性なる勇者シュヴァンツと七人の花嫁

ひらきみ

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四十四発目 告白

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「わ、私は・・・」

 マギーはいつもの澄ました様子とは打って変わって顔相を歪め唇を噛んで抵抗するも真実の輪をはめられた状態では空しい抵抗である。

「もう一度、聞くぞ。どうして我が家に来たんだ」

 マギーは唇をさらに噛む。このまま舌を噛み切ってしまいそうな勢いでやや心配になる。マギーの白い頬を汗がつうっと伝う。眉間に皺を寄せ唇を噛む。

「おい、マギー。答えるんだ。楽になるぞ」 

 マギーを羽交い締めにしているシュヴェーアトは後ろから語りかける。

「うるさい・・・」

「マギー、何を強情張ってるんだ。全部しゃべってしまうんだ。すっきりするぞ」  

「うるさい・・・!シュヴェーアト!あんたと一緒にいたかったからよ!」  
 
「何言ってるんだ。マギー?同じパーティーにいた時にやたら突っかかってきたのはお前じゃないか?」

「マギー、お前はシュヴェーアトが嫌いなのか?」

 俺はたずねる。マギーは観念したように口を開く。

「嫌いなんかじゃない。シュヴェーアトは小さい頃からハーフエルフであるせいで近所の子からいじめられがちな私を助けてくれた。私はシュヴェーアトのように強い女の子になりたかったけど身体があまり強くなかったので魔法使いになったの」

「じゃあ、パーティーでの私への態度は何だったんだ。マギー」

 シュヴェーアトはたずねる。

「私はある時から気づいてしまったの。あなたを愛してしまっていると」

「何を言ってるんだ。マギー?我々はどちらも女ではないか」

「私は男も女もどちらも愛することが出来る特殊な性質なの」

 なるほど。自分の本当の気持ちを認めたくなくてつっけんどんな態度を取ってしまっていたということか。しかし、こう聞いてみると好きな女子にイタズラしちゃう年頃の男子みたいだな。

「しかしマギー、お前はシュヴァンツの妻じゃないか」

「旦那さまの事も愛しています。彼は私に女の悦びを与えてくれる」

 嘘は言ってないみたいだな。真実の輪を付けた状態で嘘はつけない。マギーの突然の告白にシュヴェーアトはたじろいでいるようだ。マギーを拘束していた腕からも力が抜けている。余裕が出来たマギーはシュヴェーアトの方に顔を向ける。身長差があるため見上げる形となりマギーは上目遣い訴える。その目には涙が滲んでいる。

「シュヴェーアト今まで素直になれなくてごめんなさい。私、あなたの事が好き・・・」

「マギー・・・」

 マギーを羽交い締めにしていたシュヴェーアトはすっかり力が抜け拘束はもはや体を成さない。マギーは困惑しているシュヴェーアト頬に手をやり自らの方に引き寄せ接吻する。

「マギー・・・女同士でこんな・・・」

「女同士だから何だと言うの」

 そう言って再びマギーはシュヴェーアトの唇を奪い舌を挿入していく。シュヴェーアトはなされるがままマギーに唇と舌を犯され続けている。やっとマギーは口を離す。シュヴェーアトはまるで魂を吸い取られたように放心している。

「旦那さま。もう全て話しました。この首輪を外して頂けますか」

「あ、ああ」

 俺が歩み寄るとマギーはくるりと背を向ける。翼のような小さな肩甲骨の溝が目に入る。マギーの細い首にはめられた真実の輪に手をかけ留め金具を外して開放してやる。

「旦那さま、これも外してくださる?」

 マギーは魔力封じの指輪がはめられた指を俺の前に差し出す。俺は要望通り指輪を外してやる。

「これで通常通りですわ」

 マギーはそう言うとシュヴェーアトをベッドに押し倒す。

「マギー、一体何をするんだ」

 困惑気味のシュヴェーアトにマギーは再び口づけの嵐をお見舞いする。

「女同士も良いものよ。シュヴェーアト」

「こんな事はおかしいぞ・・・マギー」

 シュヴェーアトは抗議するも抵抗は空しい。マギーは分身魔法を使いあっという間に五人になる。マギーの分身たちはたちまちシュヴェーアトの両手両足を押さえる。先ほどとは打って変わって形成逆転というわけだ。マギーはあの悪戯っぽい笑みを浮かべて言う。

「シュヴェーアト、私のものになりなさい」

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