別にこれはいつも通りで

松葉 楓

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本編

1年生 秋 第8話

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いつものように駅前のお店で夜ご飯を食べる。
2人とも両親の帰りが遅いので、中学3年の頃から一緒に夜ご飯を食べて帰るのが習慣になっていた。

「学校が田舎な割には駅前だけは栄えてるんだよな」

「駅の周りだけね」

「3分歩いたらもう田舎だよ」

「確かに、ふふっ…あ、そういえば、私も行きたいところあるんだけど後でついて来てくれる?」

「…ああ、もちろん」

「そうだ。最後に甘い物食べて良い?」

「…いいけど」

「あ、これは自分で払うから大丈夫」

「そう?じゃあ…僕も食べようかな」

本当は色々と買いたい物があるけれど、今からは流石に遅くなってしまうのでまた今度にしよう。


その後、甘味も無事に食べ終え、店を出てそれぞれの目的の場所へと足を向けた。

「よし、じゃあまずは僕の行きたいところついてきて」

「うん、分かった!」

駅に隣接しているまあ、大きくも小さくもないショッピングモールの2階の角。
そこに目的の場所はあった。のだが。

「……ってなんとなく、そんな気はしてたけど」

「もしかして愛川のついて来て欲しいって言ってたところもここだったりする?」

「…だったりする」

「あー、なんとなく僕もそんな気はしてた」

「なんだ、ふ…ふふっ」

「…ははっ」

お互い目的の場所はこの書店だったらしい。
前も同じような事があったけど、前は古本屋だったな。
やはり、本好きな人の考えることは同じらしいと思うとなんだか面白くて自然と笑みがこぼれた。

「こないだ読んでた本の最新巻が発売されたんだよ、今日」

「そうなの⁈私も好きな小説の続編が出たって最近発表されたから買いに来た」

「それって、こないだ言ってた探偵物のやつ?」

「そうそれ!その推理小説の続編だよ」

「僕もこないだ愛川に教えて貰ってから読んだんだけど、なんか真面目なのに面白いよね」

「そうそう、なんか真面目なのに面白いんだよね」

新刊の小説は学校の図書室では読めないからこそ、こういう期待や楽しみがあったりする。
最近の小説とかは、図書室に宣伝も兼ねて置いたりすることもあるけど、発売されてすぐに読むことができるのは書店に置かれている本ならではのことだ。

「あった!」

「…凄い特集されてる」

「それだけ人気ってことね」

「よし、僕も買おう。…あ、僕の探してた本もあった」

「あ、それ、確かにこないだ読んでたね」

「うん、よく読んでる」

「確かに、よく読んでるよね」

「なんか、主人公がなんとなく僕に似てるんだよね。見た目とか性格とか…」

「そうなの?」

なるほど…似てるのか。
表紙の絵を見る限りは似てるようには見えないけど。

「私も買おうかな」

「本当?」

「うん、最近推理小説ばっかり読んでる気がするからたまには違うジャンルのも読もうと思って」

「確かに、愛川はファンタジー小説とかあんまり読まないもんね」

「あんまりって程でもないけど…じゃあ、この2冊買ってくる」

「えっ、相変わらずはやっ」

新しい小説が早く読みたい一心で、お互い買いたかった本をカバンにしまい足早に駅に向かった。

「じゃあ、またね」

「うん、読んだら感想聞かせてね」

「愛川も感想聞かせて」

「分かった、じゃあね」


そして、お互い小さな期待と大きな楽しみを感じながら、駅のホームへと続く階段を降りていった。
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