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元治元年
ごたいめ~ん(壱)
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あの不思議な出会いから半月。
ついに、この日がやってきました。
「我ら新選組は、これより会津藩の命を受け、御所に討ち入ろうとする長州勢を制圧するため、出陣する!」
「「「「うおおおおお!!!!」」」」
大広間に集まった隊士たちが、近藤さんの号令一つで大いにやる気を出している。ああ、うるさい。鼓膜が破れるかと思った。
まあ、はじめての晴れ舞台だもんね。テンション上がるのもわかるよ。
(こうやってみるとさ、男所帯って暑苦しいよね)
意気揚々と出陣する新選組の面々を屯所入り口で見送りながら、私は思った。
『4ヶ月以上居候しておいて、何を今更言うんじゃ』
(ですねぇ~)
「よう、雫ちゃん。見送りしてくれるのか?」
そこへ、いつもよりさらに元気いっぱいの永倉さんが登場。今日も相変わらずいい筋肉ですね。
笑って頷く。どうせ留守番だし、せっかくだから見送りぐらいしようと思ったのでね。
「留守の間、屯所のことは頼むぜ。特に、平助の奴が駄々をこねないよう、見張っといてくれ」
………ははは。確かに平助君、屯所待機って言われた時すっごい嫌そうな顔してたもんね。
再度頷く。ファイト!という意味を込めて親指を立ててみた。
「なんだ?新手の手話か?」
うまく伝わらなかった。
みんながみんな出払ったあとの屯所はとても静かだった。
ま、当然ですよね。今屯所にいるのは数える程の隊士しかいないもんね。
あ、あと怪我してる平助君と、お目付役の山南が残ってる。
(わーー。すっごい静かー)
『皆出陣したのだから仕方が無い』
庭で大きく背伸びをしながら、私とほむろはそんな会話をかわす。7月真っ盛りで外は暑いが、今日の庭は風が吹いている。
(出陣したみんなは今どの辺にいるのかな?)
『蛤御門には着いているのではないか?』
今日の空はよく晴れている。ここんとこ曇りが多かったから、久々に青空を見れて気分爽快だ。
突如、何かの気配を感じた。
屯所の中からではない。外だ。何人かの人間が、壁の向こうをうろついている。屯所襲撃を狙っている浪士ではないだろう。
この気配には、覚えがある。大坂を出たばかりの頃、一度だけ感じた。街道を歩いていた時、街道の両脇を挟むようにしてこの気配たちはあったのだ。それが追っ手の気配だと気づいたから、私たちは街道を外れて歩くことにした。
(ねえ、ほむろ)
『む?』
(目的の相手の滞在先が手薄な時、ほむろならどうする?)
『…………何かあったか?』
(もし、私が入山の追っ手で、ここに探している人物がいると知っていたら)
私は庭を囲っている壁を見上げた。
(こういう時を狙うよ)
私がそう告げた直後、人通りが少ない通りに面した壁から5人の人間が躍り出た。
全員、入山の里の紋章が入った羽織を着ていた。
ついに、この日がやってきました。
「我ら新選組は、これより会津藩の命を受け、御所に討ち入ろうとする長州勢を制圧するため、出陣する!」
「「「「うおおおおお!!!!」」」」
大広間に集まった隊士たちが、近藤さんの号令一つで大いにやる気を出している。ああ、うるさい。鼓膜が破れるかと思った。
まあ、はじめての晴れ舞台だもんね。テンション上がるのもわかるよ。
(こうやってみるとさ、男所帯って暑苦しいよね)
意気揚々と出陣する新選組の面々を屯所入り口で見送りながら、私は思った。
『4ヶ月以上居候しておいて、何を今更言うんじゃ』
(ですねぇ~)
「よう、雫ちゃん。見送りしてくれるのか?」
そこへ、いつもよりさらに元気いっぱいの永倉さんが登場。今日も相変わらずいい筋肉ですね。
笑って頷く。どうせ留守番だし、せっかくだから見送りぐらいしようと思ったのでね。
「留守の間、屯所のことは頼むぜ。特に、平助の奴が駄々をこねないよう、見張っといてくれ」
………ははは。確かに平助君、屯所待機って言われた時すっごい嫌そうな顔してたもんね。
再度頷く。ファイト!という意味を込めて親指を立ててみた。
「なんだ?新手の手話か?」
うまく伝わらなかった。
みんながみんな出払ったあとの屯所はとても静かだった。
ま、当然ですよね。今屯所にいるのは数える程の隊士しかいないもんね。
あ、あと怪我してる平助君と、お目付役の山南が残ってる。
(わーー。すっごい静かー)
『皆出陣したのだから仕方が無い』
庭で大きく背伸びをしながら、私とほむろはそんな会話をかわす。7月真っ盛りで外は暑いが、今日の庭は風が吹いている。
(出陣したみんなは今どの辺にいるのかな?)
『蛤御門には着いているのではないか?』
今日の空はよく晴れている。ここんとこ曇りが多かったから、久々に青空を見れて気分爽快だ。
突如、何かの気配を感じた。
屯所の中からではない。外だ。何人かの人間が、壁の向こうをうろついている。屯所襲撃を狙っている浪士ではないだろう。
この気配には、覚えがある。大坂を出たばかりの頃、一度だけ感じた。街道を歩いていた時、街道の両脇を挟むようにしてこの気配たちはあったのだ。それが追っ手の気配だと気づいたから、私たちは街道を外れて歩くことにした。
(ねえ、ほむろ)
『む?』
(目的の相手の滞在先が手薄な時、ほむろならどうする?)
『…………何かあったか?』
(もし、私が入山の追っ手で、ここに探している人物がいると知っていたら)
私は庭を囲っている壁を見上げた。
(こういう時を狙うよ)
私がそう告げた直後、人通りが少ない通りに面した壁から5人の人間が躍り出た。
全員、入山の里の紋章が入った羽織を着ていた。
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