こちら冒険者支援ギルド ダンジョン課

瀧音静

文字の大きさ
39 / 75

副作用

しおりを挟む
そっちも寝たか?

ええ、随分疲れていたみたいですよ。

何焦ってるんだろうな。こいつら。

本当に。少し気分転換でも提案した方がいいと思いますね。

素直に応じるかぁ? こいつらが。

そこは、……年長者にお願いしますよ。

はいはい、任されましたよっと。



 何やら喧騒が耳に届き、瞼を上げる。
届く声はパパラと姉御のものか。……あの二人は昨日から言い合ってばかりですね。

「どうかなさいましたか?」

 うん? 何やら違和感があるのですが。
上体を起こし、自分の体を見てみれば、……普段見慣れていた私の双丘は絶壁となり、記憶にあるよりは、体が二回りほど小さくなっていた。

 え? ……魔法で作ったはずのこの見た目が、小さくなった?

「お姉さま実は…………ジュル」

 私の声に気が付き、姉御との言い合いをやめ、こちらを向いたパパラが涎を拭う。

「マデラもやっぱしなったか。これが副作用て事やろな」

 私と同じく、チンチクリンになった姉御が言う。
というか姉御、着ていた服が体に合ってなくて色々と見えてます。

 じりじりとにじり寄ってくるパパラから距離を取り、一旦落ち着きましょう。
本来の姿ではなく、見た目を変える為にかけた魔法にすら干渉して幼い見た目にするのが副作用ですか。
断言します。麒麟はこの副作用を大前提にあのポーションを作りやがりましたね。

 バチィッ!と部屋の中で雷が轟き、その変態が姿を現す。
これ以上無い位、ニヤニヤと顔を破顔させながら彼は、私と姉御をじっくりと見回して一呼吸置いてから感想を言い放った。

「狐耳尻尾付きのロリと、クールな表情のロリとかたまんねぇなぁおい。……チッ! メイドとナースはまだロリ化しちゃいねぇのか。ポーション飲めや!」
「飲むわけありませんわ!」「飲むわけないでしょ!」

 そんな麒麟の感想に二人同時にリリスとパパラが怒鳴る。

「何故だ!? 効果はしっかりあるぞ!」
「どう考えてもその副作用が嫌ですわ! というかこれ元に戻るんですの?」
「お前らがロリ化して俺が満足したら戻してやるぞ」
「勝手な事言いなや!」

 自分の主張をする麒麟に姉御は、印を結んで何やらしようとするも、

「あ゛っ!?」

 と麒麟に威圧され、そこから何も動けなくなる。
仮にも神獣、神の使い。元々私達と立つ場所も立場すらも違う存在。

「大人しくしてろよ。暴れなかったら可愛がってやるぜ?」

 それまで宙に浮いていた麒麟が姉御の前に降り、頬の輪郭をなぞる。
それまでの変態的な言動さえなければ、ほとんどの女性がコロっと落ちそうな美しさと優雅さ。

「悪いなぁ。うちは可愛いより美しい、や、かっこいい言われるんがええわ」

 睨みつけ、僅かに距離を取って警戒する姉御と、姉御に寄っていくツヅラオ。

「あー、ケモミミ尻尾ロリショタカプとか尊い。尊過ぎる」

 変態が悶えてますね。全く理解出来ませんが。
とりあえず早めに元に戻していただきたいです。先ほどからパパラから逃げていますがもう逃げ場が無いです。

「大体、その見た目になる必要がございますの?」
「大いにあるね。まず無理矢理耐性付けたら体のどこかしらに異常が出る。じゃあどうするか。体自身の代謝高めて異常を早い時間で治すのが一番手っ取り早い。んで、代謝は体が小さい方が効率がいい。QED証明終わり
「本音は?」
「俺の趣味☆」

 その場にいる麒麟を覗いた全員がそろってため息。

「まぁでも飲んどけよ。熱中症への耐性だけじゃないからな。効果。おおよその属性への耐性が大なり小なり付くはずだ」
「それが本当だったとして、あなた方に何かメリットがございますの? 信用が皆無ですわよ?」
「今の世の状況が続くだろ」

 あっけらかんと、当然だろ、と即答で答える。

「今の人間がモンスターに滅多に襲われず、村を襲撃もされず、職が無くなる事も野垂れ死ぬやつすらも少ないこの今の世を作り上げたのは今の魔王だ。それを考えてかどうかはさておいてな」
「それが、神の意志なのですか?」
「さぁ? あの存在方の考えなんざ俺たちすら遠く及ばない所にあるからな。けど、俺含め地水空の3人は今の状況を大歓迎なわけ。人間贔屓なのは重々承知だけど神を信仰してるのは人間しかいねぇし」
「だからモンスターを治療している、と?」
「まぁな。てか俺らが人間治療すると技術も効果も過剰過ぎて壊れる」

 それまで紅茶を飲みながら話に入っていたリリスが突然立ち上がり、麒麟の目の前へ。

「? なんだ?」
「一つ教えて欲しい事がございまして。答えていただけたらわたくしも飲みますわ」
「取引になってねぇな。飲めば自分が強くなるんだぞ。俺は別に待っとけば勝手にお前が飲むだろ」
「今飲めばあなたの望む服装になりますわよ?」
「何を知りたい?」

 もう少し考えてもいいと思うのですが。というかこの神獣は欲望に忠実過ぎでは?

「今の魔王様が魔王という椅子に座る事になった出来事を知りたいんですの」

 ……なるほど。そう来ましたか。

「なんだそんな事か。どうせ想像通りだぞ。。それだけだ」
「そう、……ですのね」

 …………そう、ですか。

 納得したリリスはやはり胸の谷間からポーションを出して、一気飲み。
それを見た麒麟が指を鳴らせば、ロリナース姿のリリスが現れる。

GJグッジョブ
「おちゅーしゃしちゃうぞー」

 リリスがノリノリでロリボイスで言えば、麒麟がリリスを抱きしめる。

「一杯してくれ」

 いや、あの、一人で盛り上がってるところ悪いのですがそろそろ戻してください。パパラに抱きしめられて逃げられないんですけど。
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

【完結】スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

魚夢ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

老聖女の政略結婚

那珂田かな
ファンタジー
エルダリス前国王の長女として生まれ、半世紀ものあいだ「聖女」として太陽神ソレイユに仕えてきたセラ。 六十歳となり、ついに若き姪へと聖女の座を譲り、静かな余生を送るはずだった。 しかし式典後、甥である皇太子から持ち込まれたのは――二十歳の隣国王との政略結婚の話。 相手は内乱終結直後のカルディア王、エドモンド。王家の威信回復と政権安定のため、彼には強力な後ろ盾が必要だという。 子も産めない年齢の自分がなぜ王妃に? 迷いと不安、そして少しの笑いを胸に、セラは決断する。 穏やかな余生か、嵐の老後か―― 四十歳差の政略婚から始まる、波乱の日々が幕を開ける。

異世界へ行って帰って来た

バルサック
ファンタジー
ダンジョンの出現した日本で、じいさんの形見となった指輪で異世界へ行ってしまった。 そして帰って来た。2つの世界を往来できる力で様々な体験をする神須勇だった。

処理中です...