僕と教授の秘密の遊び (終)

325号室の住人

文字の大きさ
1 / 4

しおりを挟む

「きょーじゅっ! へへっまた来ちゃいましたぁ。」
「ひっ!」

まだほとんどの学生が午後の最終の講義を受けているような、そんな時間帯。
やって来たのは、元々男爵家の何番目だったか…今はここに通う伯爵家の第四子の侍従であるこの男は、自分がこの王立魔法学院生(貴族男子のための全寮制魔法学校)の頃から、他の学生が午前の最終の講義を受けている時間帯にここへ顔を出していた。

「そんなに逃げないでくださいよぉ…僕と教授の仲じゃないですかぁ。僕、傷ついちゃいますぅ!」

背丈としては、どちらかと言えば同じか男の方が小さいか。
教授と呼ばれている者と彼とは何倍もの年齢差がある。

ちゅっ
「ひぇぇ…」

圧だけで教授を壁まで後退せた男の唇が、濃く皺の刻まれた教授の眉間に触れる。

「この皺の刻まれ方、この溝が口みたいで、ちょっと唇にキスしてる気になるんですよねぇ。」
「ききき君は…今日は来られないって…ひぁんっ」

男は教授の臀部を撫で、教授は見た目に反した声を上げる。

「そうですよぉ。ホラ…」

男は教授の背中に手を添えて、2人は並んで時計を見る。

「いつもは昼前ですけどね。今日は用があって…だからいつもの時間には来られませんでしたぁ。」

現在の時間は午後の最終講義が終わる数分前。
このあとチャイムが鳴れば、学生達はこの講義棟からはサーッと居なくなり、寮へ帰ったり図書館に行ったりカフェへ行ったり。それらは全てこの棟の隣やその向こうにある。

「でも今日は、坊っちゃんはお屋敷へ戻られますから。僕はお暇をいただくことになりましてぇ。だから…」

ちゅっ
「んんん!」
今度は教授の鼻の頭に。

「ふふっ…今日は貴方の真実の姿で、たくさん啼かせてあげますからね。」

満面の笑みの男と、心底面倒臭そうな表情の教授。

そこへ、終業のチャイムが鳴った。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

彼は罰ゲームでおれと付き合った

和泉奏
BL
「全部嘘だったなんて、知りたくなかった」

運命じゃない人

万里
BL
旭は、7年間連れ添った相手から突然別れを告げられる。「運命の番に出会ったんだ」と語る彼の言葉は、旭の心を深く傷つけた。積み重ねた日々も未来の約束も、その一言で崩れ去り、番を解消される。残された部屋には彼の痕跡はなく、孤独と喪失感だけが残った。 理解しようと努めるも、涙は止まらず、食事も眠りもままならない。やがて「番に捨てられたΩは死ぬ」という言葉が頭を支配し、旭は絶望の中で自らの手首を切る。意識が遠のき、次に目覚めたのは病院のベッドの上だった。

美澄の顔には抗えない。

米奏よぞら
BL
スパダリ美形攻め×流され面食い受け 高校時代に一目惚れした相手と勢いで付き合ったはいいものの、徐々に相手の熱が冷めていっていることに限界を感じた主人公のお話です。 ※なろう、カクヨムでも掲載中です。

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

記憶の代償

槇村焔
BL
「あんたの乱れた姿がみたい」 ーダウト。 彼はとても、俺に似ている。だから、真実の言葉なんて口にできない。 そうわかっていたのに、俺は彼に抱かれてしまった。 だから、記憶がなくなったのは、その代償かもしれない。 昔書いていた記憶の代償の完結・リメイクバージョンです。 いつか完結させねばと思い、今回執筆しました。 こちらの作品は2020年BLOVEコンテストに応募した作品です

罰ゲームって楽しいね♪

あああ
BL
「好きだ…付き合ってくれ。」 おれ七海 直也(ななみ なおや)は 告白された。 クールでかっこいいと言われている 鈴木 海(すずき かい)に、告白、 さ、れ、た。さ、れ、た!のだ。 なのにブスッと不機嫌な顔をしておれの 告白の答えを待つ…。 おれは、わかっていた────これは 罰ゲームだ。 きっと罰ゲームで『男に告白しろ』 とでも言われたのだろう…。 いいよ、なら──楽しんでやろう!! てめぇの嫌そうなゴミを見ている顔が こっちは好みなんだよ!どーだ、キモイだろ! ひょんなことで海とつき合ったおれ…。 だが、それが…とんでもないことになる。 ────あぁ、罰ゲームって楽しいね♪ この作品はpixivにも記載されています。

美しき父親の誘惑に、今宵も息子は抗えない

すいかちゃん
BL
大学生の数馬には、人には言えない秘密があった。それは、実の父親から身体の関係を強いられている事だ。次第に心まで父親に取り込まれそうになった数馬は、彼女を作り父親との関係にピリオドを打とうとする。だが、父の誘惑は止まる事はなかった。 実の親子による禁断の関係です。

上手に啼いて

紺色橙
BL
■聡は10歳の初めての発情期の際、大輝に噛まれ番となった。それ以来関係を継続しているが、愛ではなく都合と情で続いている現状はそろそろ終わりが見えていた。 ■注意*独自オメガバース設定。■『それは愛か本能か』と同じ世界設定です。関係は一切なし。

処理中です...