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私の父です
しおりを挟む私の父さんの名前はグランピー、おこりんぼとも呼ばれているわ
別に怒りたくって怒っているわけではないのよ
ただ、顔面が怖いだけよ
話し方や表情が怒っているように見えるだけ
何時も何処でも怒っているわけではない
…初めて見る方やなれてない方はそう見えるかもだけど、とっても優しい誇りの父さんよ
乙女ゲームの世界では赤い短髪でつり目、7人の守り人の中では一番関わりたくない人と見た目で呼ばれていた
ま、それが良いって言う人には受けてたわね
実際にプレイした人からするとめっちゃ面倒見のいい人、ギャップ萌え、7人の守り人での役割は父親とか言われてたわ
実際に良い父さんよ
今では私と言う子供がいる37歳オールバック強面で何時も不機嫌なのでは?と言われてたりするイケメンのおじ様
…私も良く顔が怖いとか怒っているかと聞かれるので人の事は言えないのよね
私は彫りが素敵な扉の前で止まる
その扉は私の父さんの仕事部屋の書斎につながっている
何時ものように3回扉をノックするけど中から返事はなく
こういう時は大体、話し合いをしている
私は特に気にすることなく扉を開け、中へと入る
昔からこういう時は早めにはいるべきであると学んでいるから
「父さん、ノックしても返事がなかったので勝手に入らせていただきました。」
そう言い切ってから一礼する
こういう時は、カーテシーをするべきなのだけども私はやりませんよ
淑女とかもっと優雅にとかいう人もいますが、私は私らしくいたいと考えてるし
なんか、似合わないし違うのよね
「…ルベライトか」
「っ、ルベライト様」
「父さん、眉間にシワがよっているうえに目付きが怖いですよ」
普段でも怒っているかと聞かれるくらいの強面だというのに
部下にそんな顔をしては怖がられてしまうだけですわ
「全く、父さんは… 睨みあってないでとっとと言いたいこと言えば良いじゃない」
「…そうだ、な」
どうやら、部下から何か聞こうとしていたようだが無理だろう
父さんは咳払いをして、部下の人をみる
部下は蛇に睨まれた蛙かのように動かず、顔を青くしていた
何故、そこまで怖がる必要があるのかしら
怒られるようなことをしたとしたら此処には呼ばれない
父さんの右腕にこれでもかってくらいに怒られてるわ あの人の方が父さんよりも何倍も怖いわよ
赤の門にては絶対に怒らせてはいけない人と呼ばれてるくらいなのだから
「別にお前がやった失敗について叱ろうとしているわけではない、今後はこのようなことをせぬように気を付けろ それと、此れからも精進しろ」
「は、はい! グランピー様!」
「以上だ」
「失礼しました!!」
嬉しそうに緊張しつつ返事をし、逃げるかのようにすぐに部屋から出ていく
怒られたわけでは無いのだからそんなに急ぎ出なくても良いだろうと私は横目で見てた
「新人の方ですね」
見慣れない顔で、私のことを様付けで呼ぶと言うことはそれ以外いないだろう
「そうだ。 ルベライト、何か用か」
先程よりは眉間のシワがましになったが
相変わらずの不機嫌そうな話し方に睨んでいるような目
真っ赤な髪をオールバックというところも怖さを追加しているようだ
「今日もとても素敵ですよ」
「…、それを言いに来たのか?」
目を開いて少し困ったような表情になった
私はけっこう父さんの困った顔って好きなのよね
レアってこともあるけど、本当に気を許してくれているとわかるから
こうやって色んな顔を見せれば良いのにと思うけど口にはしない
私に対しても言えることでもあるから
「いえ、笑っていただきたいと思って言っただけですよ」
「そ、そうか。」
ちょっとからかったの悪かったかな?
少し肩の力が抜けたように見えるしまぁ、許してもらえるでしょう
と、そろそろ聞かないとね
「何か用事があって私を呼んだのでは?」
「……」
せっかく、直したのにまた父さんの眉間のシワが深くなった
その表情で何の用事なのか私はわかるわよ?
「他の守り人の所に今回の鉱山利益や加工についての話し合いに行くようにとか?」
父さん、素敵なお顔がまた怖くなっているわ
でも、やらねばならないことだから呼んだのですよね
「………あぁ 俺は行かせたくない」
「ふふ、嬉しいです でも、父さんには父さんの仕事があるでしょ? 私が行ってきますから晩御飯までには終わらせて下さいね?」
「善処する」
「…あら、そこは御意とか了承の言葉が欲しいわ」
父さんは呆れつつも口角を少しあげた
「了解した 気を付けていくように」
やはり私の父さんはとても素敵な人だ
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