三人の自衛官とゾンビの世界

パンデニモ

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目標、コンビニ!

ゾンビのちバンディット

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「おーい、89の弾はあと何発残ってる?」

迷彩服を着た男は、被っている鉄帽を少し上にずらしながら椅子に座っているもう一人の迷彩服を着た男に聞いた。

「あー、さっき数えたのが92発で…これを含めたら、えっと…30発!122発だね。結構減ってきちゃったなぁ…」

バリケードを作り終え戻ってきたもう一人の男は金槌を構える素振りをしながら会話に参加した。

「この勢いじゃ長くはもたねぇな、昨日はゾンビがめちゃくそ来るし、バンディットも3人来て弾が減って、俺達だけが同期の中では最後まで生き残ったしな。もうそろここも移動するか!佐野が決めていいぞ?」

この三人は自衛官であり、とある国の超強力な生物兵器〈Nウィルス〉が世界各地に拡散した事で三人がいた駐屯地でも警衛中だった隊員が噛まれた。
そこから感染が拡大し生き残った三人である。

「自分は良いと思うよ…西澤はどう?」

西澤は椅子に座って、残りの弾薬等の物資を数えていた少しガタイの良い男で、歳は22歳である。
少々肥えた体つきでゾンビにも真っ先に狙われる大人気者で、性格も穏やかでいわゆる良い奴。
質問に対しては少し抵抗があるのか深刻な表情で苦笑いをしながら答えた。

「あぁ~、良いんじゃねぇ?佐野は本当に良いの…?」

佐野は低身長で眼鏡をかけており、見た目は中学生と間違われる事もある自衛官らしからぬ男だ。
実際は20歳であり、このゾンビのいる世の中になってもあまり自ら動こうとはしないサボり症の男で、常に側に89式小銃が無いと落ち着かない小心者だ。
提案に対して不安を抱いたのか、手に持ったコップに入っているわかめスープを一口飲み、間を置いてから口を開いた。

「かなり危険だけど、こんな状況じゃ仕方無い…大瀧も良いと思うんなら、早速準備しよう。」

大瀧はダンディーボイスに定評があり、佐野と同い年で筋肉は他の二人よりムキムキにある訳だが見せ筋である。
しかし、自ら動く行動力とリーダーシップは三人の中では随一の働き者である。

「よし!折角のバリケードが勿体無いけど、また戻るかもしれないし…とりあえずお前らと俺の、荷物の配分を決めようぜ。」

話し合いの結果、食料は現在まで一週間住みかとして暮らしてきた駐屯地に備蓄されていた残りの缶詰め15個、パック飯9個、ペットボトルに入った3日分程の飲料水をリュックに詰め、防護マスクの入ったカバンを肩に掛けて、武器としては30発の5.56mm弾が入った弾倉を1つ、弾無しの弾倉を5つと89式小銃と銃剣を西澤が持つ事になった。

大瀧は金槌やノコギリ、その他建材として使えそうな物をリュックに沢山詰めた。
防護マスクは同じく持っており、武器としては、駐屯地で最初にウィルスに感染し、自ら眉間を撃ち抜き息絶えた幹部隊員から剥ぎ取った9mm拳銃を持つが、弾は入っていない為…完全に荷物だが本人は気に入っている様子だ。
そして銃剣はゾンビの頭に切りつけた際に当たり所が悪く折れてしまったので、倉庫にあったモン◯ターハ◯ターにでも出てきそうな見た目の工具を持ち、89式小銃と弾倉は西澤と同じ構成で持つ事になった。

佐野は銃の整備道具や懐中電灯、防護マスクは既に装着しており、この世界ではゾンビよりも凶悪な人間から隠れる為に顔に塗る為のドーラン、駐屯地内の売店にあった使えそうな装具をとりあえずかき集めて作った装備を身に纏い、できるだけ身の丈に合った軽装に整えた。
武器は西澤と大瀧のそれと同じで、残りの32発の弾を1番荷物が少ないという理由で持つことになった。

その日の夜はここまでの一週間を、営内の大瀧と西澤の部屋で振り返っていた。

「はあぁ~ぁ、まさか生き残るのが俺達とは思わなかったなぁ~まさかだったわ(笑)」

大瀧は佐野のリュックに入ってたスルメをしゃぶりながら、佐野の肩に手を置いて笑っている。

「それなぁ、あとそのスルメはゾンビを集める用の匂いを出す為のスルメなんだけど?!集まってきたらどうするよ…」

佐野は目を細くしながら、西澤にも目で訴えた。

「いやでもマジで、俺も佐野と大瀧と生き残るなんて思わなかったよ?もっと強い人だって沢山いたのに殺されたりしちゃったし…あとスルメ臭いよ、大滝。」

西澤は自らの臭いという言葉でハッとしたのか、すぐさま脇の匂いを確かめた。

「そういえば、シャワーも何故か止まって三日前から使えないんだったよね…まあ、皆臭いから…明日は山奥の川とかゾンビも人もいなそうだし行ってみよう。」

佐野の提案に耳を傾けながら二人は自分の体臭を確認していたのだが、今度は大滝がハッと気付いた。

「そういや、俺ら着替えリュックに詰めてねぇ!」

三人は互いに目を合わせると、各自のロッカーへと早足に駆けていった。
佐野は隣の自分の部屋に行く為にドアに手を掛けた途端…ピタッと動きを止めた。

「大滝、西澤…今日って、自分達以外に門番できる人なんて配置してなかったよね…?」

その質問の意味は、昨日の大量のゾンビとバンディットによる強襲で6人の先輩と同期が命を落とした後で無ければ恐怖を感じる事は無い事だった。

「今、自分の部屋の方からドアが締まる音がした…とりあえず、二人は銃を今すぐ持って備えて…」

佐野は弾帯から銃剣を取り外して右手に持ち、左手でドアの鍵を音が鳴らない様に閉めた。

「おい佐野!窓から逃げ出そうぜ!俺達だけじゃ敵の数も分からないのに戦うのは危険だ!」

後ろを振り向くと、着替えを詰め込み終わった西澤が窓を開けて外を見渡しながら同じく着替えを詰め込み終わった大滝がドアに向かって銃を構えて立っていた。

「簡単で良い考えだと思うけど、ここは二階だよ?それと外に誰もいないかしっかり確認してからにしよう。西澤、外に人影はある?」

「いんやぁ、無いと思うけど~、大滝、前に作ったあの避難用の白い布のロープってまだある?」

西澤が言った白い布のロープは、ベッドのシーツを切って結んだ即席のロープの事である。

「ああ!あれね、ちょっと待ってろ」

机の引き出しから引っ張り出してきたのは20メートルはあるシーツのロープだった。

「これを……ん、よし!これで一人ずつくらいなら伝って降りれる筈だ。上で俺が支えておくから、佐野は見張って、西澤が一番重いから先に降りとけ!」

西澤は荷物を纏めて、銃を背負うとロープを伝って降りていき地面に足が着くとすぐに近くにあった木の側へと寄って隠れた。

「よし!西澤は降りた、次は佐野だ、行け!」

佐野が頷くのと同時に、部屋の外側からドアノブを数回ひねる音がした。

ガチャッ…ガチャガチャ…

開かない事に気付いたのか、ドアの前の何者かはドアを破壊して進む事を決意した様だ。
何か重い物で勢い良く叩き付ける音が部屋を揺らし響き渡る。

「佐野ッ…早くしろって!」

佐野は大瀧の声でハッとした様に振り向き、荷物を駆け抜け様に拾い上げてロープを伝っていった。

最後に大滝がロープに手を掛けた時に、破壊されたドアの隙間からドアの前の人物が一瞬見えたが、大滝はその人物を確かめる間も無く急いで滑る様にロープを伝っていった。

下には、ドーランを顔や首に付けている二人が大瀧の無事を確認して大滝にもドーランを付ける様にと佐野から手渡しされた。

「俺、あんまりドーラン付けたく無いけど…こんな時じゃそうも言ってらんねぇな」

嫌々言いつつも、大滝はたっぷりと指ですくうと顔に塗り付けていった。

「上の奴はその内ドアを突破してくるわ…自分達3人がさっきまでいた形跡もあるから、仲間がいればそいつらにも知らせるだろうしここにはどの道戻れないと思う。あのロープを伝って逃げた事にも上の奴は気付くと思うから、早めに移動した方が良いね」

佐野の言葉に、西澤は窓を見上げて身震いした。

「うぅ、寒いし早く移動しようぜぇ…あ、でも、佐野の着替え無いんだよね…」

大瀧と佐野はハッとした様に顔を見合わせて、苦笑いしながら何か確認を取る様にして二人は頷いた。

「俺のが余分にあるから渡すわ、こんな事になる前からよくあったからなこういう事は。」

佐野は気に喰わぬ顔を少し見せたが、大瀧から着替えを受け取るとリュックに詰めた。

そして、駐屯地の外までは人にもゾンビにも出会わずに出る事ができ、少し歩いた先の林の中にしゃがんで行き先を話し合う事とした。

「行き先は、とりあえずここから一番近い民家の小屋で良いと思うよ。家の中にはゾンビがいるだろうし、人がいたら余計に危ないから…」

「了解!あ、佐野…コンビニにも途中寄ってかない?食べ物もちょっと少ないから…」

西澤はドーランで輪郭の不鮮明になった顔で尋ねたが、答えたのは大瀧だった。

「おまっ…馬鹿かよ(笑)、一番いるんだよこういう世界だと、人間もゾンビも!それと、食べ物ならまだ足りてるって。まず先に、俺達の家にできそうな建物探しに決まってんだろ!」

大瀧の言葉の後に、彼等3人の話し合いはしばらくの間は続いていたのだった。
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