悪役令嬢の育て方 本編終わり

325号室の住人

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辺境伯令嬢5歳、隣国との関わり

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そうして、私達の婚姻式から5年が経過した。

5歳になったルイーズは、現在、自国と隣国の言葉で書かれた本を読み、長期休みには王立学園の留学生の方々を邸に招いているので、その国のドレスを仕立てて出迎えては、その国の人とその国の言語で話し、王太子妃教育を終える頃の私と同等の言語力・会話力を身に付けている。

これだけ話せていれば、ストーリー以外のどの国へ行かされることになっても大丈夫でしょう。

シャンテさ…シャンテでいいか。の語ったストーリーは、今のところ関係ありそうな出来事は起こっていない。
けれど、《和平条約》と言うからには、何か平和を乱すような出来事があるのだろうと予想される訳で…
ジンの持ってるルートで、東西南北の辺境伯と代替わり間近の王様から情報は集めているし、私も夫人会ルートでお茶会の度に情報収集は怠っていないものの、そういったきな臭い情報は何も得られていなかった。

また、シャンテ夫妻の動向も探ってもらっているものの、そちらも大した動きはなく、現在に至っている。





そんな平和な平和なある日のこと。
我が辺境伯領に、隣国からの使者が家族で滞在することとなった。

新国王陛下の戴冠式にご出席される使者殿は、闘病中の国の王の代理としてやって来た王弟である。

幼い頃からの婚約者だった同い年の奥様と、男子・女子・男子という3人の子どもという5人家族。
1番上の男子はルイーズと同じ年で、女子は3歳、下の男子は1歳、使者殿はジンと同じ年だった。

「ローズ様ぁ…」

懐いてくれたご令嬢はおませで、王道のイケメンであるジンを見て瞳をキラキラさせている。

「大きくなったら、ジン様みたいなイケメンな旦那様が良いなぁ~。」
なんて言うワリに、ライバルである私のことも、
「ローズ様優しい! ローズ様みたいなお姉さんが欲しい! 連れて帰りたい!」
なんて言ってくれるのだ。すごくカワイイ♪

そういう時には、
「ふふふ…面白いことを仰いますね。《お姉さん》ではありません。わたくしの母ですわ。」
と、ルイーズに言われたり、ジンには、
「マリアが居なくなっては私は生きて行かれません。そうだ。マリアが隣国に行くなら、私も隣国に行きます。辺境伯はお嬢様が代わっていただけますよね…?」
と若干黒い笑顔で言われ、3歳の子をギャン泣きさせていました。

こんなことでは、本当に私たちに子どもができた時にも同じことが起こるのではと心配。
ちなみに私達の間には子はルイーズだけです。
何か相談事がある訳ではなく自然に任せているのですが、こればっかりはどうにもできませんものね。

ルイーズはと言えば、使者殿のご嫡男と一緒に領地を回っている。

農村部で収穫のお手伝いをしたり、市場で食べ歩きしたり、領の手習い所でこの国の文字を習ったり教えたり一緒に遊んだり…
私から見ればデートだし、使者殿の奥様からは、「ルイーズちゃんが婚約者になってくれたら…」なんて言われているけれど、愛の重めな発言を既にしているジンの前では言わないように気を付けている。

それに、こんな幼い頃から婚約者を決めてしまうのには、私自身の経験から言っても反対だ。
だって、それなりに仲良くしていたとしても(まぁ、私にはそんな時期があったのかわからないけれど)大きくなって《真実の愛》を見つけてしまえば簡単に捨てられてしまう。

こんなに、ルイーズと仲良くしてくれてる彼が、そうなってしまうとは思えない。
でもストーリーが頭を過って、今だけの思い出作りとして、楽しく見守ることにしたのだった。


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