8 / 17
はじまり
-----
しおりを挟むこれで何回目だろうか
最終段階だと言うのに進まないプロジェクト
初めは皆がなんとしてでも終わらせようと手を貸してくれていたが
今では二人だけとなってしまった
確かに自身のためではない誰かの為に作られた世界に喜んでいく者などそうはいないだろう
その者がどんな世界を求めているのかわからないのに、急にいかされても困るというものだ
皆が皆、実験台にはなりたくないのだ
例え、違う世界で新たに生を受けることになろうとも自身のためではないところだと聞かされたら嫌だと人は思うだろう
まず、その為に命をおとした訳ではないのだから当たり前のことなのだが
「……これで、何回目だい?」
「…それは、断られた数の事ですかな?それともここに来た者の頼み事の数ですかな?」
皆が自身の行きたい場所に行きたいと願う
皆が自身に有利になるような特別な力が欲しいと願う
人よりも何千年と生きた僕にはその気持ちがわからない
特別な力とはなんなのか
行きたい場所に行けてどうするのか
まず、それはなんなのかさえわからない
「…どっちもー」
「……ワシが担当をするようになってからじゃと、9061人と4653人かのぅ」
「はぁー。 そっかぁ」
彼は僕よりも若くて新しくこの仕事を任されていた
まあ、要するに皆が嫌がって抜けてしまったため彼がこの役をやることになってしまったのだが
「ワシはまだいいですが、あなた様はいつからこのプロジェクトに参加を…?」
「んー、彼女と会ってこの世界に行きたいって話を聞いた頃から」
「!!?? そんな前からですか!!」
彼は「まだワシが生まれる前じゃないか」とブツブツと独り言を始めてしまった
僕からしたらあっという間だったから別にどうだってよいことだったりする
ここには時間という概念もなければ日にちや年と言うものはない
ここに来る人数で大体これくらいの年数がたったんだろうなぁくらいにしか思っていない
というわけで、もしかしたら何千年という日々をしっかりと過ごしたのかはわかっていないのだ
「僕はここの仕事から移動することが出来ないから仕方ないかな」
味のわからない飲み物を飲む
別に飲む必要などないし、人のように味を感じたいとも思わない
ただ、やってみているだけ
もしかしたら、この世界の手助けになるかもなんて思いながら飲む
「……君はこの世界をどう思う?」
「どう、とは?」
「彼女のためのとか、世界がとか、何故必要なのかとか。」
「ワシは特には…、ただ早く終わって欲しいと願うだけですな」
普通はそうなのかもしれない
僕たちにとっては、誰かの為の世界を作ることが当たり前だと思っているから
「……どうか、この世界の事を大切にしてくれる子が選ばれるように」
僕は小声でそう呟いた
きっと、彼女は気に入るだろう
この世界を
でも、それは彼女が望んだ通りに全てが上手くいくようになっているから
つまり、彼女の為の
彼女だけの
彼女が中心となる世界なのだ
「…世界が可哀想だ」
「? 何か言いましたかな?」
「んーん。 なんでもないよ」
本当はこのまま誰も実験台にならないで終わってほしい
彼女にはこの世界を諦めてほしい
この世界のためにも
我が子のためにも
友のためにも
「………終わらないかな。」
0
あなたにおすすめの小説
落としたのは化粧じゃなく、みんなの心でした
444
BL
『醜い顔…汚らしい』
幼い頃、実母が病気によって早くに亡くなった数年後に新しい義母からそう言われたシリルは、その言葉が耳に残って16歳となった今も引きずっていた。
だが、義母のその言葉は真っ赤な嘘でシリルはとても美しかった。ただ前妻の息子であるシリルに嫉妬した結果こぼした八つ当たりの言葉であったのをシリルは知らずに、義母のいう醜い顔を隠すために化粧をする。
その結果、彼は化粧によって本当に醜い顔になってしまった。そんな彼が虐げられながらも徐々に周囲を絆す話
暴力表現があるところには※をつけております
第2王子は断罪役を放棄します!
木月月
BL
ある日前世の記憶が蘇った主人公。
前世で読んだ、悪役令嬢が主人公の、冤罪断罪からの巻き返し痛快ライフ漫画(アニメ化もされた)。
それの冒頭で主人公の悪役令嬢を断罪する第2王子、それが俺。内容はよくある設定で貴族の子供が通う学園の卒業式後のパーティーにて悪役令嬢を断罪して追放した第2王子と男爵令嬢は身勝手な行いで身分剥奪ののち追放、そのあとは物語に一切現れない、と言うキャラ。
記憶が蘇った今は、物語の主人公の令嬢をはじめ、自分の臣下や婚約者を選定するためのお茶会が始まる前日!5歳児万歳!まだ何も起こらない!フラグはバキバキに折りまくって折りまくって!なんなら5つ上の兄王子の臣下とかも!面倒いから!王弟として大公になるのはいい!だがしかし自由になる!
ここは剣と魔法となんならダンジョンもあって冒険者にもなれる!
スローライフもいい!なんでも選べる!だから俺は!物語の第2王子の役割を放棄します!
この話は小説家になろうにも投稿しています。
異世界転生してひっそり薬草売りをしていたのに、チート能力のせいでみんなから溺愛されてます
ひと息
BL
突然の過労死。そして転生。
休む間もなく働き、あっけなく死んでしまった廉(れん)は、気が付くと神を名乗る男と出会う。
転生するなら?そんなの、のんびりした暮らしに決まってる。
そして転生した先では、廉の思い描いたスローライフが待っていた・・・はずだったのに・・・
知らぬ間にチート能力を授けられ、知らぬ間に噂が広まりみんなから溺愛されてしまって・・・!?
転生したようだけど?流れに身を任せていたら悪役令息?として断罪されていた――分からないまま生きる。
星乃シキ
BL
発作の後に目覚めたら、公爵家嫡男の身体だった。
前世の記憶だけを抱えたまま生きるレイは、ある夜、男の聖女への嫌がらせの罪で断罪される。
だが図書室の記録が冤罪を覆す。
そしてレイは知る。
聖女ディーンの本当の名はアキラ。
同じ日本から来た存在だった。
帰りたい聖女と、この身体で生きるレイ。
秘密を共有した二人は、友達になる。
人との関わりを避けてきたレイの人間関係が、少しずつ動き始める。
拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件
碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。
状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。
「これ…俺、なのか?」
何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。
《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》
────────────
~お知らせ~
※第3話を少し修正しました。
※第5話を少し修正しました。
※第6話を少し修正しました。
※第11話を少し修正しました。
※第19話を少し修正しました。
※第22話を少し修正しました。
※第24話を少し修正しました。
※第25話を少し修正しました。
※第26話を少し修正しました。
※第31話を少し修正しました。
※第32話を少し修正しました。
────────────
※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!!
※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。
虚ろな檻と翡翠の魔石
篠雨
BL
「本来の寿命まで、悪役の身体に入ってやり過ごしてよ」
不慮の事故で死んだ僕は、いい加減な神様の身勝手な都合により、異世界の悪役・レリルの器へ転生させられてしまう。
待っていたのは、一生を塔で過ごし、魔力を搾取され続ける孤独な日々。だが、僕を管理する強面の辺境伯・ヨハンが運んでくる薪や食事、そして不器用な優しさが、凍てついた僕の心を次第に溶かしていく。
しかし、穏やかな時間は長くは続かない。魔力を捧げるたびに脳内に流れ込む本物のレリルの記憶と領地を襲う未曾有の魔物の群れ。
「僕が、この場所と彼を守る方法はこれしかない」
記憶に翻弄され頭は混乱する中、魔石化するという残酷な決断を下そうとするが――。
囚われた元王は逃げ出せない
スノウ
BL
異世界からひょっこり召喚されてまさか国王!?でも人柄が良く周りに助けられながら10年もの間、国王に準じていた
そうあの日までは
忠誠を誓ったはずの仲間に王位を剥奪され次々と手篭めに
なんで俺にこんな事を
「国王でないならもう俺のものだ」
「僕をあなたの側にずっといさせて」
「君のいない人生は生きられない」
「私の国の王妃にならないか」
いやいや、みんな何いってんの?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる