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勇者=弄られキャラ?
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…………
っと、沈黙。
へっ? 何? 僕、何か変なこと言ったっけ? お願いされたから返事したたけだよねぇ? 言い方が悪かったのかな? それとも態度? ガディは竜の王様だから土下座とかしなきゃならなかったとか?
沈黙が続く中で色んな思考が駆け巡り、そろそろ目が回りそうになった時だった。
「ぷっ! クハハハハハハハハハハハッッッ!!!」
「「「「アハハハハハハハハハハッッッ!!!」」」」
大声で笑われてしまった。チョット前にも見た光景だ。
楽しげに笑う彼らを見て、本当に仲のいい兄妹なんだなって実感出来る。けど……笑いすぎじゃない?
最初は困惑だった。何で笑われてるかわからないし。でも、何となく恥ずかしくなってくる。可笑しなことを言ってしまったのかなと。
でも、今はムカついてきた。だって……
「もうっ! 皆んな笑いすぎだよっ! 失礼じゃないかっ!」
っと、憤慨するまでに。
僕の反応を見てガディは無理矢理笑いを収めようとするけど失敗。お腹を抑えて地面に突っ伏すようにして笑ってる。
他の姉妹も口を抑えたり、僕から顔を背けて笑ってるし。
僕にはお笑いのセンスなんて全く無いのに、ここまで笑われると無償に腹が立つ。もう一度、抗議をしてやろうかと思った時だった。
突っ伏していたガディが上体を上げ、目尻に溜まった涙を拭って声を出してくる。
泣くほど可笑しなことを言った憶えはないのだけど……
「だってよぉ、こっちから手を貸してくれって頼んでるんだぜ。なんでカイトがお願いしてくるんだよ。可笑しいだろう」
すると、右側にいるサンナさん(ワイバーン)が楽しげに言ってきた。
「お人好しスキルの発動を確認した。これでは利用されるのも仕方ない」
淡々とした話し方だけど、その表情は実に楽しそうだ。
ひとしきり笑ったガディはパシっと自らの右膝を叩くと、それを合図に全員が立ち上がった。息ぴったりだなと思いつつ、僕も立ち上がってガディを眺める。
すると、ガディは僕に近寄ってきた。そして目の前に立つと、ニッと破顔して声を出した。
「残念ながら一度こっちに来た人間は元の世界に戻すことは出来ない。だが、その分のサポートは俺達がやらせてもらう。だから……」
っと言葉を止め、スっと右手を差し出してくる。
「グラン・エルディンの勇者となって俺達と共に戦ってくれ」
決意の籠った眼差しをを向けるガディ。その眼差しは他の姉妹達からも向けられる。
そして僕は……右手を持ち上げて……
ガディの手をガッチリと握って言った。
「もちろんだよ、『勇者の剣』まで頂いちゃったからね。ちゃんと恩返しをしないと……」
そう言ったところで女性達から小声が聞こえた。
「お人好しスキルね」っと、ナナナさん。
「お人好しスキルだわ」っと、キリキュリさん。
「お人好しスキルだわぁ」っと、シーラさ。
「お人好しスキル、再び確認」っと、サンナさん。
どうやら弄られキャラ認定されてしまったようだ。
でも……それでもやっぱり、して貰った恩はちゃんと返さなきゃならない。それは向こうの世界だってこっちの世界だって一緒だと思うから。
『いいか、海斗。人にして貰った恩を忘れたら駄目だぞ!絶対にな』
おじいちゃんの声が聞こえる。だけど、右耳の裏は疼かなかった。
もう、あの馬鹿虫はいないんだから。
その時ふと、僕は当たりを見渡す。そして僕が最初にやってきた方向を眺めているとガディが声を掛けてきた。
「どうしたカイト、何か気になる事でもあるのか?」
っと言って首を傾げてくる。
「あぁ……うん……いや、白花《はっか》を渡しちゃったから厄介な事になるんじゃないかなって。あれを食べると不老不死になるとかって聞いたから」
するとガディは「あぁ……まぁ厄介と言えば厄介だな」っと言いながら後頭部を搔く。なんとも歯切れの悪い言い回しだなと思っていると、ガディは肩を竦めて聞いてくる。
「なぁ、カイト。お前の思う不老不死って、どんなだ?」
なんとも唐突で意味深な質問だけど、僕は少し考えてから答えた。
「不老不死って言ったらやっぱり、今のままの姿で死なないってイメージだけど」
「ふむ……」っと声を漏らしたガディだけど、直ぐに質問の意味を教えてくれた。
「人間からすれば不老不死はそんなイメージ何だろうが、俺達からすれば全然違うイメージでな。早い話がアンデッドだ。カイトの世界で言う……なんだ? ドロドロのあれだ」
「ゾンビ?」
「それだそれだ!」っと言ってパンっと手を叩くガディ。
でも、あの白花を食べるゾンビになるって……マジ?
その後のガディの話はこうだった。
はるか昔、この場所は敵や罪人の処刑場だったらしく、初代竜王から三代目まで永く続いたとか。
一日に何度も処刑が行われる時もあったらしく、処刑された者の血でこの辺りの地面はどす黒く染まっていたらしい。
ガディのお爺さんが竜王になって直ぐに下の火山が大噴火を起こし、溶岩が大量に流れて広大な大地になったと。
そこで竜王は処刑を辞めてその土地に敵や罪人を追放するようになったらしい。
その後、この場所に緑を植えたけど処刑場のあった場所にはあの白花が咲くようになったらしい。
ある時、窃盗を働いた罪人が追っ手から逃げる途中に足を取られ白花が口に入り、思わず噛み締めてしまった。
すると、その罪人は突然もがき苦しみ全身の至る所を爪を立てて掻きむしり始める。皮膚は裂け、全身は血だらけになった罪人。
いつしかピタリと動かなくなった。
誰もが死んだと思った瞬間、罪人はゆっくりと立ち上がり唸り声を上げて追手を襲い始めた。剣で切り裂いても魔法を放っても倒れない罪人。
竜王が剣で首をはねてようやく身体の動きは止まったけど、首だけは唸り声を上げて続けたとか。
それ以降、国民に近づかないように促し、召喚された勇者(なんちゃって)がやって来ても手に入れられないように竜王が立ちはだかるようにしていたらしい。
確かに僕が最初に竜王を見た時も、群生する白花の上に浮かんでいたし。
「俺の代になってからは一度も取られたことは無かったんだけどな。しかしまぁ……なんだ。勇者を連れてきてくれてんだ、選別代わりにくれてやるさ」
そう言ってサムズアップ。キメ顔がとても眩しかった。
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っと、沈黙。
へっ? 何? 僕、何か変なこと言ったっけ? お願いされたから返事したたけだよねぇ? 言い方が悪かったのかな? それとも態度? ガディは竜の王様だから土下座とかしなきゃならなかったとか?
沈黙が続く中で色んな思考が駆け巡り、そろそろ目が回りそうになった時だった。
「ぷっ! クハハハハハハハハハハハッッッ!!!」
「「「「アハハハハハハハハハハッッッ!!!」」」」
大声で笑われてしまった。チョット前にも見た光景だ。
楽しげに笑う彼らを見て、本当に仲のいい兄妹なんだなって実感出来る。けど……笑いすぎじゃない?
最初は困惑だった。何で笑われてるかわからないし。でも、何となく恥ずかしくなってくる。可笑しなことを言ってしまったのかなと。
でも、今はムカついてきた。だって……
「もうっ! 皆んな笑いすぎだよっ! 失礼じゃないかっ!」
っと、憤慨するまでに。
僕の反応を見てガディは無理矢理笑いを収めようとするけど失敗。お腹を抑えて地面に突っ伏すようにして笑ってる。
他の姉妹も口を抑えたり、僕から顔を背けて笑ってるし。
僕にはお笑いのセンスなんて全く無いのに、ここまで笑われると無償に腹が立つ。もう一度、抗議をしてやろうかと思った時だった。
突っ伏していたガディが上体を上げ、目尻に溜まった涙を拭って声を出してくる。
泣くほど可笑しなことを言った憶えはないのだけど……
「だってよぉ、こっちから手を貸してくれって頼んでるんだぜ。なんでカイトがお願いしてくるんだよ。可笑しいだろう」
すると、右側にいるサンナさん(ワイバーン)が楽しげに言ってきた。
「お人好しスキルの発動を確認した。これでは利用されるのも仕方ない」
淡々とした話し方だけど、その表情は実に楽しそうだ。
ひとしきり笑ったガディはパシっと自らの右膝を叩くと、それを合図に全員が立ち上がった。息ぴったりだなと思いつつ、僕も立ち上がってガディを眺める。
すると、ガディは僕に近寄ってきた。そして目の前に立つと、ニッと破顔して声を出した。
「残念ながら一度こっちに来た人間は元の世界に戻すことは出来ない。だが、その分のサポートは俺達がやらせてもらう。だから……」
っと言葉を止め、スっと右手を差し出してくる。
「グラン・エルディンの勇者となって俺達と共に戦ってくれ」
決意の籠った眼差しをを向けるガディ。その眼差しは他の姉妹達からも向けられる。
そして僕は……右手を持ち上げて……
ガディの手をガッチリと握って言った。
「もちろんだよ、『勇者の剣』まで頂いちゃったからね。ちゃんと恩返しをしないと……」
そう言ったところで女性達から小声が聞こえた。
「お人好しスキルね」っと、ナナナさん。
「お人好しスキルだわ」っと、キリキュリさん。
「お人好しスキルだわぁ」っと、シーラさ。
「お人好しスキル、再び確認」っと、サンナさん。
どうやら弄られキャラ認定されてしまったようだ。
でも……それでもやっぱり、して貰った恩はちゃんと返さなきゃならない。それは向こうの世界だってこっちの世界だって一緒だと思うから。
『いいか、海斗。人にして貰った恩を忘れたら駄目だぞ!絶対にな』
おじいちゃんの声が聞こえる。だけど、右耳の裏は疼かなかった。
もう、あの馬鹿虫はいないんだから。
その時ふと、僕は当たりを見渡す。そして僕が最初にやってきた方向を眺めているとガディが声を掛けてきた。
「どうしたカイト、何か気になる事でもあるのか?」
っと言って首を傾げてくる。
「あぁ……うん……いや、白花《はっか》を渡しちゃったから厄介な事になるんじゃないかなって。あれを食べると不老不死になるとかって聞いたから」
するとガディは「あぁ……まぁ厄介と言えば厄介だな」っと言いながら後頭部を搔く。なんとも歯切れの悪い言い回しだなと思っていると、ガディは肩を竦めて聞いてくる。
「なぁ、カイト。お前の思う不老不死って、どんなだ?」
なんとも唐突で意味深な質問だけど、僕は少し考えてから答えた。
「不老不死って言ったらやっぱり、今のままの姿で死なないってイメージだけど」
「ふむ……」っと声を漏らしたガディだけど、直ぐに質問の意味を教えてくれた。
「人間からすれば不老不死はそんなイメージ何だろうが、俺達からすれば全然違うイメージでな。早い話がアンデッドだ。カイトの世界で言う……なんだ? ドロドロのあれだ」
「ゾンビ?」
「それだそれだ!」っと言ってパンっと手を叩くガディ。
でも、あの白花を食べるゾンビになるって……マジ?
その後のガディの話はこうだった。
はるか昔、この場所は敵や罪人の処刑場だったらしく、初代竜王から三代目まで永く続いたとか。
一日に何度も処刑が行われる時もあったらしく、処刑された者の血でこの辺りの地面はどす黒く染まっていたらしい。
ガディのお爺さんが竜王になって直ぐに下の火山が大噴火を起こし、溶岩が大量に流れて広大な大地になったと。
そこで竜王は処刑を辞めてその土地に敵や罪人を追放するようになったらしい。
その後、この場所に緑を植えたけど処刑場のあった場所にはあの白花が咲くようになったらしい。
ある時、窃盗を働いた罪人が追っ手から逃げる途中に足を取られ白花が口に入り、思わず噛み締めてしまった。
すると、その罪人は突然もがき苦しみ全身の至る所を爪を立てて掻きむしり始める。皮膚は裂け、全身は血だらけになった罪人。
いつしかピタリと動かなくなった。
誰もが死んだと思った瞬間、罪人はゆっくりと立ち上がり唸り声を上げて追手を襲い始めた。剣で切り裂いても魔法を放っても倒れない罪人。
竜王が剣で首をはねてようやく身体の動きは止まったけど、首だけは唸り声を上げて続けたとか。
それ以降、国民に近づかないように促し、召喚された勇者(なんちゃって)がやって来ても手に入れられないように竜王が立ちはだかるようにしていたらしい。
確かに僕が最初に竜王を見た時も、群生する白花の上に浮かんでいたし。
「俺の代になってからは一度も取られたことは無かったんだけどな。しかしまぁ……なんだ。勇者を連れてきてくれてんだ、選別代わりにくれてやるさ」
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