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しおりを挟む落下しながら反転したジャンの顔が見えるようになった。
ジャンはぎこちなくも笑顔になると、何か喋っているようで口をパクパクと開閉している。
最初は魔法の詠唱でもしているのかと思った。
けれど、一向に魔法は発動しない。
しかも、なんて言ってるのかわからない。
「はぁ? 聞こえない。ジャン、喋ってないで魔法使え!!」
「……………………」
「だから、聞こえないって言ってンだろ! クソ!!もっと早く飛ぶんだ、俺!!」
その時、雲もない快晴の中に稲妻が走った。
そのうちの1つがジャンに当たり、ジャンは瞬間的に気を失う。
「ジャーーーーーンンッ」
咄嗟に手を伸ばした俺にも雷は襲い掛かり、俺も意識を失った。
「ちょっと、祖母ちゃん!! あたしの大事な息子に、何してくれとんじゃーーーー!!」
声が響き、私は動きを留めた。
咄嗟に振り向けば、そこにはかわいいかわいい私の孫!!
「ジュリちゃん!! 本物??」
その時、孫から稲妻が走り来るのが見えて、私は不甲斐なくも意識を飛ばした。
目が覚めた。
上体を持ち上げ首を巡らせれば、右にはジャン、左には魔法の剣で戦ったジジィがいる。
2人はまだ眠っている。
ジジィはともかく、ジャンは本当に生きているのか、顎の下辺りで脈が触れるか確認した。
指先に鼓動を感じるのを待つ間、呼吸を確認したくて口元へ耳を寄せた。
音は……隣のジジィのいびきで聞こえねぇ…
俺は更にジャンに顔を近付けた。
ジャンからの甘い花の匂いに誘われるように、俺はジャンの薄く開いた唇を間近に見……
「わああぁぁぁぁーーーーー!!!」
ガチッ
んちゅっ
突然飛び起きたジャンの起き上がる勢いで後ろに倒れた俺は、事故チュウしてしまった。
それだけじゃなく、歯も当たって、鉄の味がする。
「てぃるぅ、血が……」
まだ寝惚けたような表情のジャンが、出血しているであろう俺の唇を、舐めた……
「すごぉい、てぃるの血、花の蜜の味がするねぇ…おいし……」
ペロペロと舐めるジャンの舌は柔らかく、そのうち唇で甘噛みするようになってきた。
俺はジャンの動きを止めないように緩く抱きしめる。
こんなことされて、徐々にこちらも起き上がる。
起き上がったこちらは、俺に覆い被さるジャンのあちらと、洋服越しに触れ合う。
──ジャン、欲情して……?
「ん…ふ、…あっ……」
思わず声を出してしまえば、目の前のジャンの瞳の焦点が合って行くのを感じた。
それから、
「ぅわあぁぁぁぁぁーーー!!」
ジャンは叫ぶと、俺から跳び上がりながら距離を取った。
数分、真っ赤な顔に瞳を潤ませて口をパクパクさせた後、
「ごめんティル! 僕、夢だと思って思う存分シちゃった。ごめん!!」
慌てて詫びるジャンの姿に、少し残念だと思った俺は、きっと健全な17歳だと思う。
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