お嬢様の身代わり役

325号室の住人

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本編

  32


「ん…」

人肌の温かさを感じて瞼を上げると、僕はハイド様に抱き上げられていた。
……っていうか、ところ、僕もハイド様も裸なんだけど?

「イード、目が覚めたのか? これから、君と私とで湯に浸かるところだ。」

ちゃぷ…

視線がだんだんと下がってく。
いつかの猫足じゃない。スーパー銭湯貸し切り状態の広いお風呂なのに、僕はハイド様の膝の上に座っている。

──こんな大きなお風呂、公爵家にあっただろうか。

不意にハイド様に顎を掴まれ、僕は左後ろを見ながらハイド様と唇を合わせた。
体もそれに合わせて横を向き、胸と胸が密着する。

緊張しているのか寒いのか、ハイド様のなのか僕のなのか唇が震えている。

「イード、泣かなくていい。」

唇を離したハイド様に頬を拭われた。
どうやら、唇を震わせていたのは僕だったみたいだ。

けれど、僕の涙は止まらなかった。
いろいろあったんだ。もろもろ、溢れ出しちゃったんだよ。

そんな僕をハイド様は、優しく抱き締めてくれた。

「うっううぅ…」
「大丈夫。もう大丈夫なんだよ、イード。もう、お前を害する者は居ないよ。安心していい。」

耳元に囁くハイド様の優しい声は、とても落ち着くものだった。






やっと泣き止んで顔を上げると、ハイド様はすぐに気付いて僕の顔を覗き込み、微笑む。

とても優しい笑みだった。

「イード。ここを出たら、お前に話さなければならないことがある。とてもたくさん…」

ハイド様には珍しく、終わりに近付くにつれて声がだんだん小さくなって行く。

──どんな話だろう。

少し考えて、記憶をさらう。

──そうだ。僕は、裏切り者としてハイド様に消されるところだったはずだ。

話と言うのは、その件だろうか。
僕は、こうしてハイド様に優しくされる天国のようなところから、一気に地獄へと落とされるのか。

「…………わかりました。」

僕は俯きながらも返事をした。

「だからイード。ここを出る前に、約束通りお前のハジメテをいただきたい。」

ハイド様は言うやいなや、僕の顎を掬って唇を重ねた。
僕? もちろん頭がついて行かない。でも、そのままハイド様に流されるように舌を受け入れれば、深いキスが始まる。

「…んッ」

舌同士が交わる。
僕の歯がハイド様の舌に当たれば、ハイド様には僕の舌を強く吸われた。

舌同士が交われば、だんだんと下半身にも熱が集まってくる。
紛らわせようと膝と膝を擦り合わせれば、ハイド様の左手が僕の膝をゆっくりと割りながら進んだ。

もう進めない場所では、切っ先が期待し始める。
頭をもたげて、お湯に揺蕩いながら、ハイド様を誘う。

「いゃんっ!」

その大きな手に触れられた時、思いの外大きな声が出てしまって驚く。

直後にハイド様に軽くキスされた。

「いいよ。もっと啼いて。」

それからやわやわと揉まれ扱かれ、僕は泣きながら背を反らす。

切っ先から出た白濁は、もやもやとしながらあっという間にお湯に溶けてしまった。



ハァハァと呼吸を整えていれば、ハイド様が僕のピアスに触れ、唇を耳に寄せる。

「もうバテてしまった?」

ハイド様を見上げれば、即座に軽く唇を唇でふさがれた。

「そんな顔で…誘っている?」

僕はかぶりを振る。

「でも、誘われてしまったよ?」

ハイド様は囁き、僕を抱き上げると浴室内の寝椅子に僕を下ろした。
下ろしたそばから、膝を抱えるような体勢になるって…え?

「覚悟して…」

お湯の中でよく温まった僕の体は、念入りに解さなくてもハイド様を受け入れる仕様になっていたらしい。

「もう、途中で邪魔をされたくない。イード、君の全てが欲しいんだ。」

いつか見た、ハイド様の剛直のその先端が、僕の、《出すこと》が仕事のあの場所にあてがわれる。

きゅぽっ

本当の音はわからない。
ただ、そんな軽い感覚だった。

ハイド様の先端を受け入れ、それから………


後のことはもう、訳がわからないほどに、気持ちよく、嬉しく、幸せで…
僕らの火照った体は冷える暇もなく、体力の続く限り体を重ねたのだった。


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