お嬢様の身代わり役

325号室の住人

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本編

   8


ハイド様の言葉に耳を疑って顔を上げると、

チュッ…はむっ…ちゅっちうぅぅー……

ハイド様の腕に捕らえられ、濃厚なキスを受けた。

…いや、濃厚なキスは続いていた。唇は離れそうで離れないまま角度を変えて何度も唇で喰まれる。無理矢理舌が攻め入り、口内を侵略される。大きくて熱を持った手のひらが背中や腰を撫で回す。膝を割られ、筋肉質な太腿が股間に押し付けられる。
僕は新鮮な空気を求めるが、はふはふと短い呼吸しか許してもらえない。そのうち息が苦しくなって気が遠くなりかけるけれど、このまま気を失ってはハイド様の私室に連れ込まれてしまうことは目に見えている。

僕は抗おうとハイド様の胸を叩くけれど、ハイド様はその手を捕らえると指を絡めて壁に張り付けた。
そこで僕はいつの間にか自分の背中が壁に押し付けられていることに気付いた。

──もう逃げ場がない?

そう思った瞬間、僕はハイド様の与える快楽に堕ちた。

ハイド様はそれがわかっているかのように、僕の下穿きの腰を弛めて中に手を入れて来た。

素肌の切っ先に、ハイド様の手が直に触れる。撫でられる。上下に扱かれる。

下穿きの布越しなのに、ぬちゅぬちゅという音が耳に響く。

──もう我慢できない!

先から何かが弾けるように熱いモノが迸り、僕は顎を突き出して背を反らせた。

咆哮に似た叫びは、ハイド様の喉に吸い込まれた。

「はぁはぁはぁはぁ…」

ハイド様が僕を解放してくれると、荒い呼吸のまま膝と腰が抜けてしまってその場にペタリと座ってしまった。

ハイド様はそんな僕を見下ろしていたようだが、その場にしゃがみ込んで僕と視線を合わせると、自らの生臭い白濁の滴る右手を真っ赤な舌が下から上へと拭うように這い、指先まで辿り着くと白濁ごと口内へ消えた。

ハイド様は少し口角を上げると、
「ごちそうさま。」
貴公子のようなキラキラしい笑顔を僕に向けた。

そうして僕の腰を掴んで立たせると、元々居た扉を開けて僕の胸を押して室内へと戻し…
僕は、足がもつれてその場に座り込んだ。

もう、顔を上げる気力もない。

ハイド様は僕の傍らに膝をつくと、
「またね。」
僕の右耳に囁き、僕の耳たぶをキリリと噛んだ。

「んあっ…」

痛みに声が出ると、涙なのか汗なのかわからないものが頬を伝った。

れろっ
傷に舌が触れた途端、悪寒と言うのか背中がゾクゾクとした。

「ふふっ…」

ハイド様は嬉しそうに一声笑うと、

パタン…
そのまま扉を閉め、行ってしまった。



どうやら僕は、ハイド様のダークな扉を開いてしまったようだ。



とんでもないことになってしまったことに気付きながら、僕には呆然とすることしかできなかった。


感想 1

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