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本編
1年生 秋 第27話
しおりを挟む電車に揺られながら、私達は学校へと近づいて行く。
彼の事を考え過ぎて夜も眠れないほどだったが、1番の悩みは目を合わせられないこと。
毎日会っているけど、まともに顔も見れない。
今まで普通に話せていたのが不思議なぐらいだった。
「今日の試験が終われば、秋休みだね」
ぽつりと雪花が話し出す。
「…まあ、秋休みって言っても5日ぐらいしか無いけどね」
「図書館に行くのが楽しみね」
雪花と今日の試験の話や他愛のない会話をしたりしながらも、今も私は彼の事を考えていた。
「国語の試験は、私達は得意よね。今回は有名な小説家とかが試験範囲に出てくるし」
「そうだね…最終日に国語の試験ってなんだか良かったかも」
本当に国語の試験が今日で良かった。
そんなに頭を捻らなくても解けるからね。
昨日までの試験もそんなに集中できていたなかったけど、日を重ねる毎に益々集中できなくなっている気がして余計に不安だった。
電車に揺られること約30分。
段々と人が増えてきて、同じ制服をきた人も増えてくる。
朝学校で試験前の勉強をする為にいつもより少し早めに出ているけど、考えていることは大体皆、同じなようだった。
最寄りの駅に着いて、私達はホームに降りる。
改札の方へ歩いて行きながら、私は無意識に反対側のホームを見てしまう。
それに気付いた雪花が、私に話しかけてくる。
「誰か探してるの?」
「えっ…いや別に」
誰を探してるか分かっているんだろうと思いながらも、私は横目で反対側のホームを見る。
最近は朝会うことはないから、多分今日もいないかなとか思いながら。
「実春、自分で気づかないだけでかなり彼のこと好きだよね」
「…そんなことは」
…ない。とは言い切れなくなった。
だけど、この気持ちとは裏腹に目は合わせられないし、上手く喋れているか分からないし、距離は遠ざかっているように感じて不安な気持ちは大きくなって行く。
「でも、好きな気持ちを認めたくないってことは、認めたくなくなるぐらいは好きってことだと思うよ」
「えっ…」
雪花の言葉に私は驚き、同時に心臓が高鳴った。
本当に自分では気付かないうちにかなり彼のことを好きになっているのかもしれない。
「やっぱり雪花って恋愛マスターだね」
「…自分ではしっくりこないけど」
「ふふ、ありがとう…こんな話、相談できるの雪花ぐらいしかいないから」
「困ってる時はお互い様でしょ」
「そうだね、雪花も相談したくなったらいつでも聞くからね」
「うん、ありがとう実春」
やっぱり私は良い親友を持ったなしみじみと思った。
こうして、誰かに話せて認めてくれる。
それだけで自信が持てる気がした。
「…あっ」
「えっ…?」
急に雪花が歩みを止めたので、私も雪花の目線の先へと視線を動かす。
そこには、片方だけイヤホンをした彼と晴夏ちゃんが学校の方向へと歩いているのが見えた。
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