別にこれはいつも通りで

松葉 楓

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本編

1年生 秋 第5話

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今日の会議の内容は、夏休みまでの利用者の報告と図書委員会でも文化祭で何かイベントをやろうと言う話だった。

そして、栞の販売とジャンル毎に本の紹介。それと文化祭の1ヶ月前からは文化祭にまつわる本を図書室で紹介しようということに決まった。
一応は決まったが、ただ他にも案があれば次の会議の時に出して欲しいとのことだった。

「…夏休み明けたら一気に周りで文化祭の話多くなったよね」

「今年は楽しめるかな、文化祭…」

「中学の時文化祭楽しくなかったって言ってたもんね」

「そうそう、ぜーんぜん楽しくなかった」

「まあ、僕もというか…お互いクラスの催し物が忙しくて一緒にまわれなかったけど」

「そうそう、一緒にまわろうとか言ってたけど凄い忙しかった」

実際クラスの催し物だけでとても忙しく、ほとんど楽しめなかった。

「でも、その分高校で楽しめばいいじゃん」

「まあ、そうなんだけどさ、まだクラスにも馴染めてないし…図書委員会で催し物するのも初めてだし…」

そうなんだけど…
私は、はあとため息をついた。これで今日何回目だろう。
図書委員会の催し物という話が出て少し期待も芽生えた。
だが、素直に楽しみたいという気持ちと、不安な気持ちがまだ入り混じっていた。

「今から弱気になってどうするんだよ」

「まあ、そうだけど…」

今も私は2組、彼は4組とクラスが違うが、実は彼とはまだ1度も同じクラスになったことがなかった。
そして元々、人とつるむのが苦手で中学でもクラスに馴染めていなかった。
それに、さっき言ったようにクラスの催し物だけでとても忙しかったということもある。
だが、文化祭が苦手な理由はそれだけではない。
中学の文化祭でクラスの催し物があったのだが、その当時のクラスで、文化祭の準備期間中に女子のクラスメイト数人と揉めてしまい、結局文化祭が終わるまで続いてしまった…それがきっかけで、クラスに馴染めないままその年にあった修学旅行に行き、そして卒業式を迎えた…
という思い出がある。でも。
でも、今年は楽しめるかな。
いやでも、まだクラスに馴染めていない私。
やっぱり不安だ。

「今年は文化祭一緒に催し物出来るんだし」

「まあ、確かに…」

「楽しめるように、協力するって。
僕が楽しませてあげるから。」

「えっ…」

……えっ、あれ…?えっ…⁈

「えっ?あっ、えっ…と、いや別に深い意味は…」

なんだろうこれは。この感じ…

「…ふふっ」

「えっ…なっ」

「ありがとう」

「っ…ああ、どうも」

気づいたら私は自然と笑っていた。
楽しませてあげる。彼はそう言った。
その時の横顔はとても穏やかで。
私はその横顔をみて不思議と不安が和らいだ。

「期待してるね」

「…頑張るよ」

中学の時は、クラスメイトと揉めたままで。更にクラスの催し物が忙しく教室から一歩も出られない。って状況だったけど…
そうだ、今年は図書委員としても文化祭に携わる。それに彼と同じ催し物をする。そして大好きな本を紹介できる。
それだけで、私は充分ではないか。

その楽しませてあげるって言葉…少し信じてもいいかな。
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