゴンと遭遇した。
アトゥワースは真顔で、遠くを見ている。
アトゥさんは諦めムードだし、私は大きな動物なんか倒したこともないし・・・。
勢いづいて出発した矢先に現れた、どうしようもない壁に、じんわりと涙目になってくる。
「なんや強い力を感じたと思うて来てみたら、子供2人しかおらんやんけ」
喋った・・・!
考えてみれば、動物が喋るのを見るのも初めてだ。
話し合えばこの状況を解決できるかもしれない。
人間の言葉を介する動物を目の前に、恐怖が何時しかワクワクに変わるのだ。
「アトゥさん! 喋りました! 私、人以外とお話しできたのはこれが初めてです!」
「己は恐怖よりも、好奇心が優先される性格のようじゃな・・・」
アトゥワースはため息を吐きながら、呆れた顔をしている。
なんやこいつら、泣いたりわろたり忙しいな奴やな・・・。
ドラゴンも表情がころころ変化するカレアを不思議に思いながら、まじまじと見ていた。
そんな2人に差し置いてカレアの気持ちはどんどんと高鳴ってゆく。
「こんにちは! 私は『カレア・レイザース』です! 貴方は、誰ですか?」
「ウチは、『ズメイ』やけど・・・。 自分ら、ここらで怪しい何かを見んかった?」
なんや、この違和感は。
こいつら、食べたら呪われそうやわ。
逃げず、恐れず、笑い、馴れ馴れしい。
自分を利用しようと近づいて来る人間としか言葉を介した事がない『ズメイ』にとって、純粋な興味で話す人間が気持ち悪い感覚の正体だと考えた。
アトゥワースは考える。
もしかして、このドラゴンはカレアを不気味に思ってないか? 付け入る隙がありそうじゃのぉ。
アトゥワースは、じりじりとカレアに言い押されている姿を見て、ズメイを手駒にできないかと考えていた。
「強い力か・・・知っとるぞ。 じゃが、それを知ってどうするんじゃ?」
「嫌な気配やったからな。 ぐにゃりと世界が変化するするような感覚やった」
「そやつならもう倒したぞ。 ほれ」
アトゥワースは自分を召喚した本を見せびらかる。
「俄かに信じがたいが、確かに気配は残っとるな」
「のう、カレア。 己は本の禁術を使いながらも生きている。 今はこの世界の王を目指す旅の途中、違うかの?」
「え、はい! 禁術は使いましたけど・・・王になる為には王冠を見つけるとアトゥさ・・・」
「そう言うことじゃ! 禁術をリスク無しで使用でき、王としての器の持ち主じゃ。 疑う余地もあるまい!」
どうじゃ? ちと怪しいが証拠もあるし、純粋なカレアは嘘をついてるようにも見えないじゃろ。
アトゥワースはカレアから重要な単語だけを喋らせ、目の前のドラゴンを丸め込む賭けにでた。
「王?」
カレアとやらは嘘をついてるようには見えへん。
隣の奴は怪しいが、2人の会話は成立しとる。
禁術をつこうた証拠もあるし、うちを前にしても余裕があるって事はそれなりに強いんか?
何も考えていないカレアをよそに、疑い合う1人と1体。
時には無邪気な純粋さも必要なのだろう。
「のうカレア、あやつを旅の仲間にしたくはないかの? 己が頼みこめば、仲間になってくれるやもしれんぞ」
「本当ですか! 頼んでみます!」
アトゥワースは悪そうな顔でカレアに耳打ちする。
「ズメイさん! 私の旅の仲間になってください!」
手を出し、握手を求めるカレアを前にズメイは困惑した。
ズメイから見た彼女は禁術を使いこなし、魔力を感じられない程コントロールでき、この世界の王を目指せる器を持った人物だからだ。
「おもろいな、ほんまに王様を目指すつもりなら契約してもええで」
「契約・・・ですか?」
「そうや、契約すれば人間の姿に変われるからな。 それに隣におんのも人間やないんやろ?」
「ありがとうございます!」
契約とは、目的が同じ者のお互いの魂の価値を均質にして意識と能力を分け合う行為である。
目的が異なる者が多くを取り込めば自我を失い、他人の目的を探し続ける狂人となる。
能力は主人に依存し、実力が高くない者を主人とした場合は実力以上の能力は消滅する。
つまり、『ズメイ』の力は『カレア』と同レベルになる。
「おい、嘘やろ。」
ズメイは人間に変化し、自分の力の全てが弱体化したのを感じ取る。
その横でカレアは両手を上げ、笑顔で喜んでいた。
「己はちょろいなーー!」
アトゥワースは呆然としているズメイを指差してゲラゲラと大笑いしだした。
「自分、うちのこと騙したな・・・」
「己が勝手に勘違いしただけじゃろ」
「殺す・・・」
そう呟くと、ズメイはアトゥワースに殴りかかった。
ドラゴンと遭遇した。
アトゥワースは真顔で、遠くを見ている。
アトゥさんは諦めムードだし、私は大きな動物なんか倒したこともないし・・・。
勢いづいて出発した矢先に現れた、どうしようもない壁に、じんわりと涙目になってくる。
「なんや強い力を感じたと思うて来てみたら、子供2人しかおらんやんけ」
喋った・・・!
考えてみれば、動物が喋るのを見るのも初めてだ。
話し合えばこの状況を解決できるかもしれない。
人間の言葉を介する動物を目の前に、恐怖が何時しかワクワクに変わるのだ。
「アトゥさん! 喋りました! 私、人以外とお話しできたのはこれが初めてです!」
「己は恐怖よりも、好奇心が優先される性格のようじゃな・・・」
アトゥワースはため息を吐きながら、呆れた顔をしている。
なんやこいつら、泣いたりわろたり忙しいな奴やな・・・。
ドラゴンも表情がころころ変化するカレアを不思議に思いながら、まじまじと見ていた。
そんな2人に差し置いてカレアの気持ちはどんどんと高鳴ってゆく。
「こんにちは! 私は『カレア・レイザース』です! 貴方は、誰ですか?」
「ウチは、『ズメイ』やけど・・・。 自分ら、ここらで怪しい何かを見んかった?」
なんや、この違和感は。
こいつら、食べたら呪われそうやわ。
逃げず、恐れず、笑い、馴れ馴れしい。
自分を利用しようと近づいて来る人間としか言葉を介した事がない『ズメイ』にとって、純粋な興味で話す人間が気持ち悪い感覚の正体だと考えた。
アトゥワースは考える。
もしかして、このドラゴンはカレアを不気味に思ってないか? 付け入る隙がありそうじゃのぉ。
アトゥワースは、じりじりとカレアに言い押されている姿を見て、ズメイを手駒にできないかと考えていた。
「強い力か・・・知っとるぞ。 じゃが、それを知ってどうするんじゃ?」
「嫌な気配やったからな。 ぐにゃりと世界が変化するするような感覚やった」
「そやつならもう倒したぞ。 ほれ」
アトゥワースは自分を召喚した本を見せびらかる。
「俄かに信じがたいが、確かに気配は残っとるな」
「のう、カレア。 己は本の禁術を使いながらも生きている。 今はこの世界の王を目指す旅の途中、違うかの?」
「え、はい! 禁術は使いましたけど・・・王になる為には王冠を見つけるとアトゥさ・・・」
「そう言うことじゃ! 禁術をリスク無しで使用でき、王としての器の持ち主じゃ。 疑う余地もあるまい!」
どうじゃ? ちと怪しいが証拠もあるし、純粋なカレアは嘘をついてるようにも見えないじゃろ。
アトゥワースはカレアから重要な単語だけを喋らせ、目の前のドラゴンを丸め込む賭けにでた。
「王?」
カレアとやらは嘘をついてるようには見えへん。
隣の奴は怪しいが、2人の会話は成立しとる。
禁術をつこうた証拠もあるし、うちを前にしても余裕があるって事はそれなりに強いんか?
何も考えていないカレアをよそに、疑い合う1人と1体。
時には無邪気な純粋さも必要なのだろう。
「のうカレア、あやつを旅の仲間にしたくはないかの? 己が頼みこめば、仲間になってくれるやもしれんぞ」
「本当ですか! 頼んでみます!」
アトゥワースは悪そうな顔でカレアに耳打ちする。
「ズメイさん! 私の旅の仲間になってください!」
手を出し、握手を求めるカレアを前にズメイは困惑した。
ズメイから見た彼女は禁術を使いこなし、魔力を感じられない程コントロールでき、この世界の王を目指せる器を持った人物だからだ。
「おもろいな、ほんまに王様を目指すつもりなら契約してもええで」
「契約・・・ですか?」
「そうや、契約すれば人間の姿に変われるからな。 それに隣におんのも人間やないんやろ?」
「ありがとうございます!」
契約とは、目的が同じ者のお互いの魂の価値を均質にして意識と能力を分け合う行為である。
目的が異なる者が多くを取り込めば自我を失い、他人の目的を探し続ける狂人となる。
能力は主人に依存し、実力が高くない者を主人とした場合は実力以上の能力は消滅する。
つまり、『ズメイ』の力は『カレア』と同レベルになる。
「おい、嘘やろ。」
ズメイは人間に変化し、自分の力の全てが弱体化したのを感じ取る。
その横でカレアは両手を上げ、笑顔で喜んでいた。
「己はちょろいなーー!」
アトゥワースは呆然としているズメイを指差してゲラゲラと大笑いしだした。
「自分、うちのこと騙したな・・・」
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そう呟くと、ズメイはアトゥワースに殴りかかった。
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