大晦日の夜に

325号室の住人

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イチの家は、この店の向かいのマンションだった。
その5階である最上階。そこは…

「オーナーの家?」
「はい。僕、この家の息子なので。」

そう言って案内されたのは、1つ下のフロアだった。

部屋の灯りをつけないままカーテンを開けると、ゴォォー…という音と共に急行電車の車内灯で一瞬でこの部屋に何があるのか見えてしまうほど明るくなった。

「今日は家族は留守ですし、こんなんだから防音はしっかりしてるんス。いくら啼いても大丈夫ですよ。」

そうして、先程の車内灯で確認できた、1人で使うには大きすぎるベッドへと手を引かれ、そして押し倒され、伸し掛かられた。

「カズさん初めてですもんね。僕、優しくするっス。」

そうして俺は、もろもろ諦めた。






「ハッ…ハッ……ハッ……ハッ……」
「んっ…んぅっ…はぁっはぁ……」

始まってしまえば、イチはあまり喋らないタイプらしく、室内にはイチの荒い呼吸と俺の声が響く。

童貞とは言え、AVは男女のモノを見ていた俺だったが、イチのゴツい指先に、繊細な舌使いに、そしてあの特大のペニスに翻弄されていた。

女をイかせる流れのAVを好んで見ていたというのに、まさか自分が享受される立場になるなんて。
しかも、気持ちいいだなんて。

「カズ…さん、キスしながらイきましょう。」

一言だけ喋った直後、俺達は声の限り吠えながら、同時にイった時…

ゴォォーーーーーーン…

除夜の鐘が遠くに聞こえたような気がした。

「あ…
カズさん、明けましておめでとうございます。今年も、たくさん愛させてくださいね。」
「ん、あぁ。今年も宜しく。」

そうして俺は、正月休みが終わるまでイチに愛されて過ごしたのだった。




      おしまい
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