断罪されたが骸の嫁になりました

灯月

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はち

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そんな困っているときに声をかけられた

「ヴィンテッド様? シャルクスさん困ってますヨ?」

声のした方を向くと浮いたYシャツに白いズボン、金と赤の刺繍が入った紺色のエプロンに浮いている籠があった
それだけで相手が誰なのかがわかる

「…ルーセント、」
「こんにちは、ルーセントさん」
「はイ、こんにちわ」

ここの料理人は必ずエプロンをしており、みなそれぞれ色が違う
そのなかでも料理長のルーセントさんのエプロンは美しい花の刺繍が縫われており、すぐにわかる

しゃべり方も独特なのでわからなくもないが
料理人たちはレイス(亡霊)なのでほぼ見えないし、喋りがあまり上手ではないため
エプロンで判断した方が正しい

「?」

ルーセントさんの持っている籠からは甘い香りがする
私はなんだろうと見つめているとそれに気づいたルーセントさんは籠の上にかかっていた布を退かす

「今日のおやつですヨ」

クッキーが小袋に分けられたものがたくさん入っていた

「これハ、ちみっ子達ノ シャルクスさんのは後で持って行きますネ」

表情はわからないけど
声や言葉で楽しそうに話していることがわかり
私は微笑んで楽しみにしていると返事をする

「ヴィンテッド様も欲しいのでしたラ、邪魔は良くないですヨ?」
「…………月が欠けるときに持ってこい」

ヴィンテッドさんはそう言うと消えた
今日はルーセントさんに助けてもらったらしい

「ルーセントさん、助けていただきありがとうございます」
「いえいエ。 お菓子を作れるようになったのハ、シャルクスさんのお陰ですシ」

一礼をしたあとルーセントさんは院の方へ行った

このお城には院と呼ばれている、子供たちが通う学校のような施設がある
教会のような歌を歌ったり、聖書のようなものを覚えるところかと思っていたが、そうではなく
普通に歴史や言葉、簡単な勉強を習うというところだった

ルーセントさんは子供たちが好きで
私が来てからは毎日お菓子を差し入れしにいっている

何故、私が来てからかなのは
私が作り方を教えたというのもあるが、
ルーセントさんに人の食べているものを使い、食べられるものを作って良いと許可が出たからだ

「もう、こんな時間…」

月が欠けようとしている
もうすぐ夜が来るということだ

「…今日は月が満ちている時が短い日なのね」

私はもう誰もいない廊下を歩きだした
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