別にこれはいつも通りで

松葉 楓

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本編

1年生 秋 第26話

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数日が過ぎ、とうとう試験最終日になった。
今日もまた家の最寄りの駅で雪花を待っていた。

放課後は、ここのところ晴夏ちゃんが赤点をどうしても無くしたいと言っていて、ほとんど晴夏ちゃんに勉強を教えていたので、なんとか気を紛らわせることができた。
彼と雪花は飲み込みが早いようで、それぞれ自分で大体は掴めたと言って2、3言ぐらい話したあとは、机に向かい真剣に勉強していた。
だけど、下校中はもちろん、家にいてもも学校で試験を解き終わってからも…特にあの日から1人になると余計に彼のことを何度も考えてしまう。
文化祭で悩んでいることが大分小さな事に感じるぐらいは彼の事を考えていた。

試験に集中しないといけないと言うのに私はそれどころでは無かった。
頭を抱えてうわああああと心の中で叫んでいると、本人に聞こえてはいないが、タイミングよくそれを遮るように走る足音と共におはようと声が聞こえた。

「あ、おはよう雪花」

「ごめん、ちょっと遅くなった!次に来る電車乗らなきゃ、2分後のやつ!」

「えっ、あ…本当だ」

彼のことを考えていたせいで全然気付かなかった。
改札の上の時刻表には7時20分と書かれていた。
試験があるから、ホームルームはいつもより遅い。
別に1本後の電車に乗っても充分間に合うんだけど、40分に1本しか電車が無く7時台は1時間に1本しかない。この電車に乗れなかったら8時まで待っていなければならない。
こんな特に何もないところで40分間も待つのは流石に嫌だよね。
こういう時、田舎は不便だなと思う。
私は慌てて雪花と共に駅のホームまで走った。

ホームに着いた時にはもう踏み切りが鳴り始めていた。
ほとんど人のいない電車に横並びで座る。

「さっき何か悩んでたみたいだけど、どうしたの?また何かあった?」

「えっ、いや別に」

やっぱり雪花にはすぐに気付かれてしまう、だけど私は平静に答える。

「あ、もしかして彼のこと?」

「えっ⁈いや…別に」

不意を突いて訊ねられたので、動揺が声に現れてしまった。

「そう?」

雪花は少し間を置いてから改めて訊ねてきた。

「…どう?あれから心境とか変わった?」

私はあえて何も返事をしないようにした。

「あ、彼の事好きだって認めたくなったりした?」

「…えっ」


雪花がじっと無言の圧力をかけて私の方を見つめてくる。
逃げだしたくなるような気持ちだったけど、期待の入り交じった目を向けられて逃げられなかった。
私は戸惑いながらも、無言でただ頭だけおそるおそる縦に動かした。
すると雪花は明るい顔になる。

「おお!」

雪花はなんか凄い喜んでいるけど、私はなんだか複雑な気分だ。
それにちょっと恥ずかしい。朝からまた、顔が赤くなりそうだった。

「いや、やっぱり今のは無しだから!」

「えっ」

えーなんでよと明るい顔から不満な顔に変わる。
そんな雪花を見ながら、今日もまた、
はあと私はため息をついたのであった。


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