31 / 32
本編
1年生 秋 第28話
しおりを挟む雪花の目線の先には片方だけイヤホンをした彼と晴夏ちゃんがいる。
ほんの数秒前、2人は改札を出たところだった。
「噂をすれば本人が」
「噂って…」
噂ってほどでもないけどね…
私達も改札を通って、少し歩くスピードを上げて2人に追いつく。
「2人ともおはよう」
雪花が2人に挨拶をした。
晴夏ちゃんは私達の方に振り返ると満面の笑みになった。
「あ、雪花ちゃんに実春ちゃん!おはよう!」
「…おはよう」
晴夏ちゃんが満面の笑みで、朝から元気がある。
彼はいつも通りだ。
2人のテンションが真逆で少し面白いなと思った。
「おはよう」
私も2人に挨拶をする。
それと同時に、私はまたこないだと似たような感情が湧き出てくるのが分かった。
この前よりまだましだけど、彼の顔をちゃんと見る事ができない。
「今日試験最終日だけど、皆んな大丈夫そう?」
私は皆んなに話しかけた。
「不安だけど、実春ちゃんに教えてもらったところは多分大丈夫!」
「どうだろう、まあ私も大丈夫だと思うけど」
「僕も自身はないけど…多分」
自分で聞いておいて少し悲しくなった。
皆んな大丈夫そうなのが分かって良かったけど、私は全然大丈夫じゃなかった。
「そっか、それならきっとなんとかなるね」
私は皆んなに微笑んだ。
そう言いながら私は、自分でも本当になんとかなるんじゃないかと思ってきた。
もう自暴自棄にも近いのかもしれない。
「そう言えば、さっき2人で話してたんだけど…」
駅の階段を降りてすぐのところにある交差点で、信号が青になるのを皆んなで待っていた時、晴夏ちゃんが私と雪花の方を見て話し始めた。
「試験が終わったら図書館に行くって言ってた話をしてて、読みたい本をお互いに話してたんだよね、それで2人も何の本を読みたいか教えて欲しいなって思って」
「私達もさっき楽しみだねって話しをしてたのよ」
さっき電車の中で図書館の話をしていて、読みたい本のことは話していなかったけど、私達は施設内の設備や、図書館の推薦している本がある、なんて事を話した。
私は以前、図書館に行った時に借りた本を薦めた。
雪花は有名な小説家の小説を読みたいと言っていた。
彼と晴夏ちゃんも読みたい本をそれぞれ教えてくれた。
そして、それから図書館自体の良いところを話したくて雪花に話した話しを2人にも話した。
「約、築100年なんだね」
「築100年で、全部木造なんだよ。…楽しみだね、皆んな早く行きたいって思っててなんか嬉しい」
私が言い出した事だし、それに皆んな喜んでくれると思っていたけど、実際に行く前から喜んでもらえているのは素直に嬉しいと思った。
「もちろん、皆んな同じ事話してたんだし」
「奇遇よね、図書館に行くのやっぱり楽しみね」
そう晴夏ちゃんと雪花は言っている。
同じ事を話していたと言うことは私達と同じように彼と晴夏ちゃんも同じように2人で話していたと言うこと。
私はここではっきりと感じた。これが嫉妬という感情なのだと。
住んでいる方向も逆だから、仕方ないのは分かっているけど、何処か心がもやもやする。
…でも、それでも。
「ああ、凄く楽しみだよ」
2人に続いて彼もそう言っている。
私はその言葉を聞いただけでもの凄く嬉しかった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
今日でお別れします
なかな悠桃
恋愛
高校二年の碧は黒髪のショートボブ、眼鏡の地味な女の子。特別目立つこともなく学校生活を送っていたが、阿部貴斗との出会いによって環境がガラリと変わっていく。そして碧はある事を貴斗に隠していて...
※誤字、脱字等など見落とし部分、読み難い点申し訳ございません。気づき次第修正させていただきます。
俺が宝くじで10億円当選してから、幼馴染の様子がおかしい
沢尻夏芽
恋愛
自他共に認める陰キャ・真城健康(まき・けんこう)は、高校入学前に宝くじで10億円を当てた。
それを知る、陽キャ幼馴染の白駒綾菜(しらこま・あやな)はどうも最近……。
『様子がおかしい』
※誤字脱字、設定上のミス等があれば、ぜひ教えてください。
現時点で1話に繋がる話は全て書き切っています。
他サイトでも掲載中。
目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました
歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。
卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。
理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。
…と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。
全二話で完結します、予約投稿済み
距離を置きたい女子たちを助けてしまった結果、正体バレして迫られる
歩く魚
恋愛
かつて、命を懸けて誰かを助けた日があった。
だがその記憶は、頭を打った衝撃とともに、綺麗さっぱり失われていた。
それは気にしてない。俺は深入りする気はない。
人間は好きだ。けれど、近づきすぎると嫌いになる。
だがそんな俺に、思いもよらぬ刺客が現れる。
――あの日、俺が助けたのは、できれば関わりたくなかった――距離を置きたい女子たちだったらしい。
この男子校の生徒が自分以外全員男装女子だということを俺だけが知っている
夏見ナイ
恋愛
平凡な俺、相葉祐樹が手にしたのは、ありえないはずの超名門男子校『獅子王院学園』からの合格通知。期待を胸に入学した先は、王子様みたいなイケメンだらけの夢の空間だった!
……はずが、ある夜、同室のクールな完璧王子・橘玲が女の子であるという、学園最大の秘密を知ってしまう。
なんとこの学園、俺以外、全員が“訳アリ”の男装女子だったのだ!
秘密の「共犯者」となった俺は、慣れない男装に悩む彼女たちの唯一の相談相手に。
「祐樹の前でだけは、女の子でいられる……」
クールなイケメンたちの、俺だけに見せる甘々な素顔と猛アプローチにドキドキが止まらない!
秘密だらけで糖度120%の学園ラブコメ、開幕!
隣の家の幼馴染と転校生が可愛すぎるんだが
akua034
恋愛
隣に住む幼馴染・水瀬美羽。
毎朝、元気いっぱいに晴を起こしに来るのは、もう当たり前の光景だった。
そんな彼女と同じ高校に進学した――はずだったのに。
数ヶ月後、晴のクラスに転校してきたのは、まさかの“全国で人気の高校生アイドル”黒瀬紗耶。
平凡な高校生活を過ごしたいだけの晴の願いとは裏腹に、
幼馴染とアイドル、二人の存在が彼の日常をどんどんかき回していく。
笑って、悩んで、ちょっとドキドキ。
気づけば心を奪われる――
幼馴染 vs 転校生、青春ラブコメの火蓋がいま切られる!
俺は陰キャだったはずなのに……なぜか学園内でモテ期が到来した件
こうたろ
青春
友人も恋人も居ないボッチ学生だった山田拓海が何故かモテだしてしまう。
・学園一の美人で、男女問わず憧れの的。
・陸上部のエースで、明るく活発なスポーツ女子。
・物静かで儚げな美術部員。
・アメリカから来た金髪碧眼でハイテンションな留学生。
・幼稚園から中学まで毎朝一緒に登校していた幼馴染。
拓海の生活はどうなるのか!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる