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3 まだまだ続くよ! 試練その3
まだまだ続くよ! 試練その3 6
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美香センパイはカプセルを両手で受け取ると、クルリと振り返った。そのまま走って、大きく手を振りかぶると――
カプセルを投げた!!
「うわあっ! 美香、なにをやっているんだ!」
生徒会長が叫ぶ。
カプセルは遠くまで飛んで、大きな弧を描いて……。
そして、花壇近くの池にポチャリと落ちた。
「取りに行かなきゃ」
「兄さん、もういいでしょ」
美香センパイは走り出そうとしていた生徒会長の腕をギュッと抱きしめた。
「えっ、美香、どうしたんだ。いつもぼくを避けるのに」
生徒会長は真っ赤になって、ドギマギとしている。
生徒会長、美香センパイに避けられてるのか。カワイソウ……。
「過去のメッセージなんて、どうでもいいわよね。過去より、今の私たちのほうが大事でしょ」
「それはもちろんだが。あの、なついてくれて、かわいかったころの美香がなにを書いているのか、知りたいじゃないか」
「今の私はかわいくないの?」
「いや、かわいい! チョーゼツかわいい! 目に入れても痛くないくらいかわいい!」
生徒会長がまくし立てた。
なるほど、これがシスコンというものか。
わたしはミョーに納得した。
「今日の夕食は、私が兄さんの好きなものを作るから、一緒に帰りましょ」
「美香がぼくのために、手料理をふるまってくれるのか?」
生徒会長は手が震えるほど感動している。
「兄さんの楽しみをひとつ奪っちゃったから、お詫びにね」
「美香、ぼくはうれしい!」
「きゃっ、兄さん、くっつぎすぎ!」
いろいろと生徒会長を言いくるめているようすの美香センパイは、顔だけこちらに向けると、苦笑しながら手を振った。そのまま校舎に消えていく。
仲がいいのか悪いのか、よくわからない兄妹だなあ。
「それにしても、カプセルの中、見たかったなあ」
わたしがぼやくと、
「うん。今からでも遅くないだろう。カプセルを回収しよう」
と、大地センパイはニヤリとしながら言った、。
「でも、池の中に入っちゃいましたよ」
「水溶性のペンで書かれていたら、にじんでいるかもしれないね。それでも、まだ読めるかもしれないだろ。行こう」
「はい!」
大地センパイはノリノリですな!
隼人は「やれやれ」って顔をしている。ノリが悪いですな!
わたしと隼人と大地センパイは、カプセルの落ちた池に向かった。
部室の広さくらいはある立派は池には、大きな鯉がひらひらと泳いでいた。コケのせいなのか水がちょっと緑色になっているけど、カプセルが沈んでいる場所はすぐにわかった。
「おれが取ります」
隼人がスコップを持って池のふちの石に片足をのせると、大地センパイがとめた。
「けっこう奥にあるから、オレがやるよ。あぶないからね」
大地センパイはほほ笑んだ。
隼人は華奢なので、こうして大地センパイと並ぶと、大地センパイのたくましさが際立った。もう高校生にしか見えないなあ。
大地センパイは鯉にスコップが当たらないように、慎重にカプセルをすくいとった。
「おみごとです!」
わたしは手をたたいた。
「なにが入ってるんだろう。思ったより重いよ。美香がこんなに重いものを、ここまで投げられると思わないんだけどな」
「おれが開けます」
隼人はスコップの上のカプセルを持ち上げた。
カプセルを投げた!!
「うわあっ! 美香、なにをやっているんだ!」
生徒会長が叫ぶ。
カプセルは遠くまで飛んで、大きな弧を描いて……。
そして、花壇近くの池にポチャリと落ちた。
「取りに行かなきゃ」
「兄さん、もういいでしょ」
美香センパイは走り出そうとしていた生徒会長の腕をギュッと抱きしめた。
「えっ、美香、どうしたんだ。いつもぼくを避けるのに」
生徒会長は真っ赤になって、ドギマギとしている。
生徒会長、美香センパイに避けられてるのか。カワイソウ……。
「過去のメッセージなんて、どうでもいいわよね。過去より、今の私たちのほうが大事でしょ」
「それはもちろんだが。あの、なついてくれて、かわいかったころの美香がなにを書いているのか、知りたいじゃないか」
「今の私はかわいくないの?」
「いや、かわいい! チョーゼツかわいい! 目に入れても痛くないくらいかわいい!」
生徒会長がまくし立てた。
なるほど、これがシスコンというものか。
わたしはミョーに納得した。
「今日の夕食は、私が兄さんの好きなものを作るから、一緒に帰りましょ」
「美香がぼくのために、手料理をふるまってくれるのか?」
生徒会長は手が震えるほど感動している。
「兄さんの楽しみをひとつ奪っちゃったから、お詫びにね」
「美香、ぼくはうれしい!」
「きゃっ、兄さん、くっつぎすぎ!」
いろいろと生徒会長を言いくるめているようすの美香センパイは、顔だけこちらに向けると、苦笑しながら手を振った。そのまま校舎に消えていく。
仲がいいのか悪いのか、よくわからない兄妹だなあ。
「それにしても、カプセルの中、見たかったなあ」
わたしがぼやくと、
「うん。今からでも遅くないだろう。カプセルを回収しよう」
と、大地センパイはニヤリとしながら言った、。
「でも、池の中に入っちゃいましたよ」
「水溶性のペンで書かれていたら、にじんでいるかもしれないね。それでも、まだ読めるかもしれないだろ。行こう」
「はい!」
大地センパイはノリノリですな!
隼人は「やれやれ」って顔をしている。ノリが悪いですな!
わたしと隼人と大地センパイは、カプセルの落ちた池に向かった。
部室の広さくらいはある立派は池には、大きな鯉がひらひらと泳いでいた。コケのせいなのか水がちょっと緑色になっているけど、カプセルが沈んでいる場所はすぐにわかった。
「おれが取ります」
隼人がスコップを持って池のふちの石に片足をのせると、大地センパイがとめた。
「けっこう奥にあるから、オレがやるよ。あぶないからね」
大地センパイはほほ笑んだ。
隼人は華奢なので、こうして大地センパイと並ぶと、大地センパイのたくましさが際立った。もう高校生にしか見えないなあ。
大地センパイは鯉にスコップが当たらないように、慎重にカプセルをすくいとった。
「おみごとです!」
わたしは手をたたいた。
「なにが入ってるんだろう。思ったより重いよ。美香がこんなに重いものを、ここまで投げられると思わないんだけどな」
「おれが開けます」
隼人はスコップの上のカプセルを持ち上げた。
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