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二章
二十二話 指名
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ウルセーナとメイは連日、必死にモンスターを討伐して金を稼いでいた。
そして、二人合わせて目標金額の2000万を越え、後はもう八日後に迫ったオークションの日が来るのを待つばかりだった。
ウルセーナとメイは焼肉店で打ち上げをした後、宿に帰り体を休めていた。
相変わらずメイは下着姿のままセミダブルのベッドで寝ており、ウルセーナは長椅子に体を倒している。
「ナビ……」
窓の外、空に浮かぶ星を見ながらぼそっと口から零れた。
ウルセーナはいわゆるホームシックのようなものにかかっていた。ただ、ナビのいる初心者の街に帰りたいと、そればかりが頭を廻っている。期間にすれば初心者の街を出てからまだ十日にも満たないというのにだ。
その想いを加速させたていたのは、ナビと同じ姿形をしたユナの存在だった。
彼女はナビではないが、姿形、基本的な性格は同じ人間である。
ナビと会えないまま過ごしていた期間中、自分を誤魔化し続けていた想いがユナに会ったことによって暴かれたのだ。
一度ユナの顔を見た時、ナビに会えないという切ない想いはウルセーナの中で少し紛れていた。しかしリバウンド現象のように、その想いは以前よりも強くなってしまっていた。
湯屋でユナと会って以来、彼女とはそれっきりだ。ウルセーナは精神的飢餓感を感じていた。
「はぁ……」
夜空に向け手を伸ばすナビへの純粋な恋心は、同時にユナにも向けられていた。
ウルセーナはメイを起こさないよう静かに長椅子から体を起き上がらせると、立ち上がり部屋を出た。
「……」
メイは部屋を出たことに気付いたが、それを見過ごした。
――――夜の繁華街。相変わらず人通りが多く、賑やかだ。
ウルセーナはユナの名刺を片手に、湯屋を探していた。
「えっと、ここら辺だったよな確か……。あ、あったこれだ。でも、ホントに行くのか俺は……」
ウルセーナはユナの店の前でたじろぐ。
「お兄さん! 今日入ったかわいくて若い女の子いるんだけどどう? サービスするからさあ! ちょっとだけでいいから店に来てよ!」
客引きがウルセーナに纏わりつく。
「いや、もう決めてんだよ悪いけどさ!」
ウルセーナは客引きから逃げるようにユナがいる店、湯屋へと足を入れた。
「いらっしゃいませ。新規のお客様ですね」
「あ、……はい」
ユナに会えるという緊張で唾を飲む。
「会員制ですので、新規のお客様は入会金が10、000ピー必要となっております。指名される場合にはさらに20,000ピー追加で必要です」
ウルセーナは緊張しながらも入会を済ませ、女の子の写真一覧に目を通す。
「えっと、じゃあこのユナって子で」
「ユナですか……うーん、その子ですと用意に二時間ほどかかりますね。どうされますか?」
「二時間? 何を用意するんだ? もしかして今、接客中なのか?」
「いえ、そういうわけでは……。申し訳ありませんが少々立て込んでおりまして、どうしても二時間ほどかかってしまいます」
「ふーん、じゃあ待つよ。しかたねえからさ」
「承知いたしました。ではコースはどうされますか?」
「えっと……じゃあ余裕持って120分コースにしておくかな」
「あぁ……お客様、大変申し訳ありません。ユナに関しましてはこちらの都合で、ただいま60分コースしかご用意することができません」
「は? じゃあ最初からそう言えよ。まあいいよ、分かった」
「大変失礼しました。それでは茶を用意させますので、待合室でお待ちになられてください」
ウルセーナは待合室に入った。
店のロビーより少し暗い部屋の中、二人ほど客らしき人が待ち時間を潰している。
ウルセーナは背の低いソファに腰を下ろすと、テーブルに置かれた薄い冊子を手にした。
「何だこれ、……ああ、女の子の紹介か」
ウルセーナが見ている冊子は店の女の子のカタログで、その中にはユナのものもあった。
「あっ、ユナだ。……え、人気NO.1じゃねえか。すごい人気だなぁ。ん、プレイ内容? ――――ええ!」
同室の二人の客がウルセーナをじろりと睨む。
「……やっぱり、そういう仕事なのか。まあ、そうだよな」
ウルセーナは悶々とした気持ちでしばらく目を瞑って待っていた。
「ご指名、ありがとうございます」
ウルセーナはその声を耳にして目を開いた。
ソファに腰掛けるウルセーナの足元で、ユナが膝を突きかしこまっていた。
ウルセーナは、桜色に染めた頬と潤う瞳のユナを見て、胸をぎゅっと締め付けられる。
「おっおう!」
「うふふっ、それではこちらへどうぞ」
ユナは微笑んで、指先で優しくウルセーナの手の平を摘むと、立ち上がり、ウルセーナを連れて待合室を出た。
個室に向かう中、ウルセーナは妙なユナの色気にやられて既に勃起していた。
――――そして個室。
かちゃりと個室のドアを閉め中へ入るなり、ユナはウルセーナの前でかしこまった。
そしてユナは、ウルセーナが予想だにしなかったことをし始める。
「――――んおわっ!」
ユナはウルセーナの勃起させた股間を両手で優しく包み込むと、艶かしく指を動かし始めた。
そして流れるような手つきでズボンを留める腰紐に手をかける。
「うおいうおいうおーい! ユナあ! ちょっ、ちょっと待て! な、ちょ、いきなり何やってんだ!」
ウルセーナはユナの肩に手を置き、動きを静止させた。
しかし既に腰紐は解け、床にはらりとズボンは落ちていた。
そしてユナの顔の前で、ウルセーナの勃起したいちもつが露になっている。
「えっ、あ、お嫌でしたか? すみません、ウルセーナさん。何もおっしゃらなかったのでつい……。お伺いしてからの方が良かったですね、申し訳ありませんでした」
ユナはウルセーナのそそり立ついちもつに動じることもなく、ただしょぼんとして顔を伏せた。
ウルセーナは急いでズボンを引き上げ、腰紐を結びなおす。
「い、いや俺こそ、こういうの初めてだから。ってか、俺は別にそういうことする為にここに来たんじゃないんだ。悪い、説明してればよかったな」
ユナに目線を合わせるようにウルセーナも床に膝を突いた。
「え? では、どういう……」
「ま、まあ、ちょっとそこに腰掛けようか」
「あ、はいっ」
ウルセーナとユナは寝台に腰掛けた。
ウルセーナの手は汗でぐちょぐちょに濡れている。
それを拭うようにズボンに擦り付けた。
「ユナ、悪い。俺はさ、ただお前の顔が見たかっただけなんだ。というより、はっきり言うとナビの顔が見たかったんだよ」
下を向き、申し訳なさそうにユナに本心を告げる。
「あーなるほどっ、そういうことだったんですね。納得しました」
ユナは両手を胸の前で合わせて頷いた。
ウルセーナはその仕草を見て、やはりナビに見えたのだろう、鼻で笑った。
「俺もどうかしてるよな。ナビとは別人だって分かってんだけどさ。ちょっと疲れが溜まってんのかな、ははっ」
「でも、私も同じ立場だったら気になるかもしれません。ウルセーナさんはその方の事をすごくお好きなんですね」
「うーん、好きっていうものなのかなあ、これは。だんだん気持ちが抑えられなくなってきてさ、自分でも変だなって思ってる」
照れくさそうに頭を掻きながら、その流れでユナをちらりと見る。
ユナは快く笑顔で応えた。
「ウルセーナさんのその寂しい思いは、私で補ってください。私をナビさんだと思ってくれていいですから」
「え」
ウルセーナは意表を突かれ、ふと素の顔になる。
ユナは優しく微笑むと、ウルセーナの手の上にそっと指先を置いた。
「怖がらないで自分に正直になってください。私はウルセーナさんのことを全て受け止めますから」
「ナビ……」
ウルセーナに下心はなかった。
しかし、意識の外にあった溜め込まれた寂しさや不満がユナによって引き出され、それが涙となって流れ始めた。
「ナビぃ……うあぁあぁあぁ……!」
「寂しかったんですね、ウルセーナさん。大丈夫ですよ、私は傍にいますから」
ユナは泣き崩れるウルセーナを胸に抱き、優しく包容した。
――オークション開催まで残り8日
目標金額2000万まであと0万(ウルセーナ1140万、メイ950万)――
そして、二人合わせて目標金額の2000万を越え、後はもう八日後に迫ったオークションの日が来るのを待つばかりだった。
ウルセーナとメイは焼肉店で打ち上げをした後、宿に帰り体を休めていた。
相変わらずメイは下着姿のままセミダブルのベッドで寝ており、ウルセーナは長椅子に体を倒している。
「ナビ……」
窓の外、空に浮かぶ星を見ながらぼそっと口から零れた。
ウルセーナはいわゆるホームシックのようなものにかかっていた。ただ、ナビのいる初心者の街に帰りたいと、そればかりが頭を廻っている。期間にすれば初心者の街を出てからまだ十日にも満たないというのにだ。
その想いを加速させたていたのは、ナビと同じ姿形をしたユナの存在だった。
彼女はナビではないが、姿形、基本的な性格は同じ人間である。
ナビと会えないまま過ごしていた期間中、自分を誤魔化し続けていた想いがユナに会ったことによって暴かれたのだ。
一度ユナの顔を見た時、ナビに会えないという切ない想いはウルセーナの中で少し紛れていた。しかしリバウンド現象のように、その想いは以前よりも強くなってしまっていた。
湯屋でユナと会って以来、彼女とはそれっきりだ。ウルセーナは精神的飢餓感を感じていた。
「はぁ……」
夜空に向け手を伸ばすナビへの純粋な恋心は、同時にユナにも向けられていた。
ウルセーナはメイを起こさないよう静かに長椅子から体を起き上がらせると、立ち上がり部屋を出た。
「……」
メイは部屋を出たことに気付いたが、それを見過ごした。
――――夜の繁華街。相変わらず人通りが多く、賑やかだ。
ウルセーナはユナの名刺を片手に、湯屋を探していた。
「えっと、ここら辺だったよな確か……。あ、あったこれだ。でも、ホントに行くのか俺は……」
ウルセーナはユナの店の前でたじろぐ。
「お兄さん! 今日入ったかわいくて若い女の子いるんだけどどう? サービスするからさあ! ちょっとだけでいいから店に来てよ!」
客引きがウルセーナに纏わりつく。
「いや、もう決めてんだよ悪いけどさ!」
ウルセーナは客引きから逃げるようにユナがいる店、湯屋へと足を入れた。
「いらっしゃいませ。新規のお客様ですね」
「あ、……はい」
ユナに会えるという緊張で唾を飲む。
「会員制ですので、新規のお客様は入会金が10、000ピー必要となっております。指名される場合にはさらに20,000ピー追加で必要です」
ウルセーナは緊張しながらも入会を済ませ、女の子の写真一覧に目を通す。
「えっと、じゃあこのユナって子で」
「ユナですか……うーん、その子ですと用意に二時間ほどかかりますね。どうされますか?」
「二時間? 何を用意するんだ? もしかして今、接客中なのか?」
「いえ、そういうわけでは……。申し訳ありませんが少々立て込んでおりまして、どうしても二時間ほどかかってしまいます」
「ふーん、じゃあ待つよ。しかたねえからさ」
「承知いたしました。ではコースはどうされますか?」
「えっと……じゃあ余裕持って120分コースにしておくかな」
「あぁ……お客様、大変申し訳ありません。ユナに関しましてはこちらの都合で、ただいま60分コースしかご用意することができません」
「は? じゃあ最初からそう言えよ。まあいいよ、分かった」
「大変失礼しました。それでは茶を用意させますので、待合室でお待ちになられてください」
ウルセーナは待合室に入った。
店のロビーより少し暗い部屋の中、二人ほど客らしき人が待ち時間を潰している。
ウルセーナは背の低いソファに腰を下ろすと、テーブルに置かれた薄い冊子を手にした。
「何だこれ、……ああ、女の子の紹介か」
ウルセーナが見ている冊子は店の女の子のカタログで、その中にはユナのものもあった。
「あっ、ユナだ。……え、人気NO.1じゃねえか。すごい人気だなぁ。ん、プレイ内容? ――――ええ!」
同室の二人の客がウルセーナをじろりと睨む。
「……やっぱり、そういう仕事なのか。まあ、そうだよな」
ウルセーナは悶々とした気持ちでしばらく目を瞑って待っていた。
「ご指名、ありがとうございます」
ウルセーナはその声を耳にして目を開いた。
ソファに腰掛けるウルセーナの足元で、ユナが膝を突きかしこまっていた。
ウルセーナは、桜色に染めた頬と潤う瞳のユナを見て、胸をぎゅっと締め付けられる。
「おっおう!」
「うふふっ、それではこちらへどうぞ」
ユナは微笑んで、指先で優しくウルセーナの手の平を摘むと、立ち上がり、ウルセーナを連れて待合室を出た。
個室に向かう中、ウルセーナは妙なユナの色気にやられて既に勃起していた。
――――そして個室。
かちゃりと個室のドアを閉め中へ入るなり、ユナはウルセーナの前でかしこまった。
そしてユナは、ウルセーナが予想だにしなかったことをし始める。
「――――んおわっ!」
ユナはウルセーナの勃起させた股間を両手で優しく包み込むと、艶かしく指を動かし始めた。
そして流れるような手つきでズボンを留める腰紐に手をかける。
「うおいうおいうおーい! ユナあ! ちょっ、ちょっと待て! な、ちょ、いきなり何やってんだ!」
ウルセーナはユナの肩に手を置き、動きを静止させた。
しかし既に腰紐は解け、床にはらりとズボンは落ちていた。
そしてユナの顔の前で、ウルセーナの勃起したいちもつが露になっている。
「えっ、あ、お嫌でしたか? すみません、ウルセーナさん。何もおっしゃらなかったのでつい……。お伺いしてからの方が良かったですね、申し訳ありませんでした」
ユナはウルセーナのそそり立ついちもつに動じることもなく、ただしょぼんとして顔を伏せた。
ウルセーナは急いでズボンを引き上げ、腰紐を結びなおす。
「い、いや俺こそ、こういうの初めてだから。ってか、俺は別にそういうことする為にここに来たんじゃないんだ。悪い、説明してればよかったな」
ユナに目線を合わせるようにウルセーナも床に膝を突いた。
「え? では、どういう……」
「ま、まあ、ちょっとそこに腰掛けようか」
「あ、はいっ」
ウルセーナとユナは寝台に腰掛けた。
ウルセーナの手は汗でぐちょぐちょに濡れている。
それを拭うようにズボンに擦り付けた。
「ユナ、悪い。俺はさ、ただお前の顔が見たかっただけなんだ。というより、はっきり言うとナビの顔が見たかったんだよ」
下を向き、申し訳なさそうにユナに本心を告げる。
「あーなるほどっ、そういうことだったんですね。納得しました」
ユナは両手を胸の前で合わせて頷いた。
ウルセーナはその仕草を見て、やはりナビに見えたのだろう、鼻で笑った。
「俺もどうかしてるよな。ナビとは別人だって分かってんだけどさ。ちょっと疲れが溜まってんのかな、ははっ」
「でも、私も同じ立場だったら気になるかもしれません。ウルセーナさんはその方の事をすごくお好きなんですね」
「うーん、好きっていうものなのかなあ、これは。だんだん気持ちが抑えられなくなってきてさ、自分でも変だなって思ってる」
照れくさそうに頭を掻きながら、その流れでユナをちらりと見る。
ユナは快く笑顔で応えた。
「ウルセーナさんのその寂しい思いは、私で補ってください。私をナビさんだと思ってくれていいですから」
「え」
ウルセーナは意表を突かれ、ふと素の顔になる。
ユナは優しく微笑むと、ウルセーナの手の上にそっと指先を置いた。
「怖がらないで自分に正直になってください。私はウルセーナさんのことを全て受け止めますから」
「ナビ……」
ウルセーナに下心はなかった。
しかし、意識の外にあった溜め込まれた寂しさや不満がユナによって引き出され、それが涙となって流れ始めた。
「ナビぃ……うあぁあぁあぁ……!」
「寂しかったんですね、ウルセーナさん。大丈夫ですよ、私は傍にいますから」
ユナは泣き崩れるウルセーナを胸に抱き、優しく包容した。
――オークション開催まで残り8日
目標金額2000万まであと0万(ウルセーナ1140万、メイ950万)――
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