上 下
2 / 7

  2 飲み会でのセクハラ表現あり

しおりを挟む

会場へ向かうと、町田は既に同じ部署の正社員の女のコ達に紛れて、トークに花が咲いていた。

「あぁ、相田ちゃん、こっちこっち!」

私を呼ぶのは総務部の班長である祖師谷さんだ。
私の直属ではないけれど、社内ですれ違う時には挨拶する程度の間柄。
先週も、出張先のお土産を持ってきてくれたのだけど、私は知っている。それって、営業の島津主任が買ってきてくれたシフォンケーキですよね。

「ヤッタァ! イケメン島津くんのシフォンケーキGETォ!ありがとね、祖師谷くぅん!!」
って、町田が受け取っていたのだけど…

宴会場の座布団は見た感じ余ってる感じはしなかったので、私に向かってブンブンと手を振る祖師谷さんの方へ向かうことにした。

「相田ちゃん、ココ! ココ!」

中の綿がダメになりそうな勢いでバンバンと叩く座布団に、
「お邪魔しまーす…」
と座ろうとして、祖師谷に背中をボディタッチされる。
「ホラ、相田ちゃん、飲んで飲んで!」
席につくなり私の肩を抱いてきたまま、流れるように手酌する祖師谷は、ビール瓶を置くと肩を抱いていた手を滑らせて私の腰に留まる。
服越しに祖師谷の掌の熱さを感じたので、こっそり服の外側にフーセンガム程度に薄い膜で自分を覆った。

「「「カンパーイ!!」」」

誰かの音頭で送別会の乾杯をして、ビールメーカーのマークのついた小ぶりなグラスのビールを一気に呷ると、グラスを置いた祖師谷は既に出来上がった真っ赤な顔でゲヘヘと笑い、今度はスカート越しに私の膝を撫で回した。
正確には魔法の結界膜の上からなのであんまり不快感はなく…だから助長させてしまったのだろう。
宴会場で店員さん達が鍋の準備を始める頃には、祖師谷は右手で私の肩を抱き、左手では膝枕をした時に男の頭で隠れるような部位を撫で回し始めた。

「ねぇ…相田ちゃん、もうちょっとしたら2人で抜けて、ホテル行かない?」
耳元に囁かれ、
「困ります…」
祖師谷の胸を手のひらで押しながら…私の胃の中に作った魔法原料の水風船を祖師谷の胃の中へ転移させる。

パァンッ
「ひっく!」

祖師谷のしゃっくりに合わせて、魔法の水風船が破裂する。

祖師谷は私を酔わせようとしたようで、そりゃもう大量のビールを飲ませていた。
それらを全てその胃に受けた祖師谷は、顔色を赤から青に、そして白くさせると、口元を押さえて共同のつっかけサンダルをカランコロン言わせながらトイレへと走って行った。

私は、簡単に荷物をまとめると町田の背中へ近付き、お暇する旨を伝える。

既に出来上がってしまっている町田は、送別会の主役について語り、同じ部署の正社員の女のコとわんわん泣きながら盛り上がっている。これなら私が帰っても大丈夫だろう。

案の定気安く解放して貰った私は、町田に会費を託し、祖師谷が戻る前にそそくさと送別会の会場を抜け出した。

店から出た時、
「そういえば、主役に挨拶してない…まぁいいか、知らない人だし。」

でもまた店に戻る気にはなれず、そのまま駅へ向かうのだった。






???:「は? ウソだろう?」


しおりを挟む

処理中です...