【完】名前すら知らない、僕のつがい

325号室の住人

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卒業式を終えた僕は、校舎内を駅へ向かって歩いていた。

腐女子な姉との待ち合わせのためだ。なんでも、今日は購入者お一人様1回までのクジが引ける日…らしい。
僕は小さい頃からクジ運が良いというのは姉の説。まぁ先に引いた姉のクジ運がすこぶる悪いという僕の説は却下されている。

昇降口で靴を履き替え、これまで1度も洗わず世話になってきた上靴をダストカートにぶち込む。
軽く手を合わせて3年間を労うと、既に立て看板もなく人っ子一人居なくなった正門を目指し、それから道路へ出た



…筈だった。






けれど次に僕が足を踏み出したのは草っぱら。顔を上げれば森の中。服や荷物はそのまま。

《私のつがい!!》

頭の中へ大声が響いたと思ったら、背中からドンッのちふわっとした衝撃と共に眩しい光に包まれ…
僕は眩しさに腕で顔を庇った。






『ねぇ、こっちを見てください。』

むっチュッ
「にゃ…」

次に気付いた時、フカフカの枕の山に寄りが掛かっている僕は、大きな影の下で、甘い声音ののち柔らかく唇を奪われた。
いや、唇を奪われている。キスはまだ続いてる。
掴まれているのは顎だけなのに、体が硬直して全身動けないままどんどん深くなってくる。

フガフガと呼吸は荒いのに、口内ではねっとりゆっくりと舌が這っている。
これで、この大きな影は僕にはわからない言葉を話すらしいとわかった。

しかも、たまに体で舌の付け根を舌先でチロチロと刺激されるのが、ゾクゾクするほど気持ちいい。

──僕これファーストキスなんですけど!

ビクピクッ

ゾクッと来るたびに、痙攣したみたいに股間でアイツが跳ねていたのがバレてしまったようで、唇が解放された。

大きな影の正体は、腰までストンと落ちる金髪にきめ細かい肌、零れ落ちそうに大きな水色の瞳の、美しい…若い男だった。

体勢を立て直した彼にアイツをギュッと握られ…

「ぁうっ! く!」
『反応してくれて嬉しいです。』

唇が離れたと思ったら、微笑む彼に耳元に囁かれた。
ただし言葉はわからない。
だから彼から発せられた声は、僕には吐息混じりの音としか受け取れない。
ゾクゾクする体を抱こうと手を動かしたら、両手首を掴まれ、そのままゆっくりとベッドに押し付けられた。

──ん? 枕の山、どこ行った?

「ハァッハァッ…」

──見おろされている…

その視線が狙いを定めた猛禽類のようで、僕は彼を見上げながらどんどん呼吸を荒くした。

ただ見られているだけなのに、発汗してくる。

『暑いですか?』

彼が何かの言葉を投げ掛けると、同時に僕の着ていた制服がスゥーッと消えてしまった。

「!」
──呪文か?

『魔法ですよ。これで涼しいでしょう?』

彼が微笑んだ拍子に、彼の輝く金髪が一房、肩口からはらりとこちら側へ落ちる。
軟らかな毛先がふにゃりと僕の胸を撫でただけなのに、ビビビビビッと背中を何かが駆け抜けた。

それに驚いているうちに、彼の攻撃が始まる。
先程は口内を攻めていた薄い舌が、僕の肌を這い始めたのだ。

「…んーぅっ…ア、んんっ!」

舌が肌をゆっくりと移動するただそれだけなのに、僕の肌は鳥肌を立てながらも僅かな刺激を拾うように仕上げられて行く。

『ん? もうこちらも食べ頃だね。』

乳首を甘噛みされると、あっという間に快感が足の先から頭の先まで突き抜けた直後、急激な脱力感に見舞われた。

荒い呼吸を整えていると、

『やっと受け入れの準備ができたみたいだ。』

妖艶に笑った彼の水色の瞳が、まるで宝石みたいにキラリと光って本当に美しい。

僕は彼の目の前に股間を晒しながら硬く反り勃ちつつある切っ先をパクリと彼の口内へ吸い込まれる。
そこから始まる舌先での攻めは刺激が強すぎて、僕は程なくして意識を飛ばした。


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