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しおりを挟む「きょーじゅっ! へへっまた来ちゃいましたぁ。」
「ひっ!」
まだほとんどの学生が午後の最終の講義を受けているような、そんな時間帯。
やって来たのは、元々男爵家の何番目だったか…今はここに通う伯爵家の第四子の侍従であるこの男は、自分がこの王立魔法学院生(貴族男子のための全寮制魔法学校)の頃から、他の学生が午前の最終の講義を受けている時間帯にここへ顔を出していた。
「そんなに逃げないでくださいよぉ…僕と教授の仲じゃないですかぁ。僕、傷ついちゃいますぅ!」
背丈としては、どちらかと言えば同じか男の方が小さいか。
教授と呼ばれている者と彼とは何倍もの年齢差がある。
ちゅっ
「ひぇぇ…」
圧だけで教授を壁まで後退せた男の唇が、濃く皺の刻まれた教授の眉間に触れる。
「この皺の刻まれ方、この溝が口みたいで、ちょっと唇にキスしてる気になるんですよねぇ。」
「ききき君は…今日は来られないって…ひぁんっ」
男は教授の臀部を撫で、教授は見た目に反した声を上げる。
「そうですよぉ。ホラ…」
男は教授の背中に手を添えて、2人は並んで時計を見る。
「いつもは昼前ですけどね。今日は用があって…だからいつもの時間には来られませんでしたぁ。」
現在の時間は午後の最終講義が終わる数分前。
このあとチャイムが鳴れば、学生達はこの講義棟からはサーッと居なくなり、寮へ帰ったり図書館に行ったりカフェへ行ったり。それらは全てこの棟の隣やその向こうにある。
「でも今日は、坊っちゃんはお屋敷へ戻られますから。僕はお暇をいただくことになりましてぇ。だから…」
ちゅっ
「んんん!」
今度は教授の鼻の頭に。
「ふふっ…今日は貴方の真実の姿で、たくさん啼かせてあげますからね。」
満面の笑みの男と、心底面倒臭そうな表情の教授。
そこへ、終業のチャイムが鳴った。
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