断罪されたが骸の嫁になりました

灯月

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よん

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別に人形である必要はないと思うが

「形にこだわっているわけではない。 この時代にはそれしかなかったのだ」
「…その体、もうもたないとか?」
「質問が多い令嬢だ。 別にもたないわけではない。 そこにある使えるものを使って何が悪い」

見た目にこだわりがないと言うことだろう
今は骸の姿だが昔は人や獣だったりしたのかもしれない

「話を戻すぞ」
「あ、はい」
「貴様は令嬢ではないのだろう 昨晩の会話で解ったが」

昨晩というのは私が牢屋に居たときのことだろう

「…はい、この世界ではないところから来ました」
「そうか、いつその体からでる」

レイヴァンが欲しいのはこの体のみだ
私がいるのが邪魔なのだろう

「わかりません。 …でたら私は死ぬのでしょうか?」
「消える」
「消える…」

体は残るから魂だけが消える
死ぬという表現はこの世界、いやここでは違うらしい
アンデットがいるここでは死ぬということはない
体から魂が消えて抜け殻のようになったものを利用してアンデットをつくる
燃やされれば死ぬということもあるらしいが死を恐れないそうだ

…この体はレイヴァンとの契約によりこのままの姿から変わることはないらしい
腐ったりしたらすぐに新しいものと変えないといけないからだそうだ
魔法というものはすごいと言って良いのか恐いものだと言って良いのかわからない

「…貴様は変わった世界で生きてきたのだな」
「え?」
「この世界の人間どもは我のようなアンデット、魔物を毛嫌いしており 特に己達は優れているという信者ともなると面倒だ」

始めてみたときは確かに骸が喋ったり動いたりしている事は気味が悪く怖かったが
あそこにいた人間の誰よりもレイヴァンの方が良いと思ったのだ

前の記憶の世界では悪役や魔王、魔族といったダークヒーローが流行っていた
私もそういうダークヒーローものが好きで
とあるゲームに急に参加して殺人鬼から逃げるというものではその殺人鬼たちが気に入っていた
人を殺めるという行為は良いものとは言えないんだけど
殺人鬼たちには彼らなりのルールがありそれを信じ、守っていた

「……もしも、私も彼らのように嫌がってたらどうしたの?」
「その体は契約で我のものだ、嫌がったとしても無駄だな」

抗うことはできないということだろう

「…さて、令嬢のなかにいる貴様の呼び名を考えなくてはだな」

今さら気づいたのだが
飲んでいる紅茶はどこに消えているのだろうか
骸なのだから飲み物が溜められるところがないはずだが

「…キャロット「却下です。」」

まさかのネーミングセンスに驚きである
先程まで考えていた疑問などどうでもよくなったわ

「前の名が入っていた方が良いだろう。 それと我のものだとわかるようにだな…」
「……でしたら、シャルクスのほうがいいです」

シャルトとオルクスをつなげただけたけど

「悪くはないな では、シャルクス」
「…はい?」
「貴様がいなくなるまでは許すが、体は我のものだ大切にしろ」

嫁にいうのならば違うだろうが
私に向けての言葉ならばその通りだろう

「ええ、その時がくるまで大切にします」

この体は借り物だ
そう、私の体だけど私のものではない
いつくるかわからないけど、それまでは骸、レイヴァンの嫁としてここにいるのだ
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