異世界行ったらステータス最弱の上にジョブが謎過ぎたからスローライフ隠居してたはずなのに、気づいたらヤバいことになってた

カホ

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第1章 レッツスローライフ

ぼっちの異世界転移 (2)

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「ちょっと待てや!」

というような流れがあり、先ほどの冒頭の場面に戻る。

落ち着けとか自分に念じても全然落着けない。いやいやいや、ここどこよ。待って待って、さっきイセカイゴッドと名乗ったあの声は、転移先に王様がいるって言ったよね?

「王様どころかクラスメイトもいないんだけどーーー!!!」

どう頑張ってみても森にしか見えないだだっ広い森に一人。周りには人一人いない。どころか動物すら見えないという。嘘でしょ!?何、転移失敗なの?失敗なの??なんで私だけ!?いや、もしかしたら木々の王様に会うってことがあるのかも?ここは森の王国で、この辺には千年寿樹とかそういうお偉い木さんが(私は混乱している)

…って、ンなわけないでしょうが!

「どうなってんのーー!!」

全力で叫びましたよ!文句あります!?こんなわけのわからない状況に放り込まれたら叫びたくもなるわ。

しかし叫んでみたところで、私の声はむなしく森に吸い込まれていくだけだった。

「………とりあえず動こう」

この場で叫んでたってなんの解決にもならない。しょうがないから私は森をさまよってみることにした。


◇ ◇ ◇

「足、痛い………」

もうかれこれ2時間ぐらい森をさまよってるんじゃないだろうか。そろそろ限界が来ちゃうよ?いろんな意味で!足とか腰とか肩が重いとか膝が笑ってるとかetc。2時間で一気に老け込みましたわい。見た目は女子高生なのに、中身はもうよぼよぼのおばあちゃんの気分です、いやマジで。

第一、運動能力が超絶に低い女子高生に2時間も森を歩かせるのは酷だよ。何とかなりませんか?

……ならんだろうね!なってたら、私は今こんなとこをさまよってねえっつーの。

「お腹も空いてきた……」

昼に、先生の目をかいくぐって学校を抜け出して、コンビニで買ったサンドイッチ2個だけでここまで頑張れてる私を褒めてやりたい。くっそぅ…昼の購買のパンが売り切れてたのがいけないんだよ(責任転嫁)。

「何か食べられそうなものってないのかな……」

派手に鳴っているおなかをごまかすようにあたりを見渡してみるが、見事に何もない。相変わらず森しかなくて、キノコのキの字も見えない。どころか食べられそうな雑草も見当たらない。だってみんな『俺は食べてはいけないぜ、へっへ~』みたいな感じの毒々しい緑色なんだもん。

「異世界に転移してきて早々、餓死か……」

……。

「嫌すぎるんですけどーー!!」

嫌だよ!?こんなところで人生終わらせたくないよ!?18年目で終わる人生とか悲しすぎるでしょ!!

私がその場で一人ギャーギャーやってのた打ち回っていると、突然近くの茂みがガサガサと動いた。

「!?」

何事かと思い、私は急いで茂みの方向に視線を向けた。

「ガルルルルルル……」
「……OH……」

後悔した。水酸化物ではない。断じて狙ってなどいない!

私の目の前に巨大な虎がいました。もう一度言おう、巨大な・・・トラである。

「虎デカすぎませんか!?」

目の前で唸ってる虎を見て、私はツッコむ。6mくらいはあるじゃん、この虎!?しかも何あのサーベルみたいに巨大な牙!!異世界の生態どうなってんの?何を食べたらこんな巨大化するんだ!?動物園の檻にすら入らないぞ!

しかもこの展開、もしかしなくても………。

「ガルアアアアアアッ!」
「ですよねーー!?」

虎がとびかかってきた。やっぱそう来るよね!!そういう絵面だったもんね!!なんかこう『餌っぽい何かミッケー!』みたいな目をしてたもん、あいつ!

私は反射的に思いっきり横にゴロゴロと転がり、何とか襲いかかってきた虎の攻撃を避ける事に成功した。

「怖っ!?マジで怖いんですけど!?」

何この世界!?超怖い!!やだ、帰りたい!!地球ではモ○ハンにはまってたけど、リアルでやられるのは御免こうむりたい!しかも私が狩るんじゃなくて、私が狩られようとしてるんだからなおさら!

「ガルルル……」

虎と私は、2歩ぐらいの距離を挟んで睨み合った。

いや、私は別に睨んでないけどね!?

なんでご飯を求めてたら私が餌にされそうになってるの!?ちょっと誰か助けてーーー!!!

するとそんな私の願いが届いたのか、今度は逆の茂みからガサガサという音が聞こえた。だが、なぜだろう?果てしなく嫌な予感しかしないんですけど……?

そそーー……。

「ガルルルルルル……」
「グルルルルル……」
「……OH……」

見なきゃよかった。悪い予感的中。

本日二度目の『水酸化物イオン』です。わざととか言うな!私も必死なんだ!

「酷くない!?」

まさかの二匹目と三匹目登場。累計3匹の虎がらんらんと目を輝かせていまっす。もちろんロックオンされてる獲物はわ・た・し。

嘘でしょ!?どうしろってのよ何この状況!!武器もないし装備もないし回復できるもの、食べ物もいまだにない。ハンターを操作したことならあるけど自分で狩りなんてできるわけもない。しょっぱなから詰みまくりなんだけど!!

終わってるよ!!もうこれ確実に終わってるよ!!

「ガウガアッ!」
「グルルル……ガオッ!」

しかし私が死を覚悟しているというのに、なぜか同じ虎×3が争い始めた。

「ガウガウガアッ!」
「グルアアアアアッ!」

………。

よく見てみると、3匹の虎の背中の毛の逆立ち方が違う。もしかして、虎にも派閥がある…?(絶対違う)派閥同士で権力の高めあいをするため、餌を奪い合ってるとか?(主人公は現実逃避をしている)

「……とりあえず今のうちに逃げよ」

せっかく派閥争う意をしててくれてるんだから、考える前に足を動かしてしまえ。むしろ今しか逃げるチャンスはない!!虎同士で争っている隙に、私はその場からそっと移動した。人生、何事も逃げって大事だよ。

かっこ良く言ってみたかっただけだよ!文句ありますか!?
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