【完】名前すら知らない、僕のつがい

325号室の住人

文字の大きさ
2 / 8

  1

しおりを挟む

卒業式を終えた僕は、校舎内を駅へ向かって歩いていた。

腐女子な姉との待ち合わせのためだ。なんでも、今日は購入者お一人様1回までのクジが引ける日…らしい。
僕は小さい頃からクジ運が良いというのは姉の説。まぁ先に引いた姉のクジ運がすこぶる悪いという僕の説は却下されている。

昇降口で靴を履き替え、これまで1度も洗わず世話になってきた上靴をダストカートにぶち込む。
軽く手を合わせて3年間を労うと、既に立て看板もなく人っ子一人居なくなった正門を目指し、それから道路へ出た



…筈だった。






けれど次に僕が足を踏み出したのは草っぱら。顔を上げれば森の中。服や荷物はそのまま。

《私のつがい!!》

頭の中へ大声が響いたと思ったら、背中からドンッのちふわっとした衝撃と共に眩しい光に包まれ…
僕は眩しさに腕で顔を庇った。






『ねぇ、こっちを見てください。』

むっチュッ
「にゃ…」

次に気付いた時、フカフカの枕の山に寄りが掛かっている僕は、大きな影の下で、甘い声音ののち柔らかく唇を奪われた。
いや、唇を奪われている。キスはまだ続いてる。
掴まれているのは顎だけなのに、体が硬直して全身動けないままどんどん深くなってくる。

フガフガと呼吸は荒いのに、口内ではねっとりゆっくりと舌が這っている。
これで、この大きな影は僕にはわからない言葉を話すらしいとわかった。

しかも、たまに体で舌の付け根を舌先でチロチロと刺激されるのが、ゾクゾクするほど気持ちいい。

──僕これファーストキスなんですけど!

ビクピクッ

ゾクッと来るたびに、痙攣したみたいに股間でアイツが跳ねていたのがバレてしまったようで、唇が解放された。

大きな影の正体は、腰までストンと落ちる金髪にきめ細かい肌、零れ落ちそうに大きな水色の瞳の、美しい…若い男だった。

体勢を立て直した彼にアイツをギュッと握られ…

「ぁうっ! く!」
『反応してくれて嬉しいです。』

唇が離れたと思ったら、微笑む彼に耳元に囁かれた。
ただし言葉はわからない。
だから彼から発せられた声は、僕には吐息混じりの音としか受け取れない。
ゾクゾクする体を抱こうと手を動かしたら、両手首を掴まれ、そのままゆっくりとベッドに押し付けられた。

──ん? 枕の山、どこ行った?

「ハァッハァッ…」

──見おろされている…

その視線が狙いを定めた猛禽類のようで、僕は彼を見上げながらどんどん呼吸を荒くした。

ただ見られているだけなのに、発汗してくる。

『暑いですか?』

彼が何かの言葉を投げ掛けると、同時に僕の着ていた制服がスゥーッと消えてしまった。

「!」
──呪文か?

『魔法ですよ。これで涼しいでしょう?』

彼が微笑んだ拍子に、彼の輝く金髪が一房、肩口からはらりとこちら側へ落ちる。
軟らかな毛先がふにゃりと僕の胸を撫でただけなのに、ビビビビビッと背中を何かが駆け抜けた。

それに驚いているうちに、彼の攻撃が始まる。
先程は口内を攻めていた薄い舌が、僕の肌を這い始めたのだ。

「…んーぅっ…ア、んんっ!」

舌が肌をゆっくりと移動するただそれだけなのに、僕の肌は鳥肌を立てながらも僅かな刺激を拾うように仕上げられて行く。

『ん? もうこちらも食べ頃だね。』

乳首を甘噛みされると、あっという間に快感が足の先から頭の先まで突き抜けた直後、急激な脱力感に見舞われた。

荒い呼吸を整えていると、

『やっと受け入れの準備ができたみたいだ。』

妖艶に笑った彼の水色の瞳が、まるで宝石みたいにキラリと光って本当に美しい。

僕は彼の目の前に股間を晒しながら硬く反り勃ちつつある切っ先をパクリと彼の口内へ吸い込まれる。
そこから始まる舌先での攻めは刺激が強すぎて、僕は程なくして意識を飛ばした。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冒険者ギルドで働いてたら親切な先輩に恋しちゃいました

野良猫のらん
BL
ファンタジーお仕事BL。 元社畜のマコトは異世界転移した先で冒険者ギルドに就職することになった。 そこで出会ったとても優しい先輩ラースのことを慕うマコト。 そんな中、酔いつぶれたマコトはラース先輩に家まで送り届けてもらうことになり……。

【連載版あり】「頭をなでてほしい」と、部下に要求された騎士団長の苦悩

ゆらり
BL
「頭をなでてほしい」と、人外レベルに強い無表情な新人騎士に要求されて、断り切れずに頭を撫で回したあげくに、深淵にはまり込んでしまう騎士団長のお話。リハビリ自家発電小説。一話完結です。 ※加筆修正が加えられています。投稿初日とは誤差があります。ご了承ください。

異世界転移しました。元天才魔術師との優雅なお茶会が仕事です。

渡辺 佐倉
BL
榊 俊哉はつまらないサラリーマンだった。 それがある日異世界に召喚されてしまった。 勇者を召喚するためのものだったらしいが榊はハズレだったらしい。 元の世界には帰れないと言われた榊が与えられた仕事が、事故で使い物にならなくなった元天才魔法使いの家庭教師という仕事だった。 家庭教師と言っても教えられることはなさそうだけれど、どうやら元天才に異世界の話をしてイマジネーションを復活させてほしいという事らしい。 知らない世界で、独りぼっち。他に仕事もなさそうな榊はその仕事をうけることにした。 (元)天才魔術師×転生者のお話です。 小説家になろうにも掲載しています

恐怖症な王子は異世界から来た時雨に癒やされる

琴葉悠
BL
十六夜時雨は諸事情から橋の上から転落し、川に落ちた。 落ちた川から上がると見知らぬ場所にいて、そこで異世界に来た事を知らされる。 異世界人は良き知らせをもたらす事から王族が庇護する役割を担っており、時雨は庇護されることに。 そこで、検査すると、時雨はDomというダイナミクスの性の一つを持っていて──

愛していた王に捨てられて愛人になった少年は騎士に娶られる

彩月野生
BL
湖に落ちた十六歳の少年文斗は異世界にやって来てしまった。 国王と愛し合うようになった筈なのに、王は突然妃を迎え、文斗は愛人として扱われるようになり、さらには騎士と結婚して子供を産めと強要されてしまう。 王を愛する気持ちを捨てられないまま、文斗は騎士との結婚生活を送るのだが、騎士への感情の変化に戸惑うようになる。 (誤字脱字報告は不要)

異世界で恋をしたのは不器用な騎士でした

たがわリウ
BL
年下騎士×賢者 異世界転移/両片想い 6年前に突然異世界にやってきたヒロナは、最初こそ戸惑ったものの、今では以前とは違う暮らしを楽しんでいた。 この世界を知るために旅をし様々な知識を蓄えた結果、ある国に賢者として仕えることに。 魔法の指導等で王子と関わるうちに、王子の警衛担当騎士、ルーフスにいつの間にか憧れを抱く。 ルーフスも不器用ながらもヒロナに同じような思いを向け、2人は少しずつ距離を縮めていく。 そんなある時、ヒロナが人攫いに巻き込まれてしまい――。

勇者になるのを断ったらなぜか敵国の騎士団長に溺愛されました

BL
「勇者様!この国を勝利にお導きください!」 え?勇者って誰のこと? 突如勇者として召喚された俺。 いや、でも勇者ってチート能力持ってるやつのことでしょう? 俺、女神様からそんな能力もらってませんよ?人違いじゃないですか?

【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる

ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。 ・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。 ・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。 ・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。

処理中です...