幕末☆妖狐戦争 ~九尾の能力がはた迷惑な件について~

カホ

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元治元年

なんか不穏分子がうろつき始めた(参)

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 朝食の時に、入山の里の追っ手と思われる人間たちがこの付近をうろついているとの知らせを受け、私たちはその不審者の正体を確かめることになった。

 部屋に戻ったあと、私たちは早速行動を開始する。ほむろが窓辺に張り付き、道ゆく人々をチェックするのだ。

私は五感が皆無だからまるっきり戦力外ですが。

 昼間は何も起こらなかった。おそらく多くの患者が診療所を訪れていたから、気づかれることを警戒したのか、あるいは街の人には疑われたくないのだろう。

 今日はお涼さんも来ていない。多分先生の方から来るのを控えさせたんだろう。

 もしお涼さんがここに来れば、この家を監視しているのだろう何者かに変な勘ぐりをされるかもしれないからだ。

(不審人物もバカじゃないのね。ちゃんと状況をよく見てるわ)
『そうじゃのう。入山の里の者は皆、地頭が良いのじゃ。こちらとしてはもう少しバカでいてくれた方がよかったのじゃが』
(まだ里人だって決まったわけじゃないけど)
『お主、入山の里の者以外に犯人がいると思っておるのか?』
(思ってない)

 私も今日は薬の調合を行わず、何個かの妖術を使って荷物を風呂敷にまとめていた。

 人間には妖力を感じることができないから、妖術を使ってもバレる心配がないのが救いだ。

 移転の術を使って必要なものを風呂敷の上に置き、操りの術を使って風呂敷を結ぶ。

 幸い調薬用の材料や道具以外はたいした荷物もないから準備も早いし、場所もかさばらない。

 持って行くものは、薬草、手製の薬、給金、着替え。大きめの風呂敷に入れれば全て収まったらしい。ほむろが確認してくれたから問題ないだろう。

 食料の類は、私は九尾の狐の能力で"飲まず食わずでも倒れないし、喉も乾かない、腹も空かない"という体質を持っているから必要もない。




 午後も結局何も起こらず、診療所は営業終了時間を迎えた。

『っ!!』
(ほむろ、来たの?)
『うむ。あからさまに怪しい布をかぶった人間が4人、診療所の周りをうろついておる』
(私は窓辺に行かない方がいいよね?)
『そうじゃな。バレてしまったは仕方ないからな』
(そうね。じゃあ部屋の隅でおとなしくしてるわ)

 ほむろが窓辺に向かう気配を感じた。私は窓から一番距離があると思われる場所でおとなしく座っている。

(彼ら、里の人?)
『間違いないじゃろうな。奴らがかぶっている布に刺繍されている紋章、あれは入山の里でしか存在せぬものだ。奴らは正真正銘、妾たちを追いかけてきた、入山の里の追っ手じゃ』
(……………)
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